<落合陽介ギフレ コメント>
2024年4月11日、焼け跡に立ちのぼるすすの匂いと、春の日差しが交錯する中で、私はただ呆然と立ち尽くしていました。
焼け残った父のアトリエには、奇跡のように無傷で佇(たたず)む数々の絵。それらだけが、あの空間で唯一“生”を感じさせる存在でした。「なんとかしてあげたい」――その衝動のような思いから、父を知る人々に会い、ゆかりの地を巡り、父の絵とその生涯を知る旅が始まりました。
そこで知った、父の情熱と苦悩、その奥にある純粋さ…。肯定しきれなかった父に対し、深い愛情と尊敬が心に芽生えていきました。本展は、落合皎児という画家の力と光を、私なりに形にまとめたものです。ご覧いただくみなさまの心に、何かがそっと残れば幸いです。