──演じる犬頭は、謎の多いキャラクターですが、セリフの言い回しやビジュアルなどで意識していることはありますか?
原作において犬頭は、黄色いコートを着ているとは明記されているんですけれども、それ以外は特に細かく表記されていないんです。“小説そのまま”を表現できない部分も多いため、ビジュアルや性格、立ち振る舞い一つひとつをスタッフさんとしっかり話し合いました。
ドラマオリジナルとなる表現や、原作にはない設定も出てきます。最後まで皆さんと会話を重ねながら、新鮮に、柔軟に対応していけたらと思っています。
犬の化身とも疑われる犬頭に上川隆也も「“人物”なのかな?と(笑)」
──スタッフの話し合いを経て、撮影をしていて、犬頭はどのような人物だと捉えていますか?
誤解なく受け取っていただきたいのですが、“人物”なのかな?と思っています(笑)。演じるうえでも、その不思議な感じと言いますか、「この人何考えているのかな」と思っていただけるようなキャラクターにできればいいのかな、と。

ドラマの制作が発表になっときに、「上川隆也、犬になる!?」と書かれていましたが、そういうところからズレないキャラクター性を大事にしたいということが、制作陣と共有している部分です。
──上川さんは愛犬家だそうですが、犬の化身なのではと疑われるような犬頭役のオファーを受けた際の心境はいかがでしたか?
みんな可愛いとは思いますが、“愛している”のはうちの子だけ。ですから、犬を愛でる気持ちと、犬になるという気持ちとは、違うところにあるなとご質問を受けて思い至りました。むしろ、ご大層なコピーを掲げてくださったなと思っています。
──愛犬・ノアールちゃんを見ていて、演技の参考にできそうだなと思ったことはありますか?
習性というか、犬の特性みたいなものに関しては反映できるものがあるかもしれません。けれど、たぶん彼女を数時間観察しても、犬頭さんとは通じようがないというのが実感です。
だからこそ自由に、僕が持っている概念としての犬らしさみたいなものにとらわれずに、いろいろな考えを持ち込んでいきたいなと思います。

──犬頭は足が速いなど人間離れした能力がありますが、演じるうえで大切にしていることを聞かせてください。
原作を読んだ際に、犬頭の突拍子なさすぎる立ち振る舞いが作品の大きな魅力になっていると感じました。そこは大事にしたいですね。
ドラマではドラマなりの突拍子もない表現や行動が描かれるでしょうけれど、「犬頭だから」で済むキャラクターになっていればいいなと思っています。