2024年の1人暮らしの65歳以上の高齢者の数は903万1000人。
厚生労働省によると、前年より47万8000人増えているということです。
そこで、『サン!シャイン』は工夫しながら年金生活を送る“1人暮らしの高齢者”を取材しました。
節約生活をポジティブに
まず取材したのは、都内の一軒家で1人暮らしをする紫苑さん(74)。

現役時代は、新聞記者などとして活躍。
2人の子供はすでに独立し、現在、1人暮らしのプチプラ生活をブログにつづり話題となっている、人気ブロガーです。

そんな紫苑さんの、年金受給額は9万4094円で1カ月にすると 4万7千円ほど。

紫苑さん(74):
こんなのもらっても小遣いで消えるよねと思って無視してたんですよね。
――生活はきつくない?
つい比べたり、人より劣っていたりすると引け目を感じたり、そういうものを節約生活がきっかけになって捨てたから、ものすごい楽になりました。
「節約生活で気持ちが楽になった」とは、どういうことなのでしょうか?

――昼ご飯は何を作る?
そうめんを食べます。
――1食あたりの目安は?
100円くらいですかね。
朝はヨーグルトとリンゴとパンぐらい。
紫苑さんの6月の生活費の内訳は…。

食費 1万716円
水道・光熱費 9092円
通信費 9651円
交通費 2000円
医療費 980円
日用品 2350円
保健など 1万2000円
合計4万6789円
光熱費や通信費は平均的ですが、目を引くのが「食費」です。
1カ月、約1万円での食生活を実践しているそうです。
1日あたり、約330円で収めなければいけませんが…。

紫苑さん:
トマトは1個100円ですかね。トマト高いですよね。
――小分けにして食べる?
そうそう、1個使うことはないですね。
食材は一度に使わず、数回に分けることで無駄をなくしているそうです。

〈昼食の食材〉
そうめん 1束
トマト 1/3
ツナ缶 1/2
お手製鶏ハム
かいわれ大根 1/3
合計・約110円で昼食が完成です。
さらに 紫苑さんは、節約生活に役立つ、“とある趣味”を持っていました。

紫苑さん:
(着物の)帯も手作りするんですよ。
「こぎん刺し」のクッションを2000円ぐらいで買ったのを帯にしたんです。買うと15万とか20万とかするんですよ。とても買えないからクッションで売っているのを買って、解体して帯にするんです。

紫苑さんの趣味は「服のリメイク」。
以前購入した着物の生地を使って洋服などを作っています。

小千谷縮を使った着物も手作り。お店で買えば、数万円はするそうですが…かかった費用は3000円。
――買えないストレスはない?
紫苑さん:
それが楽なんです逆に。
銀座に行くのがすごい好きなんですよ。買えないモノは美術館と同じだから、美術館ってどんなにすてきなものでも買えないじゃないですか。
それは銀座でも同じで。あとは(家に)同じようなものがあるなと思って作るとか。だから写真を撮ってますね。
買えないモノは“見て楽しむ”、そして“自分で作ってみる”。節約生活をポジティブに楽しんでいます。

紫苑さん:
こんなものがあったら便利、すてきだよってあるんだけど、お金がないとそういうものは
手に入りませんよね。だけど、それがいらないということになったら、お金って必要ないじゃないですか。
異世代ホームシェア
一方、別の形で暮らしを楽しむシニアも。

続いて、取材したのは、都内に暮らす70代の原和加子さん。5年前に夫が亡くなり、現在は、築約40年の一軒家で生活していますが、実は今、政府も注目する“ある取り組み“に参加しています。
小川さん「ただいま~」
原さん「おかえり~」

――どなたですか?
原和加子さん(70代):
4月から預かることになった明大の学生さんです。小川さんです。
原さんが取り組んでいるのは、その名も「異世代ホームシェア」。
自宅の使っていない部屋を学生に貸し出すという活動です。

原さん:
やっぱり1人暮らしはイヤ。
1人でいるとそのまま倒れても、ずっとそのままになっている可能性もあるじゃないですか。
夫が先立ち、自由で気ままだと思っていた1人暮らしも、いざ始めてみると寂しいもの…。
そんな原さんにとって「異世代ホームシェア」は不慮の事故や防犯にも備えられ、良いこと尽くしだといいます。
一方、部屋を借りている大学生の小川さんは…。

小川さん(18):
家に帰って孤独感がない。誰かが家にいるっていうのがいいなって思ったのと、あとは違う世代の方と話せるのは貴重な経験かなと思って参加しました。
今年 茨城から上京した、大学1年生の小川さん。
小川さんが支払っている家賃は、月3万円。約5畳の部屋をメインに、リビングなども自由に使って生活しています。
“貸す側”と“借りる側”、お互いの不安な点を補う「異世代ホームシェア」。
一緒に住んでいるからこその楽しみも。

原さん「空手のあれ(型)を見たい」
小川さん「空手のなんですか?」
原さん「空手の動作」
小川さん「動作?え~イヤだ~(笑)」
空手経験者の小川さんと盛り上がる原さん。
歳が離れているからこそ 会話が弾み、刺激になっているといいます。

原さん:
ある程度の距離があって、新しいことも教えてもらえる機会があるので、よかったなと思っています。
小川さん:
多分1人でいたら、本当に寂しいんだろうけど、誰かがいる安心感はあると思います。
お金や健康の不安を抱えつつも、前向きに、豊かに、単身生活を送るシニアたちの姿がありました。
(『サン!シャイン』2025年7月16日放送より)