詐欺電話がかかってきた女性:
自分が何かに巻き込まれているのかなって。やっぱり(電話)番号を見て、もう警察って頭があったので、一瞬、詐欺だとは思わなかったです。

「詐欺だとは思わなかった…」と語ったのは 愛知県在住の女性。その手口は、悪質で巧妙なものでした。
実在する「新宿警察署」の番号から“なりすまし電話”

女性のスマートフォンにかかってきたのは、実在する新宿警察署の代表番号からの電話。
しかし、発信者は「警察」ではなく、何者かの“なりすまし電話”だったのです。

先週から「新宿警察署の番号から電話があった」という相談が急増。
3月14日(金)までの4日間で、約550件の相談が全国から寄せられていて、警視庁は「新たな手口の特殊詐欺の可能性が高い」として注意を呼びかけています。
取材をした女性に電話がかかってきたのは、14日の朝。
番号の末尾が、警察でよく使われる「0110」だったため警察だと思い、電話に出たといいます。

詐欺電話がかかってきた女性:
最初に「新宿警察署のものです。奈良県警から調査依頼を受けて調査しています」みたいな感じで。
「あなたの口座が悪いことに使われています。○○さんでお間違いありませんね」という感じだったので。
その後、警察を名乗る人物は女性に「奈良まで来て捜査に協力してほしい」などと求めてきたといいます。
不審に思った女性は、かかってきた電話番号を検索。
詐欺電話がかかってきた女性:
(電話を)調べたらやはり新宿署っていうのは合っていたので…。

しかし、その後電話を録音しようとしたところ、相手に気づかれ、そのまま切られたといいます。

詐欺電話がかかってきた女性:
もしそれ(通話)がそのままだとしたら、個人情報じゃないですけどもうちょっとしゃべっていたかもしれないと思いました。

これまでの特殊詐欺で表示されるケースが多かったのは、海外からの着信であることを知らせる「+」から始まる番号。しかし、今回 表示されたのは、実在する警察署の番号でした。
なぜ「新宿警察署」と同じ番号が表示されたのでしょうか?
「電話スプーフィング」を使った巧妙な手口
『めざまし8』はインターネット犯罪に詳しい森井昌克氏に詳しく聞きました。

森井昌克氏:
「電話番号スプーフィング」という技術を使ったと考えられますね。今の新しい技術を使ってしまうと、どんな番号でも表示できてしまう。
たとえ警察であろうが、自分の自宅の電話番号であろうが一概には信じてはいけないということです。

「電話番号スプーフィング」とは…
詐欺グループが海外のインターネットサービス会社と契約し、表示させたい“偽番号”を登録。詐欺グループがこのインターネット会社に電話をすると、会社側が、登録した“偽番号”を表示させる信号を基地局に送り、ターゲットの電話に“偽番号”が表示されるという手口です。
MC 谷原章介:
これは違法ではないんですか?
森井昌克氏:
これは今も電話会社が行っています。例えば、会社で営業の人が自分の携帯電話から電話をかけると、相手に代表番号が表示されるというような、ある意味便利なサービスです。
当然、これを詐欺に使うと違法になります。
MC 谷原章介:
最近可能になった技術だから急に使われ出した詐欺の手法なんですか?
森井昌克氏:
実は、同じような詐欺が20年以上前からあるんですね。国内でも詐欺が多発して、国内においては、こういうことができないようにしようということで、しっかりと監視して、それができないようにはなったんですけど。残念ながら、海外からということになるとなかなか分からない。
偽の番号表示対策は?

・番号表示を信じすぎない
相手側の身元を証明するものではなく、電話番号はあくまでサービスの一つ
・相手の詳細を必ず確認
警察などの組織名を名乗られた際は、名前・所属・役職などを聞き、当該組織に確認の電話をする
森井昌克氏:
今はフェイク動画やフェイク音声などもあって何が本当か分からないということで…やはり、確認をするということが大事ですね。
MC 谷原章介:
自分たちが気をつけることはできますけども、警察が、海外の国と連携を深めて対策をするということはできないんですかね?
森井昌克氏:
今も連携してやっています。東南アジアなどで摘発もされていますし、こういう詐欺に関しても電話会社とかと協力して防ぐということも当然できますので。警察の方は今、協力して対策をとっているというところです。
(『めざまし8』 2025年3月17日放送より)