今、「朝、なかなか起きられない」と訴える子どもたちが、増えているといいます。
一般社団法人 起立性調節障害改善協会が2025年12月に発表した調査結果によると、小学生から高校生の子どもを持つ家庭の8割以上で、子どもが「朝起きづらい」と感じていることが分かりました。
さらに、調査によると、その中には自律神経の乱れによる「起立性調節障害」を発症している子どもが含まれている可能性があるといいます。
「起立性調節障害」とは一体どんな病気なのか。
『サン!シャイン』は、病気への理解が進まない中、必死に病と闘う子どもたちとその家族を取材。実態が見えてきました。
人気モデルも発症 心ない言葉も…
自律神経の乱れによって、立ちくらみやめまいを引き起こし、朝起きることが困難になるなどの症状が出る「起立性調節障害」。
第二次性徴期の“ホルモンバランスの変化”などが原因といわており、現在、中学生の10人に1人が発症するといわれています。
人気モデルのみりちゃむさんも、中学1年生のときに「起立性調節障害」を発症した一人です。
毎朝、頭痛や吐き気に見舞われ、症状が改善され始めた昼過ぎから学校に行く生活が続いていたといいます。
モデル みりちゃむ(23):
「起立性調節障害」というものになりまして、学校になかなか行けなくなるっていうことがありましたね。(朝)起きられないだけじゃなく、頭痛と吐き気だったりがするようになってきて。
みりちゃむ(23):
(かがんだ状態から)パッと立っちゃうと、もう目の前が真っ暗な感じだったので、全校集会とかの立ち座りは、先生に言って座ったままでした。
しかし、当時は「起立性調節障害」に対する認知や理解が薄く、「怠けているだけ」と誤解されることも…。
みりちゃむ(23):
親も最初「怠けているだけ」だと思ってたりだとか、当時の部活の顧問にも「怠けている」というふうに言われたこともあるので。
母親に関しては、徐々に徐々に理解もしてきてくれたりだとか、いろいろ協力はしてくれるようになったので、本当にありがたいなと思っています。
体調的にも精神的にも学校に通いづらい状況が続いた中で、少しずつ病気への理解を深め、懸命に支えてくれた母の存在。
さらに、通院して薬を飲み続けたことで、高校生になった頃には症状が改善したといいます。
めまいや立ちくらみ 食欲不振といった症状
治療によって症状が改善した人がいる一方で、今も症状に苦しむ子どもたちがいます。
2024年に症状が出始め、現在も「学校に通うことが難しい日がある」と話すのは、中学3年生のきむらさん。
朝起きることができず、午後からの登校になることもあるといいます。
きむらさん(15):
(2024年の)夏頃に一気に症状が出始めて、学校にあまり行けなくなりました。
(朝に)アラームが鳴っても体がしんどくて、動けなくて…。朝起きた時に一番気持ち悪さがあって、その後、すぐ立ち上がれない。めまいがしたりっていうのが多いです。
通常、あおむけの状態から起き上がると一時的に下半身にたまった血液が、自律神経の動きで全身に行き渡ります。
しかし、「起立性調節障害」の場合、自律神経の働きが悪く全身に血液が行き渡りません。このため脳の血液が不足し、立ちくらみやめまいなどの症状が起こることで、朝起きられなくなるのです。
また、自律神経の乱れが腸に影響し、腹痛が続くことで、食欲がなくなるケースもあります。
黒木和香さん(16):
夜ご飯を食べていると(おなかが)めっちゃ痛くなって、食べるのやめて、ちょっと寝転がるみたいな…。
高校1年生の黒木和香さん。症状が重かった中学1年生の頃は、小さなお皿に盛られた少しのおかゆを食べるのもやっとだったといいます。
きむらさんと黒木さんは、現在、「起立性調節障害」の当事者たちが作るNPO法人に所属し、病気への理解を広めるために講演を行っています。
「学校に行きたい」娘の思いをかなえるために
現在23歳の長女と18歳の次女が、それぞれ中学生のときに「起立性調節障害」と診断された、野澤菊枝さん。
二人の娘は発症後、立ち上がれない状態に陥り、受験相談でも病気の理解を得られないなど、様々な問題に悩まされてきました。
それでも、娘たちの「学校に通いたい」という希望を叶えてあげたいと考えた野澤さんは、午後から通える高校を必死に探したといいます。
娘二人が起立性調節障害を発症 野澤菊枝さん:
長女の場合は学校が大好きで、部活が大好きで、とにかく(学校に)行きたい、行きたいのにいけないという…。
長女の(学校に)通いたい希望を叶えるのであれば、別に全日制にこだわる必要もないということで。一部、二部、三部とある中の、午後から夕方までの授業のところに進学しました。
高校に進学後は、徐々に症状が落ち着いたこともあり、長女は5年かけて卒業。次女も同じ学校を選びました。
野澤さんは、「起立性調節障害」を知ってもらうための団体を立ち上げ、活動を行っています。
娘二人が起立性調節障害を発症 野澤菊枝さん:
いつ回復するかも分からないし、特効薬もない。
でも、ずっとこの今の状況が続くわけではないですよっていうことを、お伝えしたいんですね。
起立性調節障害チェックリスト「理解が大事」
「起立性調節障害」の診療や保護者への相談にあたっている、昭和医科大学の小児科専門医・田中大介教授によると、以下のような症状に3つ以上当てはまる、ないし2つであっても症状が強く出た場合、起立性調節障害の疑いがあるといいます。
1.立ちくらみ、あるいは目まいを起こしやすい
2.立っていると気持ちが悪くなる。ひどくなると倒れる
3.入浴時あるいは嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる
4.少し動くと動悸あるいは息切れがする
5.朝なかなか起きられず午前中調子が悪い
6.顔色が青白い
7.食欲不振
8.臍疝痛(さいせんつう) へその周囲の痛みをときどき訴える
9.倦怠あるいは疲れやすい
10.頭痛がある
11.乗り物に酔いやすい
昭和医科大学 田中大介教授:
起立性調節障害の場合、午前中に体調不良が強く出て、午後から夜にかけて調子が戻り元気になるというところが、一つ特徴があります。ただ、朝なかなか学校に行かないとかっていうことになると「サボり」とか言われてしまうので、チェックリストをやってみて、もし引っかかるようであれば、医療機関で検査を受けて診断を受けるというところにつなぐことが大切です。
――周りがどう寄り添うかが大切ですよね?
昭和医科大学 田中大介教授:
そうですね、やはり子どもが「つらい」といっている言葉を、しっかり受け止めることが大事で、チェックリストを利用したりして“話をまず聞く”と。
最初からシャットアウトしちゃって、「頑張れるんじゃないの?」「もうちょっとやったら」と言ってしまうと、子どもはとてもできないと、そんなの無理だと心の中で思いながら、学校で頑張らなくてはとどんどん追い込まれていくことがあるので、そのような理解が大事だと。
(『サン!シャイン』 2026年1月28日放送より)
