今年2月に発表された「住みたい田舎ベストランキング」。

「人口5000人未満のまち」で、シニア部門1位に輝いたのが…北海道沼田町です。

「田舎暮らしの本」編集長 生川貴久氏:
子育て、若者、シニアという各部門で評価が高く、北海道エリアに限定すると全部門でそれぞれ1位を獲得しています。

なぜ人気なのか?「サン!シャイン」が取材すると、老若男女が住みたい3つの理由が見えてきました。

北海道沼田町はどんな町?

旭川空港から車で約45分。北海道のほぼ中央に位置する沼田町。

冬には2m近く雪が積もる豪雪地帯です。
寒暖差が大きく良質な農産物が自慢。夏には幻想的なホタルが見られる自然豊かな場所としても知られ、8月には毎年5万人以上が訪れる「夜高あんどん祭り」が開催される魅力たっぷりの町です。
現在の人口は、約2800人。

この町が、なぜ1位に?
移住者に満足度を聞いてみると…。

横浜から移住した若林さん夫婦(80代)
夫:

100点近いんじゃないのかなと思ってます。
北海道でこれほど道路の除雪が行き届いた町はよそにはないんじゃないかなと思いますね。

妻:
不自由はないし、満足してます。100点だと思います。

移住生活に満足しているのはシニア世代だけではありません。

道内から移住し居酒屋を運営 まどかさん(30代):
(満足度は)私、MAX100だとしたら普通に120ですね。

東京から移住し居酒屋を運営 秋山遥登さん(20代):
じゃあ200で。僕らみたいな何でもやりたいという人が来た時に支援してくれる、受け入れてくれるような部分が、やっぱり他ではなかなかない、良い部分だなって思います。

移住者を支援してくれる仕組みとは?
町長に話を聞くと…。

北海道沼田町 横山茂町長:
 “農村型コンパクトエコタウン構想”という名のもと、 “ワンストップサービス”という手法を取り入れています。

そんな沼田町の魅力を、実際に沼田町の取材も行っているフリーライターの新田穂高さんに解説していただきました。

沼田町の魅力① コンパクトな町

「歩いて暮らせるまちづくり」

沼田町は町の中心部、半径1km圏内に駅・スーパー・役場・高齢者住宅・小中学校などの施設が集約しています。
町がコンパクトなことで、除雪費用の削減や家庭ごみの自宅前での戸別回収ができ、徒歩圏内で生活が可能なため、歩くことで健康増進につながります。

フリーライター 新田穂高氏:
田舎の自治体はどこでも、財政の負担を減らしたいということで“コンパクトタウン”は考えていると思うんですけど、なかなか進んでいるところはあまりなくて。
やっぱり地元住民の方の理解を得るのに話し合いも必要なので。そこをきちんとやったのが沼田町ということですね。

“コンパクトタウン”沼田町には、人気のカギとなる2つの施設があります。

1つ目は「暮らしの安心センター」。

建物に入るとすぐにあるのは、子供や大人が使えるカフェスペース。

さらに、隣にはデイサービスセンターもあり、体操を行う高齢者の姿が。

ほかにも住民は無料で使えるトレーニングセンターに、町立のクリニックも併設。
「医療」「介護」「子育て」3つの要素が1カ所に集約された施設です。

2つ目は、全住民が無料で使えるという施設。「サン!シャイン」は特別に中を見せていただきました。

利雪技術開発センター長 伊藤勲さん:
今だいたい温度で1℃から2℃ぐらいになるんですけども、町の皆さんが持ち寄ったお米とか農産物を冷やすのに雪を使っている施設なんです。

公営施設「雪の科学館」は、冬場に積もった雪を利用した貯蔵施設です。
毎年降り積もった約400t の雪を搬入し、通年で室温は5℃以下、湿度80%以上の環境で、コメを長期保存しても味が落ちないといいます。

沼田町の魅力② 住宅が安い

79歳で旭川から移住した林さん(82)。
現在は年金で暮らしていて、以前は旭川市に住んでいて家賃は7万円だったそうですが、現在は沼田町の公営住宅2LDKで家賃は約2万円。

札幌から移住した城下さん(70)の現在の家賃は公営住宅3LDKで約3万円です。

さらに、安いのは家賃ではなく、家を購入する際にも手厚い補助があるといいます。

工藤さん夫婦(40代)
夫:

ちょうど沼田町で一軒家がいいねって話をしてて、子育てとか移住とか結構力入っている町だったんで。
妻:
中古住宅購入するにあたっても結構助成金が出るとかで、「それだったら買えるね」みたいな。

2年前に移住した5人家族の工藤さんは2階建て6LDKの空き家を80万円で購入。
リフォームに200万円かかりましたが…沼田町の移住支援制度で280万円の半額、約140万の補助を受けられました。
色々な条件によりますが、子育て世代が新築を建てた場合は最高570万円の補助(子供1人につき50万円加算)が受けられるということです。

他にも、安く“移住体験”をすることができます。
北海学園大学の学生がボランティアでリノベーションした2LDKの移住体験住宅で、月額3万1000円。最大3カ月住むことが可能です。

沼田町の魅力③ 様々な支援が充実

・創業支援で最大100万円補助
・小中高の子を持つ子育て世代には沼田町ブランドの雪中米を毎年60kgプレゼント
・同窓会の費用負担
仲間との交流を深めながら町をPRしてもらう、町外に出て行った人にUターンしてもらいたいという狙いから、沼田中学校卒業後、20・30・40年、町外在住者5人以上を含む同窓会を町内で開催する場合、10万円補助(20人以上参加)を受けられます。

さらに、沼田町では「ワンストップサービス」ということで移住定住応援室を設置。移住希望者や移住した人の補助金や子育て支援の申請、就業支援などの手続きの窓口が一本化されています。

このような移住支援の財源はどこからきているのでしょうか。
横山茂町長によると、「厳しい予算の中から移住定住応援基金を設置し、基金で毎年お金を積み立てている」といいます。

新田穂高氏:
地方創生で国からの補助や助成、ふるさと納税など色々財源はあるんですよね。それを、この制度はここに使えるねとか見つけてきてマッチさせることができる人材と組織を役場の中に作っているというのが沼田町の強みだと思います。

(『サン!シャイン』2025年4月30日放送より)