専門医によると、寒い時期は注意が必要だというのが…
加齢などによって身体機能や認知機能の低下がみられる状態で、要介護に至る前段階と言われている「フレイル」。

順天堂大学医学部附属 順天堂東京江東高齢者医療センター 消化器内科 浅岡大介教授:
冬場になるとどうしてもアクティビティ(活動)が落ちてしまって、倦怠感も出現しやすい時期。冬は特に要注意な時期と考えられます。

「青信号の間に横断歩道を渡り切れない」「硬いものが食べにくくなった」こうした悩みもフレイルの“危険なサイン”です。
医薬品メーカーの調査では、50代の半数以上がフレイルの状態だといい、高齢者だけでなく中高年層も注意が必要です。

フレイル診断

都内には「フレイル」の治療や予防に特化した専門外来を開設している病院もあります。

浅岡教授「まず体重量ります。53.8kg。はい、いいですよ。もともとどれぐらいですか?体重は」

患者(80代男性)「64㎏ぐらいだったんじゃないですか」

医師によると、ダイエットなどをせずに体重が半年で2㎏以上減ると、危険サイン。
男性は、それを大きく上回るペースで体重が落ちていることなどから、「フレイル」であると診断されました。

続いての患者は70代の女性。

チェック項目を使った問診。

そして、握力の測定を行います。男性は28㎏、女性は18㎏以下が“危険サイン”。

さらに、歩行速度の測定も。4mの距離を歩いてもらい、4秒以上かかると“危険サイン”です。
“危険サイン”は、運動能力だけではありません。

患者(70代女性)「今、私は精神的に世の中でお世話になるばかりで何の役にもたっていないというのがとてもつらくって…」

女性は、2年前に夫を亡くし、日々の生活の中で孤独を感じることが増えたといいます。

浅岡教授「体自体の衰えも『フレイル』なんだけど、社会的な孤立・虚弱もフレイルの一つで、1人暮らしの方とか会合や集まりに行かなくなる(と陥りやすい)」

女性はフレイルの一つ手前「プレフレイル」と診断されました。

放置すれば、要介護になるリスクが増大してしまう「フレイル」。
そのチェック方法と予防法を東京大学 未来ビジョン研究センター・高齢社会総合研究機構の田中友規氏に聞きました。

衰えとの違いは?

「フレイル」は、筋力・認知能力・社会とのつながりなど活力が通常よりも低下した状態。「健康」と「要介護」の間の状態を指します。

フレイルの原因は…
歩行速度の低下、疲れやすい、病気になる、体重減少、低栄養、家族問題など。
具体的には、ペットボトルが開けられない、いつもやっている趣味が面倒になる、困ったときの相談相手がいないというような状態。

――「フレイル」と「老い」の違いは?
東京大学 未来ビジョン研究センター・高齢社会総合研究機構
 田中友規氏:
「もう年だから仕方がない」というのが落とし穴だということになります。
体だけではなくて心の側面とか、どんな生活をしているのかといったものが歯車のように悪さをしあって、この老いの下り坂というのが変わっていきます。
通常の方は例えば、緩やかで舗装された下り坂を歩いていくイメージなんですけれども、「フレイル」の方というのは急な下り坂で、しかも目の前に石ころだとか障害物が非常に多くなっていて、ちょっとしたことで転倒してそのまま転げ落ちて介護が必要な状態になってしまいやすい。ただ、早めに気づくことで予防や改善がまだまだ見込めるような状態になります。

田中氏によると、「フレイル・ドミノ」というものにも注意が必要だといいます。
「フレイル・ドミノ」とは、「定年退職した」「骨折して家から出なくなった」「家族や友人との死別」といったことをきっかけにして…
社会とのつながりが減り、生活範囲が狭まり、精神的に落ち込んでしまう。そして、外出が少なくなり、口の機能、栄養、からだなど、ドミノ倒しのように衰えが進んでいく現象です。
「ちょっとしたこと」で一気に生活が変わってしまう危険性があります。

「フレイル」イレブン・チェック

自分がフレイルかどうか判断するにはどうしたらよいのか、簡単なチェック方法があります。

11の項目の中で右側に○が5つ以上ついた人は要注意です。
※はい・いいえが逆になっているところもあります

①ほぼ同じ年齢の同性と比較して健康に気をつけた食事を心がけていますか
はい・いいえ

②野菜料理と主菜(肉またはお魚)を両方とも毎日2食以上食べていますか
はい・いいえ

③「さきいか」「たくあん」くらいのかたさの食品を普通にかみ切れますか
はい・いいえ

④お茶や汁物でむせることがありますか
いいえ・はい

⑤1回30分以上の汗をかく運動を週2回以上、1年以上実施していますか
はい・いいえ

⑥日常生活において歩行または同等の身体活動を1日1時間以上実施していますか
はい・いいえ

⑦ほぼ同じ年齢の同性と比較して歩く速度が早いと思いますか
はい・いいえ

⑧ 去年と比べて外出の回数が減っていますか
いいえ・はい

⑨1日1回以上は誰かと一緒に食事をしますか
はい・いいえ

⑩自分が活気にあふれていると思いますか
はい・いいえ

⑪何よりもまず、物忘れが気になりますか
いいえ・はい

田中友規氏:
右側に○が5個以上は要注意ではあるんですが、今回の項目って、その気になって頑張ったら何とか変えられるものも多く含まれているんです。
5個以上で「もうダメだ」というよりかは、1つでも多く該当の数を減らしていくことがフレイルになっていかないポイントになっていきますので。

谷原章介キャスター:
若いうちにあまり筋肉を鍛えてない人は早めにフレイルになる可能性もある?

田中友規氏:
あります。早め早めにすごく高いところまで体力や心の余力がある方とそうじゃない方で、同じ下り坂だったとしても介護が必要なくらい機能が落ちるというのが、より低い方のほうが早くなりやすいということなので、できれば早いうちにピークを高く保っておく。
フレイル予防というよりかは健康づくりというのは一生涯なのかなと思っています。

田中氏によると、日常でできるおすすめのフレイル対策は「地域を知る」ことだといいます。

田中友規氏:
フレイル・ドミノの一番最初に倒れるところは“社会とのつながり”
になります。これが実は最強のフレイル予防だったりするんです。
フレイル予防って基本的には社会参加・栄養・運動の3つをちゃんとバランスよくやることっていうのがあるんですけれども、例えば、地域を知って社会とのつながりを何とか維持する。行くところを増やす。外に出る理由を作る。手帳を埋めていく。そういうようなところが自然と目的や役割につながったり、体が勝手に動いたり、誰かと一緒にご飯を食べることで、食欲ないなっていう方も一緒に食べたら食べられちゃうとか。そういうようなことで栄養と運動と社会参加っていうのが揃うというのがポイントになります。
だからこそ、この地域で今、何をやっているのかとか、何もやってなくて行くとこもなくてっていうよりかは、自分から探しに行く、もしくは周りの方が教えてあげるっていうのがとても大切。地域を使いこなすことというのが大事なのかなと思います。

(『サン!シャイン』2026年1月28日放送より)