連日、各地で猛暑日を記録するなど、早くも“真夏”の暑さになっている日本列島。
暑さの影響で多くの人が抱えるのが「睡眠」の悩み。
『サン!シャイン』では、体温調節が難しいこの時期だからこそ知っておきたい“快眠術”を、日本の睡眠研究の第一人者で、将来のノーベル賞候補と言われる筑波大学の櫻井武教授にお聞きしました。
寝やすい空間を作る

筑波大学 櫻井武教授:
熱帯夜が続く今の時期に快適に寝るには、いかに寝やすい空間をつくるかがポイントです。
正しく眠るには脳の温度を下げる必要があります。睡眠というのは“脳のメンテナンス”なんです。いかに身体が寝やすい(脳の)温度に保つかが重要です。

就寝時、体が眠りやすい体温を保つために良いとされるお風呂の温度は、ぬるめのお湯で15分くらいがベスト。
熱いお湯に短時間の入浴だと、表面だけが熱くなり、体の内部まで温まりにくい一方、ぬるめのお湯に長くつかると、体の芯まで温まる。つまり、深部体温が上がりやすくなるということです。
櫻井武教授:
寝やすい温度を作るには、寝る前に一度深部体温を上げると、脳が体温を下げようとする。
その体温を下げるのを利用して、体温が下がるときに眠気が訪れる。
お風呂に入るタイミングは、寝る90分前が理想だといいます。
猛暑でも快眠したい!気になる疑問
Q布団の中で寝るまで読書することはNG?

櫻井武教授:
読書は睡眠を妨げにくいので、寝る前もOKですが、寝室以外のところでした方がいいです。ベッドの中で読むのは基本的にはあまり良くない。寝れるんであればOK。不眠症の人なんかはそういうことやるなって言われちゃうんです。
脳が興奮しない、読んだことがある作品がおすすめです。
Q音楽をかけながら寝るのはNG?
櫻井武教授:
睡眠環境として、無音がベストです。
寝るだけのために寝室とかベッドを使うというのが不眠症の方には理想だとされていますけど、音楽にはリラックス効果があるので、寝れる方は、寝る前に聴いて、無音にして寝るのが理想ではあります。
Q正しいエアコンの使い方は?

設定温度 24℃
風量 弱
風向き 風が体に直接当たらないように上向きに設定

谷本有香氏:
クーラーの温度設定がどのくらいにしたらいいのかわからなくて、寝つきはいいんですけど、その後必ず寒すぎて起きてしまったりとか、消すとまた暑くなって起きたりとかそういうことを繰り返すので…。

櫻井武教授:
おそらく最近のエアコンってサーモスタットの性能がいいので、気温って一定に保てているはずなんですよ。だからその状態で寒くなって暑くなったりということだと思うんですけど、寒く感じてしまうっていうことは寝具が足りてない。
薄手の布団だとか、その程度のものをかけてちょうどいい気温に設定するということですね。
寝ている時って起きている時よりも快適に感じる範囲、いわゆる温熱的中性域と言うんですけど、それが下がってるんですよ。普段よりもむしろ低めの設定が正しい。
“最強睡眠促進法”
①温かいタオルで足の裏を拭く

櫻井武教授:
末梢血管が詰まっちゃってるので、それを(温めて)拡張させて、放熱を促す。
櫻井教授によると、人間の体は快適な睡眠のために足などから熱を放出して脳の温度を下げているといいます。
ところが足が冷えていると血流が悪くなり、熱を放出する機能が低下してしまうといいます。

渡辺正行氏:
足湯とは違うんですか?
櫻井武教授:
足湯と同じです。血流が悪いのを改善してあげるという意味です。
スペシャルキャスター カズレーザー:
冷え性の人が靴下履くの、実は良くないみたいなのを聞くんですけど。
櫻井武教授:
靴下履いたままだと良くないです。靴下で放熱が妨げられるので。
②大さじ約1杯のハチミツを食べる

櫻井武教授:
血糖値が上がると覚醒をつかさどっている神経細胞の活動が下がるんですよね。
お腹が空いていると眠れないということなので、血糖値を上げる。
血糖値が上がるようなものじゃないとダメです。人工甘味料だとダメです。
寝付けない時の快眠術

○リビングのソファに座る
✕枕の高さを変えるのはNG→合わないと逆効果に
✕シャワーを浴びるのはNG→眠気が覚める可能性大

寝室で眠れない失敗体験が積み重なると、脳がそこを「眠れない場所」と認識。以降、「今日も眠れないんじゃないか」と、不安やプレッシャーでさらに眠れなくなる“不眠の悪循環”を生んでしまうため、眠れないときにはリビングなど別の場所に移動するのがいいそうです。
櫻井武教授:
眠くなるまで待つということですね。寝室だと「寝よう」という焦りが生まれてしまって寝れない不安が眠気を払ってしまう。余計覚醒の方に向いてしまうということです。
時間を置いていただければシャワー自体は問題ないです。
正しい快眠術
ポイント①電気の状態

リビングやダイニングは一部の電気を消して部屋を薄暗くするのが快眠につながるといいます。
櫻井武教授:
体内時計の問題です。夕方以降に強い光を浴びると、脳が「時刻が狂っている」と判定します。普段眠くなる時間が後ろにずれてしまい眠くなくなる。
ポイント②日中の昼寝

夜快適に寝るために昼寝をした方がいい時間帯は、午後1時から20分。
櫻井武教授:
午後3時以降に寝ると、眠気が取れてしまって睡眠圧が下がってしまって寝つきにくくなる。睡眠が浅くなってしまう。
昼寝って眠気を払うために寝るんですけど、20分以内で午後2時前後までがベストです。
長く寝ると逆にパフォーマンスが落ちてしまう。
ポイント③寝る姿勢

寝付けない時、寝る姿勢として一番良いのは「横向き」。
横向きに寝ることで気道が確保されて呼吸がしやすく背中のムレも軽減できるということです。
(『サン!シャイン』2025年6月23日放送より)