<松本まりか インタビュー>

――収録中に、「はぁ…」と何度もため息をついたり、「切ない」と感想をもらしたり、心を揺さぶられていたようでした。

毎回『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録のときには、そうなるのですが、いつもは我慢していました。でも、今日は自分の状態的にも、ちょっと声に出したい気がして、言ってしまいました。

――台本もVTRも、今日の収録で初見だったと聞きました。

ブースに入ってからのライブ感で一気に読みたいので、基本的にいつも準備はしていません。初めて番組に触れる視聴者の方みたいな気分で、「次に何が起こるんだろう」とワクワクしながらページをめくりたいんです。初見だから、とても集中して読んでいます。

今回も本当に『ザ・ノンフィクション』らしい面白さがありましたし、読みながら、その世界に自分の気持ちを連れて行ってもらった気がしています。

――今回、ホストのレイトさん、ホストが生きがいだというアヤさん、薬物使用で出所したばかりの石川さん(仮名)が登場しましたが、特に印象的だったのは?

やっぱり、アヤさんは…(自分の心が)痛い、痛い…。いくつものホストクラブに推しがいて、それがなければ生きていけないという…すごく他者に依存している状態になっていましたよね。

「生きがい」と言うと正しいことかのように聞こえるけれど、そのつながりは、本当にすごく、すごく細い糸のようで。ホストの方からの「連絡するね」という一言で満たされた気分になっていたけれど、それはきっと本当の「充足」ではないでしょうから。

危ういと感じましたが、アヤさんのように何かに依存している人はすごく多いと思います。私だって例外ではないかもしれない。

自分を律して生きているつもりでも、ふとしたことで心に隙ができるときもある。今回のエピソードはどれも別世界の話ではなく、自分ごとのように感じることができました。

――スマホという“つながれる”ものの先にある、希薄な人間関係やネガティブなつながりが克明に描かれていました。

スマホはなければ、就職もできないし、家も借りられないし、「実際にないと生きていけない必需品」であると同時に、簡単に人とつながれてしまうからこそ、依存や薬物とのつながりもつくってしまう。

どちらにしても、スマホなしでは生きられなくなっていることの怖さのようなものも感じました。

今回は、3人の方のお話でしたけれど、現代の日本を象徴するような内容にも思えて、心にズン、と来ました。

自分が幸せじゃないと思っている人、「生きがいがあるから大丈夫」と思っている人たちにも見ていただきたいです。もしかしたら、自分が生きがいだと感じているものは、自分がそう思おうとしている“仮初(かりそめ)”のものかもしれないですから。

ただ、番組に答えはありません。「こうしたらいいですよ」ということは言っていません。それでも、この現実を見ることで、自分に問いを与えることになるでしょうし、自分で考えて答えを見つけるチャンスになるかもしれません。