7月4日午前7時すぎ、鹿児島・悪石島からの避難を希望する0歳から80歳までの住民13人が、鹿児島市に向けて出発しました。
6月21日から、3日午後5時までに観測された震度1以上の地震は、1050回。
さらに、3日午後4時過ぎには、悪石島で、トカラ列島史上初となる震度6弱を観測しました。

悪石島に住む 有川和則さん:
横揺れ縦揺れで、ちょっと表現できないような揺れです。
電柱がこう、上下左右、もう抜けるか倒れるかってくらいのかなりの揺れでした。
(他の島民も)必死っていうか通常じゃなかったですね。青ざめてる方もいっぱいいました。

この地震を受け、政府は総理官邸に対策室を設置。
気象庁は緊急会見を行いました。

気象庁地震火山部地震津波監視課 海老田綾貴課長:
きのう(2日)はですね、震度5強程度の揺れには注意してほしいと申し上げましたが、震度6弱は今回この地域では一番大きい震度になっています。
それ以上の知見は今のところありませんので、今般は当分の間、震度6弱の地震に注意してほしい。
今回の地震は、遠く離れた地域にも影響を与えています。

防災グッズを買いに来た客
夫:
妻が(非常食の袋を)開いて「賞味期限おかしくない?」「なんか足りなくない?」っていうので来ました。
妻:
1年くらい切れてるのがあって・・・。
連日の地震報道を受け心配になり、浦安市のホームセンターを訪れたという夫婦。
こうした客は増えているといいます。

DCM新浦安店 土屋副店長:
例年のこの月に比べると3倍、4倍近くで推移してます。
ものによっては4~5倍近く売れてるものもございます。
地震発生のメカニズム
『サン!シャイン』スタジオでは東京大学地震研究所・笠原順三名誉教授に地震発生のメカニズムについて解説していただきました。

トカラ列島近海では、フィリピン海プレートが常に動いており、ユーラシアプレートの下に潜り込んでいます。

東京大学地震研究所 笠原順三名誉教授:
(フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込むときに)一緒に岩石の中に水が入ってしまうんですね。
その水が深さ60㎞とか80kmまで来るとその水が出ると。
岩石に水が加わると融点が200℃ぐらい下がるんですよ。急激に下がりまして岩石が溶け出す。そしてマグマになる。地下からマグマがだんだん軽くなってきて上がってきて、そして海底付近まで達すると地震を起こす。これは群発地震として起きていると。
現在起きているのは火山性の群発地震であるということですね。

谷原章介キャスター:
今回震度6弱が出て、今後さらに大きなものが来る可能性というのはどうですか?
笠原順三名誉教授:
地震予知と今回のものとはかなりかけ離れていまして、普通地震予知で地震が起こる起こらないというのはプレート境界の地震なんですね。
今回はプレート境界の地震とは違って、火山性の地震でマグマが下から上がってくると。そして群発地震を起こすということなんですね。
群発地震というのは一般にはマグマとか水とかが上がってきてそして起こるんですけども、結構長い間起こるんですね。1週間とか1カ月とか数カ月とか非常に長い。
それが結構長く続いてマグニチュード5とか6が起こるというのは、いつ起こるか分からないんですね、それで予知が難しいと。
多分最大でもマグニチュード6クラス。震度でいうと6ぐらいのところまでは起こるけれども、これがマグニチュード7になるようなことはないというふうに思います。
マグニチュードは過去の例を見ると、群発的なものでマグニチュードが7というのはないといった方がいいですね。

神田愛花氏:
津波も起きにくいということですか?
笠原順三名誉教授:
7月2日午後3時26分の地震の震源は深さ1kmです。1kmというとほとんど海底付近に近づいていて、もしこれが、マグマが1kmのところから海底に噴出すると、海底に溶岩が流れる。そうなると海底に地殻変動が起きまして、津波が起こる可能性があります。
今回の地震は深さが30kmぐらいから1kmぐらいまで、こういう非常に広がった火山性の地震活動が起きているということですね。
谷原キャスター:
東日本大震災のように津波が広範囲になることは?
笠原順三名誉教授:
津波がもし起こるとしても局所的な物だと思われます。
火山性の溶岩が海底に流れ込む、これが津波の原因の一つになっています。
大地震の可能性?

松﨑アナウンサー:
今後、大地震の可能性はあるんでしょうか?
笠原順三名誉教授:
九州西方の地震活動というのは一般には火山性の原因なんですよ。熊本地震の時もそうですけれども、1週間ほど前に九州西方の地震活動がありまして、それが起きて、その後、熊本地震が起きた。火山性の地震ですけれども内陸に対して九州に対して影響がある。
九州の中の活動というのはそもそも沖縄トラフの延長上にありまして、これは火山性の原因が結構あるんですよ。それで九州の内部で地震活動がある可能性がある。
九州の中の地震活動というのは間接的に南海トラフに影響がある可能性もあると。しかしこれは非常に低いとは思いますけど。
谷原キャスター:
南海トラフが刺激されてより危険度が高まるということも言い切れないということですか?
笠原順三名誉教授:
全体に南西諸島海溝というそこのところのフィリピン海プレートの周辺の活動が活発になっているということであるから、南海トラフも間接的に影響を受けている可能性はありますね。
(『サン!シャイン』2025年7月4日放送より)