菊地凛子さん、錦戸亮さん、竹原ピストルさん、塩野瑛久さんが嘘にまつわる持論で盛り上がりました。
4人は、ドラマ『silent』『いちばんすきな花』『海のはじまり』などのヒット作を手がけた脚本家・生方美久さんの待望の新作『噓が嘘で嘘は嘘だ』に出演。クリスマスイヴの夜、一軒の居酒屋に集った男女4人による1シチュエーション会話劇で共演しています。
作品のテーマにちなみ、“嘘”に対する思いや最近、ついた&つかれた嘘、さらにクリスマスの思い出などを聞きました。
菊地凛子 嘘の色は一つではなく「たくさんのカラーがある」
――嘘をテーマにした物語ですが“嘘”に対してどのような思いをもっていますか?
菊地:嘘をまったくつかない人なんて、世の中にはいないと思うんです。脳科学の中野信子先生が「子どもがつく嘘は脳を成長させるために必要なものだから怒っちゃいけない」とおっしゃっていたのですが、親としてはつい「嘘はダメ」って言っちゃうんですよね。
錦戸:下心が見えるなど、私利私欲のための嘘はきっとダメなんじゃないでしょうか。
菊地:一つの嘘で人生が変わってしまうことだってあるし、どれを嘘と思って生きるかという価値観の話になってきちゃう。私の中ではセーフの嘘でも、人よってはアウトになる場合もあるし、嘘って1個のカラーではなく、たくさんのカラーがあるんじゃないかな。
錦戸:嘘をつく=自分を騙(だま)すことでケツを叩くパターンもあるから、いろいろな嘘があるんだなと今回の作品で実感しました。僕はほぼ毎日というくらい嘘をついているから、ヒヤヒヤしながら、グサグサ刺さりながら皆さんのセリフを聞いていました(笑)。嘘への向き合い方をちゃんと考えなあかんなって。
塩野:ちょっとした嘘や優しい嘘はあってもいいと思いますが、昨今、何が真実で何が嘘だかわからないニュースが飛び交っている。嘘によって翻弄されたり、傷ついたりする人も多いと思うので、嘘か本当かわからないものには触れないことが一番だなと最近とくに思います。
僕自身は嘘が苦手で、多分、すぐにバレちゃうんです(笑)。平和な嘘、墓場まで持っていかない、すぐにバラしてしまう程度の嘘ならコミュニケーションとしてありなのかな。
竹原:ライブ中に「最近、こんなことがあった」というおしゃべりをする中、“素材”のままで話すことはあまりなく、大概、いわゆる“盛り”があります。どこまでが“盛る”の範疇なのか、どこからが嘘になるのか、これについてはよく考えます。
お客さんにクスクス笑いをいただいたとき、胸に喜びが生じたならば“盛る”の範疇。罪悪感が生じたならば嘘。そのように判断しつつ、日々、真実と嘘の境目を綱渡りしております(笑)。
――ドラマでは「役者は嘘をつくことが仕事」というセリフが登場しました。
塩野:あくまでも持論ですが、なるべく嘘のないように作品を創っていくのが僕たちの仕事で、そこを無理やり引き出しても視聴者の方にバレてしまうと思うので、虚構をどれだけ真実と思い込んで表現できるか。
外から見たら嘘かもしれないけれど、僕たちの中では真実として向き合うので、役者の皆さんは、おそらく嘘が苦手なのではないかなと思います。
竹原:菊地さん、錦戸さん、塩野さんが本当に素敵なお人柄で、撮影期間の途中から私は自分の役柄をすっかり忘れ、完全に素の自分としてお三方に愛着を込めつつのお芝居となってしまいました。
役柄を徹底することができなかったわけですから、“役者は嘘をつくことが仕事”と照らし合わせるのならば、私は嘘が苦手なのだと思います。
