中井貴一さんが、小津安二郎監督をモデルにした主人公に挑みます。
パルコ・プロデュース 2025『先生の背中~ある映画監督の幻影的回想録~』は、本作の演出を担当する行定勲監督が、「小津安二郎監督や昭和の映画界の話を演劇作品にしたい」と中井さんにオファーをしたところから生まれた作品。
小津監督はカメラマン出身ならではの“ローアングル”と呼ばれる構図が特徴で、日本の美を追求し、『東京物語』(1953年)など多くの名作を遺した日本映画界の巨匠です。
中井さんの父・佐田啓二さんは小津作品の常連俳優として人気を博し、さらに、母の益子さんは撮影所の前にあった食堂の看板娘で、小津監督が娘のように可愛がっていた間柄。
このたび、行定監督の熱烈ラブコールに応え、中井さんを主演に上演が決定。小津監督をモデルにした“先生”こと小田昌二郎に扮し、苦悩する名匠の一日をユーモアたっぷりに描きます。
めざましmediaは小田を演じる中井さんにインタビュー。“中井家”にとって縁の深い人物を演じる心境や稽古の手ごたえを聞きました。
小津安二郎監督が中井貴一の母に伝えた“心の贅沢”

――本作は、中井家と小津監督のつながりに感銘を受けた行定監督の熱意で実現した企画だそうですが、オファーを受けたときの心境から聞かせてください。
僕にとって、小津先生の存在は大きすぎたので、最初はお断りしました。「やれないです」と。それでも行定さんは「いろいろな歴史が風化されていく時代になり、小津安二郎の作品は残っていくけれども、人物像みたいなものも含めて残しておきたい」と強くおっしゃって。
「うちに残っている小津語録や小津イズムみたいなものは、できる範囲でお話しますので、どうぞどなたかでおやりになってください」と申し上げたところ、そういうわけにもいかないとなって、小田役をやらせていただくことになりましたが、正直、今でも戸惑っています(苦笑)。