2025年3月19日、日本でのMLB開幕第2戦。
緊張した表情で、球場入りしたロサンゼルス・ドジャースの先発・佐々木朗希投手のユニホームの腕の部分には、“デビュー”と書かれたワッペンが貼られていました。
佐々木投手の待望のメジャーデビューを、特別な思いで見守った人たちがいます。
岩手県大船渡市にある、佐々木投手の母校・大船渡市立猪川小学校。
岩手県陸前高田市に住んでいた佐々木投手は、小学3年生の時に東日本大震災で被災、父親と祖父母を亡くしました。
その後、大船渡市へ引っ越し猪川小学校に転校。そこで「猪川野球クラブ」に加入すると、エースとしてチームの屋台骨を担ったのです。
現在、そんな「猪川野球クラブ」でエースを務めるのは、和泉鷹我くん(11)。
運動能力や野球センスも高く、コーチからも“第二の佐々木投手”として期待がかかります。
尊敬してやまないのは、もちろん…「佐々木朗希投手」。
「猪川野球クラブ」エース 和泉鷹我くん(11):
佐々木朗希選手は、ものすごいストレートとフォークで、メジャーでも三振をとっているところがかっこいいなと思いますね。
6年前に佐々木投手が地元に帰ってきた際にもらった名前入りの直筆サインは、今でも鷹我くんの宝物です。
その日の練習が終わったのは、試合開始15分前。
子どもたちは急いで片付けを始め、監督も「頑張って急いで!」と試合に間に合うよう促します。
鷹我くんが家に着いた時にはすでに試合は開始していたものの、佐々木投手はまだ投げていませんでした。そして迎えた初登板…。
「猪川野球クラブ」エース 和泉鷹我くん(11):
はい打ち取るよ! ウェーイ!!鈴木誠也から三振取ってる!?
3回裏、佐々木投手の大ピンチには、一緒に見ていたチームの仲間たちと「ドンマイドンマイ!」「佐々木朗希に任せろ全部!」と声を上げます。その後も、真剣なまなざしで試合を見つめ続けました。
「猪川野球クラブ」エース 和泉鷹我くん(11):
やっぱり、憧れを持っているから。小さい頃の(佐々木投手の)作文みたいので、「どんな人になりたいか」とかそういうのとかもあって、それを休み時間とかに見るんですよ。やっぱりこういう意識をもって練習しているから、今の朗希投手がいるんだなって。
災害続きの大船渡を「元気づける」存在
大船渡で固唾をのんで試合を見守っていた人は、他にも…。
佐々木投手と、小中高と9年間同じチームで野球を続けていた、立花綾都さん(23)。
佐々木投手の同級生 立花綾都さん(23):
高校とかまで、ずっと一緒に野球をやっていたので、(プロになってからも)サインほしいみたいにはならなかったですね。実感がわかなかった。
テレビで見ると、「あ、すげぇ」ってなるんですけど。1回ロッテ戦を見に行ったことあるんですけど、すごく並んでて、グッズのところ。朗希のユニホーム来ている人が結構いたりとか。あぁやっぱりすごいんだなと思ったりはしました。
東日本大震災で多くの死者・行方不明者が出た大船渡市。
今も復興への道のりが続く中、2月には大規模な山林火災が発生し、街に大きな被害が出ました。立花さんは、佐々木投手はそんな大船渡の“希望”だといいます。
佐々木投手の同級生 立花綾都さん(23):
震災と、この間の火事とで、やっぱり(大船渡は)災害というイメージがつきますよね。
(佐々木投手が活躍すると)地元の人たちには、いいニュースが入ってくるので、元気づけられる存在なのかなと思うんです。
今回、3回56球を投げ、1安打1失点でデビュー戦のマウンドを降りた佐々木投手。
初勝利はお預けとなりましたが、故郷を勇気づけたメジャー初登板となりました。
佐々木朗希選手:
日本のファンの前で投げることが出来て良かったと思いますし、素晴らしい雰囲気、日本独特の雰囲気の中で、投げることができて良かったと思います。
メジャーのいいバッターに対して、自分の球が最近の登板に比べて投げ切れたので良かったです。
(『めざまし8』 2025年3月20日放送より)