タイヤの窃盗が相次いでいます。栃木県では、2025年8月までのタイヤ・ホイール盗難件数は527件と、2024年の同じ時期に比べて約2.7倍に増加しました。
『サン!シャイン』は、独自にタイヤが盗まれる瞬間映像を入手。その手口と、増加の理由を取材しました。
「かなり手慣れている」ホイールの“アルミ”目当てか
8月20日、神奈川・藤沢市内の自動車販売店で撮影された防犯カメラ映像には、暗闇の中、敷地内に侵入する、マスクをつけた黒の半袖・長ズボンの人物の姿が映っていました。
時刻は午前2時48分。周囲を気にしながら、並んでいる車の間に入っていくと…。
約2分後、2本のタイヤを転がしながら再び姿を現します。
両手にタイヤを抱えてどこかへ消える行為を6回繰り返し、わずか15分の間に合計12本のタイヤを持ち去りました。
さらに翌日、今度は2人の不審者が侵入。追加で8本のタイヤが被害に遭い、販売用のタイヤが合計20本盗まれたといいます。
タイヤを盗まれた自動車販売店:
かなり手慣れている感じですね(被害額は)約20万円くらいです。
アルミホイールがやっぱり価値があるので、スチールのホイールは持って行っていない。
店の代表によると、被害に遭ったのはいずれも「アルミのホイール付きのタイヤ」。
ホイールがスチールの物などほかに盗まれたものはないため、高額で売買される“アルミ”を狙ったのではないかといいます。
被害は販売店にとどまらず、一般住宅でも…。
9月に埼玉・深谷市では、住宅のガレージに置かれたホイール付きの新品タイヤ12本が全て盗まれる被害が発生。
ガレージにはカバーとタイヤを束ねるために使っていたプラスチック製のひもだけが残されていました。
被害者によると、スタッドレスに交換しようと買ったばかりのタイヤで、被害額は約20万円に上るといいます。
「古物営業法」改正が影響?盗まれないための対策
なぜ、タイヤ・ホイールの盗難が相次いでいるのか。
犯罪ジャーナリストの多田文明氏によると、10月から「古物営業法」が改正されたことが関係しているといいます。
古物営業法ではこれまでは、買い受ける物品の総額が1万円未満の場合、相手方の確認義務及び帳簿等への記載等義務が原則免除されていました(※バイクやゲームソフト等の一部物品をのぞく)。しかし、10月の改正で本人確認が必要な一部物品に、盗難の多かった電線やエアコンの室外機などが追加。
さらに、寒くなって冬用タイヤの需要が増したことで、タイヤ・ホイールの盗難が増加したのではないかといいます。
盗まれない対策として、自動車生活ジャーナリストの加藤久美子氏によると、以下のような方法があります。
<装着しているタイヤの場合>
▼通常のレンチで外れない「ロックナット」に交換する
専用の工具を持っていないと外せないので、盗難を防ぐ効果がある。1本だけでも有効、4本セットで約2000円から購入が可能。
▼タイヤを斜めにして駐車する
タイヤが斜めになっていると外しにくくなる。ただし、ジャッキアップされると簡単に戻されるので、ハンドルロックやタイヤロックをつけるのもオススメ。
<保管しているタイヤの場合>
▼カバーやチェーンをかけておく
少しでも盗むのに手間がかかると思わせるのが重要。保管の際は目に付きやすい庭先などではなく、倉庫保管やタイヤ販売店で保管してもらう。
(『サン!シャイン』 2025年10月30日放送より)
