若者の街、東京・渋谷区。近年は外国人観光客も増える中、センター街などでごみのポイ捨てが深刻な問題となっています。

歩道の真ん中に無数のごみが捨てられ、カラスやハトが群がり、さらにごみを散乱させています。中には、消し損ねたたばこが入っているのか、煙が出ている空き缶も…。

このような現状を受け、12月10日、渋谷区議会は新たに、ごみのポイ捨て行為をした場合、過料2万円以下の罰則が科される条例を成立。

実際の運用では2000円程度になる見込みですが、この新条例は、2026年4月から施行されます。

「ごみ箱少ない」の声も…店側にも罰金

渋谷区が新たに打ち出した “ごみのポイ捨て罰金条例”に、街の人からは「それくらいとってもいい」「少し罰金が高いのでは?」という声が挙がる一方で、「そもそも渋谷の街には、ごみ箱が少ない」といった声も…。

渋谷に来た人:
食べ歩きとかした時に、ごみ箱ないと困るなって思うんで、もっと増やしてほしいなって思います。

インドから来たという観光客の男性も、テイクアウトで飲み物を買ったものの、ごみ箱が見つけられない様子。

インドからの観光客:
これはオレンジジュースが入っていたコップだよ。ごみ箱がみつけられなかったから、ホテルに持って帰るよ。

こうした状況を把握してか、新たに可決された条例では、コンビニやテイクアウトが可能な飲食店などの事業者に対し、「ごみ箱の設置」を義務付けることに。
設置を行わない場合は勧告や店名の公表を行い、従わない場合は最大5万円の罰金が科せられます。

店側にも迫られる「ごみ対策」。渋谷で香港料理などを販売するテイクアウト専門店からは、困惑の声が。

香港ストリートフード広報担当 ケン・ロさん:
(カウンターに)ごみ箱設置したので、小さいごみ箱はあるんです。でも、それが認められない場合は5万円“罰金”出ちゃうと…ちょっと困るかなと。
路面なので、大きなごみ箱の置き場がないですよね。設置するのは問題ないんですけど、すぐに警察が(注意しに)来るんです。言われちゃうから、ちょっと時間が欲しいですね、置き場がないですね。

ごみ箱を設置する場所がなく、カウンターにごみ箱を置いている

店先の飲食スペースにごみ箱を設置している、ケバブ店「SHIBUYA KEBAB センター街店」からは、別の悩みも。

SHIBUYA KEBAB センター街店 スタッフ:
これ他社、これコンビニでしょ…これもそうですよね…。

ごみ箱の中には、他店で購入したとみられる商品のごみが

ごみ箱に捨てられていた物の半分程度が、コンビニで売られているコーヒーやスナック菓子など、他店で購入された商品のごみ。さらに…。

SHIBUYA KEBAB センター街店 スタッフ:
着替えた洋服を捨てたりとか、多いのが靴ですね。靴屋さんもありますので履き替えてその靴をそのまま捨てていったりとか。
うちの方も、(ごみ)業者に朝方に来てもらって、(回収は)無料じゃありません。結構な値段いきます。買ったお店で(ごみの)処理をしていただきたいなというのが、本音ですよね。

事業ごみの回収には費用がかかり、勝手に捨てられたごみだとしても、全て捨てられた店側の負担となります。今回の条例により、これまでごみ箱を設置していなかった店舗との不平等さが改善することに期待しているといいます。

ポイ捨ての減少に向け、動き出した渋谷区。
渋谷センター商店街振興組合の担当者は、今回の条例が施行されることで、海外からの観光客の“意識改革”につながるのではないかという期待もあるといいます。

渋谷センター商店街振興組合 常務理事 鈴木大輔さん:
(日本の)若者が騒いでいる、ごみが残っているというのが大前提であって、そこにインバウンドが「ここなら捨てていいんだ」とか「(日本の)若者が飲んでいるから、ここで飲んでいいんだ」っていう、そもそも日本人のマナーの悪さから、そこに伝わっているっていうのが1番良くなくてですね。

(『サン!シャイン』 2025年12月11日放送より)