ナレーション収録終えた松本さんにインタビュー。「金田さんのような親方は最高だと思う」と、厳しくも愛ある金田さんを見て感じたこと、自身が下の世代と接する際に意識していること、“松本劇場”でのブレイク時と現在を比べて感じること、などについて聞きました。
松本若菜「歯を食いしばって続けている人も、合わずに辞めた人も、正解」
――宮大工養成塾は作業中の私語厳禁、スマホ禁止、三食自炊の共同生活など、「令和も7年になるのに」というナレーションが表すとおり厳しい環境です。どんな印象を受けましたか?
厳しくて辞めてしまう人がいるのも分かりますが、決してその人たちをマイナスだとは思いません。たまたま合わなかっただけ。この環境で頑張れた人たちが卒業できるのだと思います。歯を食いしばって続けている人たちも正解だし、合わずに辞めた人も正解だと思っていて。
でも、金田さんもおっしゃっていましたが、ここでキツいと感じていたら、社会に出たらもっとキツいというのは、その通りだと思います。特に大工さんはケガをするリスクが高いと思うので、金田さんは神社仏閣や宮大工を残したいという思いだけでなく、命を守る大切さも教えながら、日々塾生に向き合っているのではないでしょうか。
先生のそういう思いやありがたさは、卒業してから、さらに感じるのではないかなと思います。そういう意味では、この貴重な塾での日々が彼らの社会経験の一つになるというのが、私はちょっとうらやましいです。
――厳しさのなかにも愛がありますね。
金田さんは、新設の岡山・西大寺校の校舎をイチから建てた田中さんに「西大寺のお抱え大工“正大工”だ。うらやましいな」と言っていました。金田さんのような親方は最高だと思います。自分の生徒に対して「うらやましい」と言えるってすごく素敵ですよね。照れずにサラッと言えてしまうところが、金田さんの愛らしいところだと思います。

――松本さんは下の世代と接するときに、自身の経験を踏まえて心がけていることはありますか?
私は20代の頃、現場で「松本さん」と呼んでもらえるだけですごく嬉しかったので、私も自分から声をかけるようにしています。現場に慣れていないと自分がアウェイな感じがしますが、名前を呼んでもらえるだけでホッとするので。こういう意識が、世代を超えてどんどんつながると良いなと思っています。
実際は、「『声かけてくるなよ』って思わないでね?」と心の中で思いながら、緊張しながら話しかけています(笑)。
――約3年ぶりの『ザ・ノンフィクション』の“語り”はいかがでしたか?
前回はラーメン店を営むお母さんと、ちょっと反抗期の娘さんのお話(2022年11月放送「母と娘のラーメン 〜ピンチをチャンスに変える人〜」)。今回は、宮大工の卵を育てる金田さんと生徒たちの物語。私、『ザ・ノンフィクション』が大好きなので、どちらも本当に思い入れがあって愛おしいです。
今回の塾生たちの将来も、片山くんの恋も気になるので(笑)、ぜひ続編を希望します。片山くんの彼女が本当に良い子なので、「片山くん、絶対逃しちゃダメだよ!」と思っています(笑)。
――前回の“語り”は「松本劇場」で話題を呼んだドラマ『やんごとなき一族』(2022年)出演の直後でした。当時のインタビューで「今年は(前進の)一歩がすごく大きかった」と語っていましたが、現在はいかがですか?
3年前と比べて環境がずいぶん変わりましたし、一歩の“歩幅”が大きくなってきました。だからといって、スキップしたり走ったりしないように、常に自分を戒めています。どんなに大きな一歩でも、ちゃんと体幹を使わないと進めないので、その体幹を作るためにも、真面目に、焦らず、おごらず、丁寧にというのを改めて心に刻みながら進んでいきたいです。
予告動画&無料配信
YouTube「フジテレビドキュメンタリー」で、『ザ・ノンフィクション』の予告を配信中。8月17日(日)14時~「夢と修業と初恋と 後編~カンナとテレホンカード~」
8月3日放送「母ひとり子ひとりの物語 ~息子が娘になる日~」(語り:大島優子さん)が、8月17日までTVer・FODで無料配信されます。