元横綱 白鵬翔さん:
相撲に愛され、相撲を愛した25年でありました。

大相撲の世界を目指し、日本に来てから25年。所属する、日本相撲協会を離れることを決断した、元横綱の白鵬翔さん(40)。

会見冒頭、部屋を引き継ぎ宮城野親方を襲名した、前伊勢ヶ濱親方と握手と抱擁を交わすと、「宮城野部屋が伊勢ヶ濱部屋預かりになる事態を招いたことを、親方として弟子や応援してくださっている皆さんにおわび申し上げます」と一礼し、改めて決断に至った経緯について語り始めました。

元横綱 白鵬翔さん:
今の自分が置かれている状況を考えますと、“協会の中”ではなく“外の立場”から相撲の発展に力を注いでいくことがいいと判断して、最終的には自分自身で「退職」という決断をいたしました。

また、2024年弟子による暴行事件が発覚後、閉鎖されていた宮城野部屋の再興が、約1年たったにもかかわらず見送られたことも、退職を決定づけた大きな理由だと語りました。

元横綱 白鵬翔さん:
報道等でいろいろ書かれていましたけど、後輩である、また同じ同郷の…照ノ富士とは、私は間垣部屋に照ノ富士を入れましたし、本当に後輩としてよく頑張ってくれました。
「照ノ富士の下で嫌だ」それ全くありません。
協会を退職した後も、宮城野部屋を継承いただく前伊勢ヶ濱親方や、関係する他の親方たち、協会とも密に連絡を取り、引き続き外の立場から弟子たちを見守り、応援していく所存です。弟子たちに対する愛情は全く変わっていないことを……、ここで重ねて申し上げます。

そんな白鵬さんの今後は…。

元横綱 白鵬翔さん:
日本のみならず、世界中により多くの人たちに相撲の魅力を広げる「世界相撲グランドスラム」いう構想のもと、相撲を広めて参ります。

白鵬さんが掲げる、「世界相撲グランドスラム」

会見に同席し、今後の白鵬さんを支えるメンバーの1人である森井理博氏によると、その構想実現のために、様々な分野に優れた人々が集まりつつあるといいます。

新会社役員に就任予定 森井理博氏:
去年の夏ぐらいでしたかね、相撲をなんとか五輪の種目に入れたいんだっていう。
10人ぐらい…10人もいないぐらいですか、本当に白鵬翔が大好きで。相撲の価値を広めたいという思いでみんな集まってくれていますので、サポートメンバーとしては優秀なんじゃないかなと思います。

少年相撲大会「白鵬杯」を開催してきたノウハウと、各界のプロフェッショナルの支援を受け、世界に相撲を広げていくという白鵬さん。
会見の最後、晴れやかな表情でこう語りました。

元横綱 白鵬翔さん:
悔いは全くありません。
相撲ってものが世界に広がっていけば、いずれ(協会と)一緒になる、また相撲が五輪(競技)になる夢を見て、今後、力を注いでいきたいなと、努力していきたいなと思っております。本日はありがとうございました。

「誰の悪口も言わない」決意あふれる会見

谷原章介キャスター:
弟子たちへの思いを語るときに、口を真一文字に結んで数秒間沈黙をしたんですね。そのときに、弟子の皆さんへの思いをすごく強く感じましたし。
実は東北の被災地にすごく支援をしている方じゃないですか、ですから、相撲、そして日本への思いをしっかり持って活動してきてくださったんだなと。

スペシャルキャスター 武田鉄矢:
ちょっと私も取り口等々に関しては白鵬さんに対しては厳しい目を持っていたんですが…、ものの見事、元横綱らしいといいますか、「誰の悪口も言わないぞ」と。決意あふれる会見、私は非常にいい印象を持ちました。

鈴木おさむ氏:
まず思ったのが、“礼をもって去った”というのが印象です。
今回、会見をするということで、いろんなことを想像したり、結構激しいことを言うんじゃないかと思った人もいたと思うんですけど、ちゃんと“横綱”としてちゃんと去っていこうという思いと。そして、この後やることに対して、本気なんだなと思ったんです。

次にやることも、相撲に関わることじゃないですか?相撲の世界の大会を作っていくことに対して、協会に対してケンカを売ることも選択肢としてあったと思うんですけど、そうじゃなくて、この後やることが本気だから、相撲協会と相撲自体に対してもちゃんと愛を持って去って行くことが、この後の自分の夢につながると思ったんじゃないかな、ということが一番強く感じたことです。
その中でも、ちゃんと居場所がなくなてきたこととかをちゃんと語っていたなと、隠し過ぎず、ちゃんと本音を伝える、そして相撲に愛を持って去って行くと思いました。

相撲ジャーナリスト 横野レイコ氏:
本当に……言いたいことは、山ほどあることは番記者たちは十分、分かっているわけですね。そういう状況の中でも、一切言わず、本当に心から横綱を貫いたな、という印象だったので。
最後はみんな残念がっていたんです、白鵬さんが協会を去ることに。そういう思いで、みんなで拍手が最後には出たぐらい、本当に(相撲協会は)惜しい人を…と、会見終わってからみんなで口々に話した言葉でした。

(『サン!シャイン』 2025年6月10日放送より)