2000年代にクイズ番組などで珍回答を連発し、“愛されキャラ”として、お茶の間の人気を集めたタレント・スザンヌさん(38)が、いま故郷である熊本で“新しい挑戦”を始めているんです。

早速、「めざまし8」が熊本にいるスザンヌさんの元を訪ねると、差し出された名刺に書かれていたのは「代表取締役」の文字。

そう、スザンヌさんは今、タレント活動を続けながら、社長として自身の会社を経営する立場にあるのです!

そんなスザンヌ社長が取り組んでいるのが「旅館経営」。私財を投じて、熊本市河内町に旅館をオープンさせるといいます。

取材中に時折見せる経営者としての顔

「めざまし8」は、新たな挑戦をするスザンヌさんに密着。そこには、かつての愛らしいイメージとは大きく異なる“社長・スザンヌ”の確かな哲学がありました。

故郷・熊本への“恩返し”…苦難の道のり

2025年1月21日、旅館のグランドオープンを10日後に控えたこの日、館内では準備が着々と進められていました。

スザンヌさんが旅館経営に乗り出したきっかけは、売りに出されていた老舗旅館「龍栄荘」と“運命的な出会い”を果たしたところから始まったといいます。

スザンヌ:
それまで河内町に来たこともなかったんですけど、外観見た瞬間「すてき」って。ある種の一目ぼれという形で。
すごくみんなに愛されていたんだけど、4年前に閉まっちゃって、みんなここで結婚式挙げたりとか、「私はここで生まれたのよ」っていう方もいらっしゃったり。
そんなみんなの思い出の場所なんだったら、私もちょっと…どうにかしたいなっていう気持ちになってしまい…。

70年ほどの歴史があるという「龍栄荘」。前のオーナー・久家久隆さんは、親子3代にわたり旅館を地域のシンボル的存在に育て上げました。
しかし後継者だった息子さんが4年前に亡くなり、廃業を余儀なくされたのです。

スザンヌ:
やっぱり私はずっとデビューから、「熊本出身のスザンヌです」と言わせてもらって、熊本の皆さんにたくさん応援してもらってきた20何年間だったので、そろそろ私も熊本の皆さんに恩返ししたいなって。

「熊本への恩返し」そんな思いで動き出したスザンヌさんですが、待っていたのは過酷な現実でした。

スザンヌ:
すごく古い旅館だったので、やっぱり漏電・漏水、そしてシロアリっていうのもダブル、トリプルパンチにいろんなことがあったりとか。屋根全部変えますっていうだけで、やれ2000万円、ボイラー変えるのにやれ何百万とか。

気がつけば、予算を大幅に超える、億単位の費用がかかることが判明。しかし、スザンヌさんは諦めませんでした。

スザンヌ:
「足踏みしてても靴底は減る」っていう言葉がすごく好きで。ダメかもって思っても、一歩、大きめに踏み出してみるっていう。

こうしたスザンヌさんの前向きな生き方は、母親のキャサリンさんの影響だといいます。

スザンヌの母親 キャサリンさん:
するって決めたら、するしか選択肢ないじゃないですか。だから、私はやるからには借金してでもやったほうが。「ママならそうする」って言いましたね。
私も、(自分の)お店始めた時に、もう本当に必死で働いたんですよ

「ママならそうする」そんな母の言葉を胸に、旅館にかけるお金を、15年で取り戻す計画を立て、前に進んでいきました。

そんなスザンヌさんに歴史ある旅館を託した、前オーナーの久家久隆さんは…。

「龍栄荘」前オーナー 久家久隆さん:
(龍栄荘は)大いに幅広くですね、やっぱり若い人からある程度の年配まで、女性も楽しめるような場所ですよね。河内の発展のためにもいいことだと思います。

スザンヌさんの手によって、新しく生まれ変わった「龍栄荘」は、随所に“こだわり”が詰まっています。

スザンヌ:
ゆったり、一人でも来たいし仲間とも来たい、そういうふうな部屋にしたいと思ったので。
ソファが(河内町特産の)みかんっぽい柄のソファにしたいということで。3人掛けなんですけど、2人でリラックスするのもいいし、寝ちゃいたくなるくらいふわふわのソファなので。カーペットはブルーにして海(有明海)の波のイメージをしてみました。

こだわりは室内のインテリアだけではなく、夕食で提供する料理も料理長とともに入念にチェックします。

料理長:
馬刺し、茶わん蒸し…。

スザンヌ:
ここはクイックリーでもいいもんね。まだおなかすいてるし。

「復活して良かった」見据える“未来”とは

そして迎えたオープン当日の2月1日。併設するカフェの店内は、ほぼ満席の盛況ぶり!

その中に、記念すべき第1号の宿泊者がいました。
東京から来たという宿泊客の男性。なんと、奇跡的に自身の誕生日とオープンの日が同じだったといいます。

東京から来た第1号の宿泊客:
もしかしたら僕の誕生日にオープンするんじゃないかっていう期待を寄せながらですね、待っていたら、見事に同じ日に重なったので。

男性には、スザンヌさんから自筆のお祝いメッセージがプレゼントされました。

「龍栄荘」を象徴する大広間からも賑やかな声が。
開かれていたのは、河内町で45年続く保育園の先生たちの食事会。理事長は、龍栄荘の古くからの常連だといいます。

保育園の理事長:
懐かしい、この海辺の旅館。龍栄荘の思い出もありますので、懐かしさとうれしさと、なんか元気をもらった。そういう意味で本当にあってよかった、復活してよかったなと思っています

38歳を迎えたスザンヌさん、今、どんな未来を描いているのでしょうか。

スザンヌ:
30代後半から40代を過ごすにあたって、ものとかじゃなくて人だったりとか、近所の皆さんの笑顔だったりとか、そういうものであふれたらいいなっていう思いがすごくあるので。この場所を愛してもらう、人を愛してもらうということが一番やりたいことかなと思います

(『めざまし8 2月6日放送)