連日、猛烈な暑さが続く日本列島。街から聞こえてきたのは、「夏の体臭」に関する悩みです。

40代男性:
エレベーターの中とか…(においが)あります。ツンとした、なんかさっきの乗っとった人かな?みたいな。

30代男性:
電車乗った時とかね、やっぱり「自分のにおい大丈夫かな?」ってなりますね。

国家資格である臭気判定士の資格を持ち、“におい刑事”として活動する松林宏治さんは、夏の気温上昇や猛暑期間の長期化などで、高温多湿の汗のかきやすい環境となり、『夏の体臭』が、年々大きな問題となっていると話します。

猛暑で気になる体のにおい。においの原因と、効果的な対策を専門家に詳しく聞きました。

夏のにおい気になる場所は「電車の中」が6割

一言に体臭といっても、大きく分けて「汗臭」「疲労臭」「加齢臭」「ミドル脂臭」の4種類あるといいます。今回は、「汗臭」と「疲労臭」について解説します。

「汗臭」は納豆や腐ったチーズのようなにおいがするといわれています。汗臭は全身で発生する可能性がありますが、特に頭やワキに注意が必要です。

「疲労臭」は、ツーンとしたアンモニア臭で、ストレスなどで疲労がたまり、血液から皮膚に染み出すことでにおうといわれています。疲労臭も汗臭と同じく、全身で発生する可能性があります。

『サン!シャイン』が、20代~50代の男女300名に『夏のにおい』が気になる場所について聞いたところ、女性6割以上、男性5割以上が「電車やバスの中」と回答。
他にも、「エレベーターの中」が女性、男性とも4割ほど、「街中ですれ違ったとき」は女性の4割など、狭い空間や至近距離でのにおいを感じる結果となりました。

体臭研究のスペシャリストであり、東海大学理学部の関根嘉香教授によると、においやすい距離というものがあり、コンサートホールなどしっかりと換気されている場所だと、25㎝ぐらい近づかないとにおいを感じませんが、自宅の寝室など密閉している場所では、1~2m離れていても、においを感じやすいといいます。

時間差でやってくる「汗臭」

まずは、夏場気になる「汗臭」。そもそもなぜ汗臭は発生するのでしょうか?

体臭研究のスペシャリスト・東海大学理学部科学科
関根嘉香 教授:

汗というのは元々そんなににおいはないんです。ですけども、皮膚の表面に出てくると、あかや皮脂と混ざり合い、皮膚の表面にいる常在菌がそれを食べて、分解するとそれが「汗くさいにおい」に変わるんです。
汗を放置してはいけないんです。こまめに拭いて上げることが大事です。

関根教授によると、汗をかいてから、菌が分解するまでに時間を要するため、汗をかいた直後はにおいがなくても、1~2時間後ににおいが発生するといいます。

対策として、汗をかいた際は「乾いたタオル」ではなく「ぬれたタオル」で拭くと「汗臭」を抑えることができるといいます。

――なぜ乾いたタオルよりぬれたタオルがいいのですか?
関根嘉香 教授:

実は、汗というのは体を冷やすためにかくんですね。ですから、水分を取ってしまうと体が冷えませんから、また汗が出てきてしまうんです。ぬれたもので拭いてあげて、体の表面をウェットにしておくと、体も冷えて、汗も収まってくると。
水分補給ももちろんいいのですが、汗というのは血液が元となっていて、その血液を作る原料が牛乳の中には豊富に含まれていますので、牛乳を飲むとさらさらしたいい汗になりやすいんです。
もともとの汗をつくるという意味では、牛乳がおすすめです。

洗っても落ちない「疲労臭」

夏に気になるもうひとつの“におい”である、「疲労臭」。ツンとしたアンモニア臭で、年齢や性別関係なく、ストレスなどで血中のアンモニア濃度が上昇し、血管から皮膚にガスとして染み出すといいます。

疲労臭のやっかいなところは、お風呂では落とすことができない点です。
疲労臭は、血管が張り巡らされおり汗もかきやすい「足」に出やすいという特徴があり、特に足の裏にある「母指球(親指の付け根にあるふくらみ)」やかかとを、お風呂上がりに嗅いでみて、ツンとにおうのであれば、「疲労臭」の疑いがあります。

関根嘉香 教授:
汗臭は洗えば落ちますが、疲労臭は洗っても落ちないんです。ですから、洗った後もなおツンとしたにおいがある場合は、疲労臭になっている可能性が高いと。

――食事で気をつけることはありますか?
関根嘉香 教授:

肉や魚などを食べ過ぎないということです。タンパク質は分解の過程でアンモニアが生成されます。タンパク質の食事が多いと、疲労臭の原因になりやすいんですね。そういったものを控えるというより、バランスのいい食事を心がけてください。
もうひとつは、腸内環境。ビフィズス菌などの善玉菌がおなかの中で増えると、疲労臭が下がりますので、腸内環境を良くすることも大切です。

視聴者からも、「ニンニクは影響しますか?(50代)」という質問が届いていました。

関根嘉香 教授:
影響しますね。よく口臭を気にされる方が多いのですが、実は口臭だけでなく、体からもじわじわでているんです。

疲労臭を出さないためには、適度な温度でエアコンをつけて寝るなど、睡眠の質を高めて疲労改善をはかってください。
また、日陰で緑のある公園などでリラックスしたり、外に出る際は、日傘を使用することで直射日光によるストレスや疲労を緩和することができます。

(『サン!シャイン』 2025年7月30日放送より)