今年デビュー35周年を迎える演歌歌手の藤あや子さん。

美しく引き締まったボディを惜しげなく披露した写真集「FUJI AYAKO」(講談社)が発売となります。

【先行公開写真(4月30日更新)】「FUJI AYAKO」を見る

極上のビキニ姿や一糸まとわぬ上半身ショットはもちろんのこと、沖縄の大自然の中で力強い女性美を表現した写真は圧巻の美しさ。

「いくつになっても美しくありたい」と願う気持ちは、女性なら誰しも抱くもの。それを体現する藤さんに、写真集の制作秘話と、体作りのためにしている運動や、美肌をつくる食生活など、美の秘訣について聞きました。

「いいよな、藤あや子」っていつまでも言われたい

――今回、写真集を出そうと思われた経緯から伺えますか。

最初は、「エッセイを出しませんか?」というお話をいただいて。ちょうど私も、節目の60歳という年齢だったので、エッセイ本というのもいいなぁと思ってお受けしたんです。ところが、本に掲載する写真を撮っていただいたら、仕上がりがめちゃくちゃよくて(笑)。

「(版型の)小さなエッセイ本に収めるのはもったいないので、写真集にしませんか?」と提案されたんです。「え!? まさか!」と思ったんですけども、こんなうれしいことはないので、もう「やります!」状態で臨みました。

――先行公開されたお写真は、当サイトでも大きな反響がありました。藤さんのご友人やご主人の反応も、上々だったそうですね。

親友の(坂本)冬美さんが「キレイだった!」とメールをくれたり、美川(憲一)さんも、「努力の甲斐があるわねぇ~」と。

旦那さんに関しては、最初はセクシーなものを想像したらしく、戸惑う感じだったんですけど、出来上がった写真を見せたら、「ああ、なるほど。いいじゃない!」と納得した様子でした。

撮影では、ケイト・モスのエッセイ本からインスピレーションをもらい、イメージを膨らませていきました。プロデューサーさんもカメラマンさんも女性というチームだったので、どの写真にも素の私が覗くような、女性がつくりあげた作品ならではの良さが出ていると思います。

写真集「FUJI AYAKO」より 撮影/浅井佳代子

ヨガ、ピラティス、キックボクシングとアクティブに体作り

――石垣島の森の中でのショットは、とても力強いですね。

あの場所は、何かとってもパワーを感じました。このときに着ていた普通のワンピースを、スタイリストの方がビリビリ!ってその場でどんどん破いていったんです(笑)。それがなじんでいますよね。

写真集「FUJI AYAKO」より 撮影/浅井佳代子

――朝日を浴びて、ビキニ姿で浅瀬に仰向けになったアップも美しいです。

この日は、まだ暗いうちに起きて、夜明けとともに海へ行き、朝日を待って撮影しました。

実は私、唯一苦手なのが水で、海がとにかく怖いんです。このときは、「耳まで沈んでください」と言われて、ホントにドキドキしながら撮りました。写真では平気そうな顔してますけども、実はすっごくドキドキして震えてます(笑)。

――浜辺でのヌーディなバックショットもインパクト大です。

普段、自分で背中を見ることなんてないから、これを見たときは、ちょっとショックでしたよ。「えー、こんなにバキバキなの?」みたいな(笑)。どこに力を入れてるわけでもないのに「なんなの、この筋肉?」って(笑)。でも不思議なことに、写真によって、背中の表情も変わるんです。

――体づくりは、以前からやっていらっしゃいましたか?

写真集を撮るために鍛えたわけではなく、10年前からヨガ、その後ピラティスも始めて、ピラティスの先生から紹介してもらったキックボクシングも2年半前から続けています。コロナ禍でスタジオに通えなかった間も、リモートでヨガやピラティスをやっていました。

――10年前にヨガを始めたのには、何かきっかけがあったのですか?

それまでの私は、運動も嫌いでまったくやってなかったし、普通に美味しいものを食べてお酒を飲んでという生活が何年も続いていたので、もうそのままいくつもりだったんです。若いうちは元気で肌のツヤもいいし、何もしなくてもきれいじゃないですか。

でも、40代くらいから徐々に、筋力や体力の低下を感じるようになって。このまま、どんどん老け込むのかな…という恐怖心が芽生えたんです。

それを拭い去るには、やっぱり自分が努力しなきゃいけないなって。でも、それが分かっていてもなかなか始められなくて、ようやく「ヨガくらいやってみようかな」と思えたのが50代になってから。

そのときはいよいよ切羽詰まって、「とにかくキミ、崖っぷちだよ。今ここで努力しないと、どんどん衰えるんだよ。いいんですか?このままで」って自分に暗示をかけました(笑)。

3年前から断酒も続行中「体調が良くなって、脇のお肉も消えちゃった」

――ヨガやピラティスを始められて、気になる部分も変わりましたか?

変わりましたね。女性って努力すればするだけ結果が出る生き物だと思うので、効果が表れやすいし、結果が出るほど面白くなるんです。ただ、いくらトレーニングをしても、脇腹がいまいちすっきりしないなと思ってて。そんなとき、ファッション誌に載っていた、当時50歳のジェニファー・ロペスの“ボン・キュッ・ボン”の引き締まったボディを見て、すごく刺激を受けまして。

彼女がトレーニングや糖質カット以外に何をしているかを調べたら、「アルコール NG 」って書いてあったんです。私はそれまで、シュワシュワ(シャンパン)は毎日1本ぐらい飲んでたし、「お酒のない人生なんて何が楽しいの?」と思ってたので、「アルコールNG!?」と。でも、それで気になる部分がすっきりするならやってみようと思い、アルコールをやめてみたんです。

それから3年近くが経ちますけども、1滴もお酒を飲むことはなく、体調もより良くなったし、気になってた脇のお肉もどこかに消えちゃって。という感じのところに今回のお話が来たので、まるで未来から逆算して、写真集のためにがんばってきたみたいだな、私(笑)、という感じがしますね。

写真集「FUJI AYAKO」より 撮影/浅井佳代子

――それほど好きだったお酒を断つのは、相当きついことだったのでは?

私も、ホントによくやめられたなって。ただ、私はやはり、歌手・藤あや子であるというプライドがあって。それは、ファンの皆様に支えていただきながら35年間かけて築き上げたもので、その姿を自ら汚したくないという思いがあるんです。やっぱり、「いいよな、藤あや子」っていつまでも言われたいし、これはシャンパン飲んでる場合じゃないなって(笑)。

それに、日本は長寿国と言われて、女性の寿命も延びているけど、ただ長生きできればハッピーなわけじゃないですよね。やはり、できる限り健康的で若々しく、美しくありたい。私はそういうテーマを自分に課して、それに向かって年を重ねていきたいと思うんです。

それによって、結果的に、自分のやりたいことがより豊かにできていく。たとえば、ヨガで自分と向き合う時間を持つことが、いい歌を歌えることにもつながっているんです。

――ヨガやピラティス以外に、読者が手軽にまねできそうなものはありますか?

たとえば腕立て伏せも、普通に床でやったらきついじゃないですか。だから私は、歯磨きの時やお風呂に入る時に、洗面台に両手をついて、ちょっと体を斜めにしてやります。脇を締めると肩甲骨周りが、脇を広げると二の腕が引き締まるので、それぞれ30回ずつ。

それと、シャドーボクシングでシュッシュッ!とパンチを繰り出すのを毎日100回。夜遅いと面倒になるので、隙間時間を見つけてちょこちょこと。これはどこでもできますからね。毎日やれば、二の腕のたるみも取れるのでオススメです。

お風呂では、湯船でさっと温まったら、ボディを粗塩でもんで、カッサで流して。それも、ヨガのポーズみたいに腕を上げながら流したりね。めんどくさいことばっかりしてるんですけど、結果に出るから続けられるんですよ(とにっこり)。

スキンケアで常にしていることといえば「蒸しタオル美容ぐらい」

――三日坊主にならないコツはありますか?

自分にできそうなことをやることです。私も、これなら続けられそうだなと思ったものは始めるんですけども、たとえばジョギングとかは絶対無理なので、最初からトライしません。自分にできる手軽な運動を、毎日の歯磨きや洗顔と同じように習慣にしちゃうのがいいと思います。

――藤さんのSNSには彩り豊かな手料理がよくアップされていますが、食生活ではどんなことに気を付けていますか。

食事にはもともとすごく気を使っていて、なるべく手作りのものを、バランスよく食べるようにしています。調味料も無添加ですし、お米や醤油、味噌などは、私のふるさとの秋田から取り寄せています。

無農薬の野菜は、皮や種などの野菜くずを捨てずに煮込み、ベジブロス(野菜出汁)を作って、小分け冷凍してあります。野菜の皮には、体の免疫力を高めたり、抗酸化作用のある栄養素が多く含まれていて、それを摂ることでデトックスになるんですね。なので、それを煮物や炒め物に入れたり、スープにして、お料理に使っています。

――カスピ海ヨーグルトも自家製だそうですね。

たね菌に無脂肪の牛乳を継ぎ足し、継ぎ足しして、もう20年ぐらい作ってます。それに豆乳とスーパーフードをたくさん入れて、毎朝食べています。スーパーフードは、マカパウダーにデーツやプルーン、インカベリー、ブラジルナッツ、インカナッツ、ピーカンナッツなど全部で15種類くらい。

それをヨーグルトに入れて混ぜると、最初は「これ食べるの?」っていう見た目になるんだけど、最後にアサイーパウダーを入れると、きれ~いな藤色になるのよ(笑)。朝はそれとフルーツを食べて、免疫力を高めています。

――それはお肌にもよさそうですね。

人間、年数を重ねるにつれ、お肌も年をとるのは当たり前のことです。でも、食事を工夫したり、お風呂で血行をよくしたり、運動で汗をかいて新陳代謝をよくすることで、お肌にもいい影響を与えられると思うんですよね。

私がスキンケアで常にしていることといえば、蒸しタオル美容ぐらいです。朝起きたら、石鹸などで顔を洗わずに、クレンジングで拭き取って、蒸しタオルを肌に乗せるだけ。そのあと、毛穴が開いた状態で美容液を塗って浸透させています。これですっぴんがとてもきれいになるので、蒸しタオルはオススメです。

――藤さんは、体づくりや美容法も、真面目に取り組むご自分を楽しんでいるように見えます。

よくストイックって言われるんですけども、私は本当にストイックな人とは違って、どこか自分に甘いんですよ。だから今も、鍛えていても甘いものはしょっちゅう食べるし、逆に体によさそうでも嫌なことはやらないです。ガシガシに鍛えて、ムキムキになりたいわけではないのでね。ただ、自分がやりたいことに関しては貪欲です。

そういう自分をときどき俯瞰して、「まためんどくさいことやってるなぁ~(笑)」って、面白がってるところはあるのかもしれないですね。

写真集「FUJI AYAKO」(講談社)は、4月15日(金)に発売されます。

撮影:河井彩美
取材・文:浜野雪江
プロデュース:KAORI OGURI
協力:FRIDAY編集部