家庭での食品廃棄量が年間約740万tと、“食品ロス大国”と指摘する声もある日本。
消費者庁は「食品ロス」を減らすため、期限表示を延長するガイドラインの改正案を示しました。
今後、消費期限や賞味期限を「安全な範囲内でなるべく長く」設定するよう事業者に求めるといいます。
また、「おいしく食べられる期限」の賞味期限と、「安全に食べられる期限」である消費期限には、分かりやすい説明を記すことも推奨されます。
既に食品メーカーの「キューピー」では、一部商品の賞味期間を12カ月から13カ月に延長。他にも、延長を発表する企業が続出しています。
横浜市のスーパー「セルシオ和田町店」で食品バイヤーを務める久保田浩二さんは、現在20万円ほどかけている食品廃棄の経費を圧縮させることができ、さらに、賞味期限が延びることで、値上がりする前に多くの商品を確保することで、消費者に安く提供することができるのではないかと期待を寄せます。
「賞味期限」が延びる可能性
2025年3月末をめどに公表される予定の「食品期限設定のガイドライン」。
食品に記載されている「期限」は2種類あり、弁当や調理パン・肉類や生麺類など品質が急速に劣化するものは、「消費期限」。
スナック菓子や缶詰、乳製品や冷凍食品など品質の劣化が比較的緩やかなものは、「賞味期限」が記されています。
このうち、今回の改定案で注目されているのは「賞味期限」に関するもの。
改正案が正式決定すれば、以下の食品の賞味期限が延びると期待されています。
・塩分が著しく高いもの
梅干し、漬物、塩漬けの魚卵など
・食品中の微生物が利用できる水分の割合を示す数値である「水分活性値」が低い食品
揚げ物、焼き菓子などの乾いた菓子・パルメザンチーズなど
・phの値が低いもの
酢の物(お酢を使った総菜)、果物、砂糖、ジャムなど
・ばらつきや季節変動が少ない食品
レトルトパウチ食品や缶詰
「世界的に見ても厳しい品質」“日本の生食文化”が影響か
では、ガイドラインの改正案によって、どのくらい期限が延びるのか。
わかりやすい「レトルトパウチ食品」を例に挙げると、商品によって多少異なるものの、約25%延びる可能性があるといいます。例えば、現行が約1年のものが、改正案では約1年3カ月になるのです。
世界と比べて、非常に食品の安全基準が厳しい日本。
なぜここまで厳しくしているのか、消費者庁のガイドラインの見直し検討会のメンバーである日本女子大学家政学部の小林富雄教授によると、それは「日本の食文化」が影響しているといいます。
ガイドライン見直し検討会メンバー 小林富雄教授:
日本は世界的に見ても厳しく品質を求める傾向がある。生食を好んできた歴史もあり、食品安全性の高さを担保してきたと同時に、自分たちに厳しいルールを課して食品廃棄物を増やしてしまった側面もある。
これまでは、様々な試験を受けた上で、さらに安全に食べられる期間に余裕を持たせるために「安全係数」と呼ばれる数をかけて、実際に期限として表示する日数より短く設定していました。
しかし、本来は「安全係数」が必要ない、加圧加熱殺菌している「レトルトパウチ食品」や「缶詰」にも使ってしまっている現状だったといいます。
今回の改定案では、これまで「目安」が記載されていた安全係数は、食品の特性などに応じて決定する必要があると規定。
さらに、安全性がより高い食品に関しては、そもそも安全係数を設定する必要はないといった見直しが盛り込まれました。
谷原「自分のサイクルで消費できる食品の買い方」
期限の表示については、消費者に対して「わかりやすい説明」を追加することも検討されています。
消費期限については、「期限を過ぎたら食べないでください」「〇月〇日までに食べきってください」などの説明を追加。
賞味期限についても、「期限を過ぎてもすぐに食べられないということではありません」「〇月〇日頃までおいしく召し上がれます」など。
MC谷原章介:
賞味、消費期限というのは、その基準を売ってくださる側の基準にするのも大事だと思うのですが、それと関係なく、自分のサイクルで消費できるような食品の買い方や使い方を身につけるのもすごく大事だと思います。
ただやっぱり、安全性こそが一番大事だと思うから、決して無茶なことはしていただきたくないですね。
食品期限の改正版ガイドラインが、今後「食品ロス削減」にどう貢献できる中身になるのか注目です。
(『めざまし8』 2025年2月7日放送より)
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