3月8日は「国際女性デー」。女性をめぐるさまざまな社会課題を考える日です。そこで、伊藤忠商事株式会社が企業向けに提供するキャリアと子育ての両立支援サービス「そだキャリ+(プラス)」を取材しました。

「厳しくとも働きがいのある会社」を目指してきた四半世紀

世の中に「働き方改革」という言葉がなかった時代から、さまざまな取り組みを推進してきた大手総合商社の伊藤忠商事。

社内託児所の設置や、20時以降の勤務を原則禁止とする「朝型勤務」、がんと仕事の両立支援など、「厳しくとも働きがいのある会社」を目指して、さまざまな働き方改革を行ってきました。

子育てと仕事の両立支援を目的とした伊藤忠商事社内の託児所

女性活躍推進に関する取り組みは2003年から開始。国が定めた基準以上の育児・介護と仕事の両立支援制度を導入し、それぞれ個人のライフステージやキャリアに応じてきめ細かい個別支援を行っています。特に、共働き世帯の増加に伴い、社員の「共働き・共育て支援」を強化しています。

新サービス「そだキャリ+」が夫婦のすれ違いを解決?

働き方改革を推進し続ける伊藤忠商事ですが、今年3月から新たに、子育てと仕事の両立に悩み、夫婦間のすれ違いやキャリア継続への不安を抱える人が、家庭と仕事を両立しながらもキャリアの可能性を広げられるよう支援する、企業向けのキャリアと子育ての両立支援サービス「そだキャリ+」の展開を始めました。

このサービスでは、専属のキャリアケアラーが伴走しながら、自身の悩みや価値観を丁寧に整理していきます。さらに、グループセッションや希望者向けのパートナーとのペアセッションを通じて、他者理解と相互理解を深め、自分らしい「キャリアの地図」を描くことを支援します。対象は、未就学児から小学校低学年の子どもを持つ子育て世代です。

自身の経験を活かして作った新サービス

今回、「そだキャリ+」を立ち上げた伊藤忠商事の第8カンパニープロジェクトリーダー・古賀弘子さんに、どんな想いで設計したのかなど、サービスの詳細について聞きました。

古賀さんは、職場では入社18年目の中堅社員であり、家庭では2児の子育ての真っ最中。嵐のように過ぎ去る日々の中で、仕事と家庭の両方に向き合い続けています。

しかし、このサービスを立ち上げる前は、仕事も子育てもどこか“中途半端”に思え、自分を責めてしまう日々が続いていました。子どもにイライラしてしまうだけでなく、余裕のなさからパートナーにも感情をぶつけてしまうことがあり、「本当はそうしたいわけではないのに」と、そんな自分にさらに落ち込んでしまうこともあったといいます。まさに「子育てバーンアウト」のような状態でした。

そのような中で出会ったコーチングを通じて気づいたのは、自分自身の気持ちや大切にしたい価値観を十分に整理できていなかったこと、そしてその想いを、共に子育てをしているパートナーと共有できていなかったということでした。

2人の子どもを育てる古賀さん

伊藤忠商事・古賀弘子さん:
自分の価値観や気持ちを見つめるためには、まず「自分との対話」が必要です。
日々の中で感じるモヤモヤやイライラ、将来への漠然とした不安。その正体を丁寧に見つめ、言葉にしていくことで、自分が何を大切にし、どうありたいのかが少しずつ見えてきます。
「そだキャリ+」では、こうした自己把握に加え、自分の想いや価値観を大切な相手に伝え、相手の想いも理解するためのコミュニケーションを学び、実践していきます。
自分自身の状態や目指したい方向を言葉にし、家族や職場の仲間と対話を重ねることで、少しずつ相互理解が深まり、家庭や職場での安心感や信頼関係が育まれていきます。

「そだキャリ+」チームメンバーと話す古賀さん

古賀さん自身も、今もなお試行錯誤を重ねながら、子育てと仕事に向き合い続けています。
悩むことや迷うこともありますが、自分の気持ちを見つめ、言葉にし、周囲と対話することを意識することで、以前よりも前向きに向き合える瞬間が増えてきたと感じています。

最近、子どもたちから「ママ、最近あまり怒らなくなったね」と何気なく言われたことがありました。その一言に、自分自身の小さな変化を感じると同時に、少しずつでも前に進めているのだと気づかされたといいます。

伊藤忠商事・古賀弘子さん:
完璧にできているわけではありませんが、自分を理解し、周囲と対話することで、家庭も仕事も、以前より穏やかな気持ちで向き合えるようになってきました。
“キャリア”という言葉は仕事だけを指すものと思われがちですが、ここで扱うのはもっと日常に近いものです。
家庭と仕事の両方を見渡しながら、「自分はこれからどうありたいのか」を言語化し、自分自身の人生とキャリアの方向性を描いていく。それが、「そだキャリ+」で取り組んでいる「キャリアの地図」を描くプロセスです。

古賀さんは、自身もまだ道の途中で日々学び続けていて、同じように悩む方と同じ目線で伴走しながら、一人ひとりが自分らしい人生とキャリアを描けるように支援していきたいと話します。

共働きが当たり前となり、家族のあり方やキャリアの価値観が変化する中で、自分自身を理解し周囲と支え合いながら前に進んでいく小さな積み重ねが、家庭、職場、そして社会に前向きな循環を生み出していくことを、伊藤忠商事は目指しています。

家族との会話が減った そんな時に見えてきた希望の光

金融業界で働く木下さんは、「そだキャリ+」を利用した一人で、過去は仕事の都合で帰宅が遅くなり、家族との会話が減ったことに悩んでいたといいます。

「そだキャリ+」を利用した木下さん

仕事の忙しさから、6歳になる子どもに対し「早くご飯を食べて」「早く準備して」といった“指示”が中心になり、週末にパートナーから不満が噴き出すこともありました。

そんな日々の中で、木下さんの会社で「そだキャリ+」の募集が始まり、迷わず手を挙げたといいます。

どのようなプログラムだったのでしょうか。

木下さん:
まずは人生を振り返り、今後どのような人生を描いていきたいか、“目的地”を定めました。その上で、自分の“不安”や“重し”となってしまう物について言語化して整理しました。

週2回のキャリアカウンセラーとのセッションやグループワークを通して木下さんは、自分の考えと相手への配慮のバランスを取り、相手の意思と性格を尊重したコミュニケーションができるようになったといいます。 

6歳になる木下さんの娘

木下さん:
プログラムの中で、自身の性格などを分類して傾向を知るといった学びもあり、妻の特性なども知ることができました。妻がいっぱいいっぱいになる事情も分かってくる。自分に至らない部分もあると思いながら接し方を変えていくと、妻からLINEで『土日にほとんど話ができず、ごめんね』といった連絡が来るようになりました。

「本当は仲直りしたい」「向き合いたい」心の叫びに気づいたワーク

「そだキャリ+」には、心の奥の本音を見つけるためのワークもあるといいます。

例えば、「1年後の自分から手紙を書く」ワーク。1年後にどんな自分でいたいかを意識しながら、「この1年は素晴らしかった」といった、未来から見る自分を言葉にしていきます。

パートナーとの関係に深く悩んでいた参加者は、その手紙を書いていくうちに、「本当は仲直りしたい」「向き合いたい」と思っていることに気づいたそうです。

「そだキャリ+」を利用した伊藤忠商事社員の鈴木さんは、「パートナーと将来の話をする時間が意外とない」と課題を感じていましたが、グループワークを通して発見があったといいます。

「そだキャリ+」参加者の鈴木さん

鈴木さん:
子育て中のキャリアのモヤモヤは、私だけかなと思っていました。でも同じような不安を持つ人が多くて、逆に安心しました。

「子育てかキャリアか」の二択だけじゃない

鈴木さんは、「人事や上司だけでは“気持ちの中”までケアするのは難しい。第三者のケアラーがついて、人生やキャリアを考える機会は、待ち望んでいたサポートです」と企業での導入の必要性を強調します。

2人の子どもを育てる鈴木さん

子育てとキャリア、どちらも大切にしながら、その先にある“+(プラス)”の可能性まで広げていく――。古賀さんは、そんな未来像を語りました。

伊藤忠商事・古賀弘子さん:
キャリアの展望が見えてくると、キャリアアップへの意欲が高まり、社内でのステップアップなども前向きに考えられるようになります。実際、パートナーや周囲の人たちとそういった対話を行っている女性は、管理職に進む意欲が高まるということもわかっています。
「そだキャリ+」の強みは、家庭内のコミュニケーションと連動させて、職場でのコミュニケーションにも良い変化を与える点にあります。

コミュニケーションが深まり、家族の時間がより明るくなった古賀さんご家族

伊藤忠商事・古賀弘子さん:
人生はいろいろな選択に満ちています。その選択肢を「諦め」によって減らすことなく、自ら設計していける、ライフデザインをしていける社会をつくっていきたいです。

子育てとキャリアの悩みは尽きない現代。「そだキャリ+」は、誰もが自分の価値観に向き合い、ライフデザインを主体的に描くことで、自信と希望を持って未来を選択できる社会の実現を目指しています。

「そだキャリ+」公式HP:https://sodacari.com/

マンガで分かる「そだキャリ+」はこちらから

『トーキョーツキイチMTG 国際女性デーSP』

3月8日の「国際女性デー」に合わせて、『トーキョーツキイチMTG』が放送されました。

本放送回はTVerにて見逃し配信中。さらに、番組では放送しきれなかった伊藤忠商事のロケVTR完全版をYouTubeで限定公開中。本記事下部からご覧いただけます。

左から)ゆめぽて、CRAZY COCO、長谷川京子、ファーストサマーウイカ、庄司智春、高尾美穂(敬称略)

番組内容:
普段はちょっと話しにくい、女性特有の健康課題やライフステージ毎に現れる「壁」について、トコトン語り合う“超リアル・女子の雑談バラエティー番組”。
国際女性デーSPの今回のテーマは、「キャリアと出産どっちをとる?」「卵子凍結のリアル」「生理休暇ってとってる?」など。
MCの長谷川京子、ファーストサマーウイカがスタジオに集まった女性20名と共に本音で語り合うスペシャルプログラム。

『トーキョーツキイチMTG 国際女性デーSP』本編はこちらから