伝統を守りつつも、新しい時代に、新しい“あり方”を模索し挑戦していく。
その姿勢は、團十郎さん自身の“芸”への探求にも反映されています。

最新作の舞台『SEIMEI』は歌舞伎の要素もありながら、
楽曲はLUNA SEAのギタリスト、SUGIZOさんが担当。SUGIZOさんは3月21日の公演に特別出演することも決定しました。
また神楽の振付けは世界的ダンサー、ケント・モリさんが担当しているなど、
“市川團十郎”として挑む現代的なエンターテインメントとなっています。

團十郎:
やはり新しいこともここ数年出来ていないな…ということは私の中でもありまして。挑戦するということを忘れちゃいけない…っていうことの中での興行なのかなって思います。

伝統を受け継ぎつつ、現状に甘んじずに“歌舞伎”の未来を見据え続ける…そんな團十郎さんの人生に大きな影響を与えたのが、妻・麻央さんの病気でした。

麻央さんの病気と家族への愛

團十郎:
やっぱり家族に対しても、先祖、また歌舞伎というものに対しても、仲間に対しても、「愛」というものがないと駄目なんだなってことを感じますよね。

今回のインタビューで團十郎さんが選んだ、人生で大切にしている言葉「One Word」は、「愛」。

ーーいつ頃から「愛」を意識するように?
團十郎:
やはり子どもと接するようになってからですかね。それこそ昨日は子どもたちとスポーツ、バスケとサッカーをして一緒にいる時間も尊いですけど、終わった後にみんなで食事をしてで、幸せそうに「お腹いっぱい」っていうのを見る…その時がやっぱり「愛」のカケラなんじゃないかしら。

團十郎:
あとはその、麻央が病気になってから。
それまで愛なんか考えたこともないような人間だったんですけど…。

團十郎:
やはり時間は経ちますが、ぼたん(娘)と新之助のお母さんですし、手を合わせるじゃないですか。(仏壇に)写真も飾ってるじゃないですか、家に。
子どもがスクスクと…もうすぐ、せがれも小学校を卒業する。(麻央が)見てくれるかなとか、そんなようなことは思っちゃいますよね。
それを愛しているのかって言われたら、どうなんですか?わからないですが…。

團十郎さんの様々な思いが込められた「愛」。
その気持ちは、團十郎さん自身も両親から受け継いだものだといいます。

團十郎:
(自分が)幼い時わかっていたかと言うと意外と分からなくて、父が2013年に旅立った時に「うわ、そうか…」って。
抱きしめるとかキスをするとかそういう愛じゃなくて、
團十郎を育てる愛とか、父も團十郎を全うしていながらも、子供と家族として過ごしてくれた時間とか、そういったものを感じましたね。

名前と共に子どもたちに受け継いでいく、親からの「愛」。
そんな子供たちと叶えたい、目標が…

團十郎:
子どもの成長を見守って 子どもがのびのびと笑顔でいられるような 親父でいることが目標ですね。

ーー親子三代での襲名は?
團十郎:
彼(新之助)が11歳。ぼたんは13歳ですから。新之助が30歳で結婚しても35年後じゃないですか。だいたい見積もって40年後。ギリギリですよね…。
あんまり期待してないですけど(笑)。孫の顔は見たい。


(『ノンストップ!』 2025年2月21日放送より)

市川團十郎 最新作 JAPAN THEATER『SEIMEI』
【東京公演】2025年3月1日(土)~3月23日(日) 
      THEATER MILANO-Zaにて上演中
< 出 演 > 市川團十郎 / 嶋﨑斗亜(Lil かんさい)
      市川右團次、中村鷹之資、市川男寅、大谷廣松、市川九團次

※最新情報:3 /21 (金) 昼夜2公演にSUGIZOの特別出演が決定!