今、都市部で相次ぐ野生動物、いわゆる「アーバンアニマル」が出没しています。
もし遭遇したら、どう対処すればいいのでしょうか。
『サン!シャイン』では野生動物の生態に詳しい、岩手大学・山内貴義准教授に解説していただきました。
都市部に迫る野生動物

東京農工大学などが過去約40年にわたり野生動物の分布域を調査したところ、
ニホンジカ2.6倍、イノシシ1.9倍、ニホンザル2.1倍、ツキノワグマは2.0倍に生息場所が急速に拡大していることがわかりました。

岩手大学 山内貴義准教授:
基本的に野生動物たちの生息数が増えて、「だんだんと都市部に迫ってきている」というのが今の状況だと思います。

MC 谷原章介:
僕も家の近くでハクビシンに遭遇したことあります。ハクビシンは肝が座ってるんですよ。
夜中ちょっと酔っ払って気持ちよく歩いてたら、ドン!と音がして、塀から飛び降りたらしくて道の真ん中でこっちをにらんでいるんですよ。
猫とかってちょっと威嚇したらすぐ逃げるじゃないですか。ハクビシンは全然逃げない。威嚇もしてきました。
岩手大学 山内貴義准教授:
人に慣れてるっていうのと、人は何もしてこないと学習してますので、ちょっとなめた態度を取ってきている動物が増えてきていますね。威嚇もしてくると思います。

渡辺和洋アナウンサー:
実際に、人身被害や交通事故、そして感染リスクなどが増えているという状況にあるわけですよね。
岩手大学 山内貴義准教授:
生息数が増えていって、交通事故であるとか列車事故などの衝突事故が増えたりとか、そういったいろんなニュースになることが多くなっています。

野生動物は東京都内でも増加しています。
都内での捕獲数を見ると、ハクビシンは2004年には7頭だったのが2023年には623頭に。アライグマの捕獲数は、2004年には0頭、2023年には1300頭に増加しています。

MC 谷原章介:
ハクビシンは都市部に適応性があるんですね。
岩手大学 山内貴義准教授:
ハクビシンやアライグマというのは、大型の動物と比べてやっぱり体が小さくて都市部に入り込みやすいということと、都市部には意外と彼らの餌となるようなものがたくさんある。身を隠す場所もいっぱいある。
ハクビシンは高いところが好きなので、そういった立体的な構造のところも自由に動けるということでうまく適応しているという感じです。

佐藤ゆかり氏:
都会で捕獲して、山に戻して、餌付けを山でして山で生息するように学習付けることはできないんですか?
岩手大学 山内貴義准教授:
それもできなくはないんですけども、おそらく一度都会の味を知ってしまったものが帰ってくると思います。
空き家が“アニマルハウス”に
“アーバンアニマル”は出没するだけでなく、住宅にすみ着いて繁殖までしているという実態があります。

『サン!シャイン』が取材した東京・世田谷区では、10年以上前から複数の家が空き家となっており、ハクビシンやアライグマのすみかに。通称“アニマルハウス”と呼ばれる事態となっています。

渡辺アナ:
住みやすい場所が空き家であるということなんでしょうか?
岩手大学 山内貴義准教授:
餌となるようなものが都市部は意外と多いというのと、例えばゴミをあさったりすると人間の食べ物って栄養価が非常に高いので、少しでも栄養が取れるというのと、あとは実際空き家とか廃屋というのも今増えています。そういった寝床も提供されているということで増える要因が非常に多くなっているということになります。

実際に、アーバンアニマルにより、壁などの穴を広げたり、屋根裏にすみ着き足音などの騒音被害、ふん尿によって天井板が腐ったり、ペットの金魚などが食べられるといった被害が出ています。
アーバンアニマルの対処法
「鳥獣保護管理法」により、アライグマ(特定外来生物)やハクビシンは自治体の許可なく捕獲できないという決まりがあります。

岩手大学 山内貴義准教授:
一応法律上は野生動物を勝手に捕まえることはできないということになっていますので、まずは捕獲してほしい場合には、各自治体によって対応が違いますから、各自治体にまず相談をして、捕獲体制を整えるということが重要だと思います。
まずは入ってこないようにどういうところを移動したのかというのをちゃんと把握して、例えば穴が開いていたら、本当に8cmぐらいの小さい穴があれば簡単に入っちゃうと言われていますので、そういった穴があればちゃんとふさぐとか、餌となるようなゴミとかそういったものを放置しておかないとか、そういった対応が必要だと思います。
さらに、皮膚への接触だけでなく、ふん・ダニなどを媒介し感染症の危険性があるため、目撃された場所の周囲に近づかないことが重要だといいます。

岩手大学 山内貴義准教授:
野生動物ということで、引っかかれたりとかして病気がうつる可能性というのも十分考えられますから、捕獲できないというのは動物側を保護するというわけではなくて、捕獲するということは非常に危険を伴う作業ですので、勝手に捕まえられないようにして人間側の安全を保っているということなので、行政に相談してこういったケガとかもしないように捕獲を進めてもらいたいなと思います。
(『サン!シャイン』2025年6月11日放送より)