40代から50代にかけて誰でも直面する可能性があるという「ミッドライフクライシス」。
40歳を過ぎて気をつけなければいけないのは、体の不調だけではありません。
仕事上の役割が変わる、子供が手を離れる、更年期症状や老化など中年期に起こる変化に心がついていかず「人生このままでいいのか」と悩むこと、自己肯定感が下がり場合によってはうつ状態に陥ることもあるといいます。
6月19日放送『ノンストップ!サミット』では、“中年の危機”と名付けられるその実態に迫りました。

最近ではセミナーが開催されたり書籍が出版されたりするなど、関心の高まりをみせる「ミッドライフクライシス」。
実際にセミナーに参加していた当事者に話を聞くと…

一之瀬麻里さん(49):
主人は当然外に自分の世界があって子供たちもそれぞれの世界に入っていっちゃって、私だけポツンと取り残されてという感じですね。

立本信吾アナウンサー:
「ミッドライフクライシス」
改めて説明しますと、人生の折り返し、いわゆる中年期に環境や体の変化がきっかけで起こる不安定な心理状況を指し、“中年の危機”などとも言われているんですね。
“不安定な心理状況”とはどういったものかといいますと、例えば焦燥感や不安からイライラしたり落ち込んだり、自信を失って自己肯定感が下がったり、やる気や関心が持てず虚無感に襲われること、こういったことがあるということなんです。

精神科医・水島広子さん:
いろいろな変化が大体4月あたりに起こってきて、適応して頑張ろうとする時期がちょうど一段落するのが6月ごろ。(ミッドライフクライシスは)可能性としては誰にでも起こり得ることだと思います。

ミッドライフクライシス 陥った場合の様々な心理傾向

MC 設楽統:
やっぱり40代~50代を中心に多いってことですか?

精神科医 水島広子氏:
はい。ちょうど40代~50代って社会的な役割とかあと家庭内での役割とか、あと体ですよね、老化を感じるようになってくるとか。やっぱりそういう変化がある時期なので、その変化にうまく適応できないと、クライシス状態になると考えられます。

設楽:
深刻な場合どういうリスクが考えられるんですか?

精神科医 水島広子氏:
深刻な場合は最終的には本当にうつ病までなっちゃうんですけれども、そうじゃなくても本当に家族や周りとの関係がすごくぎくしゃくしたりとか、あるいは本当に閉じちゃうとか、あとは仕事がうまくできなくなるとか、空回っちゃうとかそういうふうになります。

立本信吾アナウンサー:
「ミッドライフクライシス」
は、もし陥った場合、どんな心理傾向になるのか具体例をまとめました。

・仕事や家庭でやりがいを感じられなくなる
・他人や過去の自分と比較することが増える
・過去を後悔し やり直したいと感じるようになる
・身体の変化や老いを受け入れられない
・家族など周囲とのコミュニケーションが減る

設楽:
市井さんはいかがですか?

市井紗耶香(42):
そうですね、私の場合は人と比べちゃうっていうのが、どうしてもありますね。
SNSを見たりすると、同じ世代で子育てしてて周りはすごく華やかに見えたりする一方で、「きょうちょっと自分できてないな」とか「この人はできてても自分はどうなんだろう」っていうのを比較しがちですね。

カンニング竹山(55):
さきほどの項目は全部やっぱりありますよね。自分で対処していくしかないから。僕の場合はもう何も考えないようにするっていうか、自分に全く期待をしないっていう、のほほんと生きるっていうことでガス抜きじゃないけど、やりますよね。

千秋:
私のYouTubeでラジオをやってるんですけど、この「ミッドライフクライシス」のことを テーマにしたらめちゃくちゃ反響がすごくて、男性だったら仕事や会社内のポジションのことでこういうふうになったりとか、女性だったらちょうど子育てが終わったぐらいで「私、人生何しよう」みたいなのがあって…、
でも昔は こういう名前がなかったけど最近名前がついて、項目がこんなにありますよって言ったら、みんながどこかに 当てはまるなって。

婦人公論元編集長 三木哲男氏(67):
僕はね、これがあった日もありましたよ。編集長を退任した時、やっぱり自分で何やってるか分からなくなって。編集長ってもう何から何まで全部自分で決められる全権なんですよ。やりがいもあるんですけど、降りた後本当になんか抜け殻みたいになって、数カ月やっぱり立ち上がるのに時間かかりましたね。

ミッドライフクライシスに陥りやすいタイプは?

立本アナ:
ミッドライフクライシスに陥りやすいタイプの方がいらっしゃるということなんですが、それがこちら「“自己中”ではない人」ということなんですが?

精神科医 水島広子氏:
はい。自分がやりたいことよりも周りに期待される役割を一生懸命やってしまう人たちは、やっぱりその役割がなくなったり変わったりすると、すごく不安になったりとか、これからどうしたらいいんだろう、これまで何をやってきたんだろうみたいな、何かもう人生終わってしまったみたいな虚無感に襲われると。

立本アナ:
どんなきっかけでこのミッドライフクライシスに陥るのか、例えばこういうことですね。

■47歳会社員の女性
私は未婚で子どももいない
だからといって仕事人間でもない
何者でもないし何も残していない

設楽:
こういった心理状況になったりもするということですか?

精神科医 水島広子氏:
このくらいの年齢になるとそれぞれのライフスタイルの違いがすごくはっきり見えてくるので、また「この先自分はこうもなれない」みたいなのもはっきり見えてくるので
そういう気持ちになりやすいとは思います。

設楽:
確かに20歳とか若い時って漠然と将来はなんかこうだって思うけど、自分は50歳を超えてますけど、なんか後ってカウントダウンの思考というか、そうするともうここから何十年先のこととかを描けなかったりっていうふうに考えちゃうのは分かりますね、普通に。

精神科医 水島広子氏:
特に女性の場合は結構、「妊娠が可能か」みたいな見方で、40歳を区切りに考える人が多いので、「もうこれから自分が子供を持つことはないな」ということが結構意識されてくる。
ただ本当にそれを強く感じる時って、SNSや同窓会などでキラキラしている他人を見てしまって、衝撃を受けてしまう時に多い感じ方で、みんなが四六時中こういうふうに思っているわけじゃないんですね。
だから一つはキラキラした他人を見ちゃって自分と比較しちゃったから、今はこんな風に自分は何者でもない…と思っちゃうけれども、とりあえず毎日を、日常を丁寧に暮らそうというふうにしていくことで、また足元が固まっていったりします。

あとは本当に社会に何かしたいのであれば、自分の身の回りの人に明るく挨拶するとか、あるいはコンビニにある募金箱に匿名寄付するとか、
ちょっとでも人に与えるようなことをしていくと、こういう「自分は何者でもない」みたいなところから結構脱しやすいんです。

ミッドライフクライシスに陥った49歳女性「自分ってなんだろう」

『ノンストップ!』が話を伺ったのは、ミッドライフクライシスのセミナーに参加していた一之瀬麻里さん49歳。夫と、大学生と高校生の子ども3人がいる、5人家族です。

一之瀬さん(49):
子供たちが手を離れて私が一人で家にいる時間っていうのが増えた時期あたりから「私の存在意義って子供の送り迎えが終わってあとは帰ってきた時にご飯出せれば、あとはなくない?」っていう、なんか本当に「自分ってなんだろうな」に直面しなきゃいけない時間が来たっていうか…。

27歳の時、結婚を機に仕事を辞めて専業主婦に。
30代は3人の子育てと家事に追われてきましたが、一番下の子供が小学生になった40代に差し掛かる頃、心にぽっかり穴が開いたといいます。

自己否定によってマイナス思考に心の余裕がないことで、夫や子どもにも厳しく当たってしまうことが増えたといいます。

自分の存在意義は何なのか?
悩み続けた末、45歳の時にあるセミナーを受講したことがきっかけで、自分を苦しめていた正体が分かったといいます。
それは一之瀬さんが家事や育児などすべてにおいて、「ちゃんとやらなきゃ」と自分に厳しいルールを課していたこと。

一之瀬さん(49):
他のお母さんっていう立場の人がそんなに私ほどガチガチじゃないんだなっていうのも、そこで初めて知ったような。
「そんなふうじゃなくてもよかったんだ」っていうのに気がついて。

子供は遅くとも夜8時までに寝かしつける。どんなに疲れていても夫の帰宅を待ち夕飯を出す。など自分が決めた理想の母親像に縛られて苦しんでいたことに気づいたといいます。

市井紗耶香:
自分のことを言われているような気がしました。私も結構完璧主義じゃないけど、この時間までにこうしなきゃとか、あと長女がもうすぐ20歳になりますけど、やっぱり20歳で子供を産んだというのもあるので、なんかこう周りの人に「子供が子供を育ててる」みたいに思われたくないっていう気持ちがすごく強くて、その反骨精神みたいな部分で、絶対立派に育て上げていきたい、という中でずっとやってきているから。
なんか一之瀬さんの気持ちがすごくわかりますね。
自分で自分の気を締めちゃってる、どこかで誰かに認められたいというか、家族以外の人に「そのままでいいんだよ」っていうふうに言ってくれる人がいたら、どれだけすごく楽になるかなって、すごく共感しました。

設楽:
松村さんも子育て中ですけど?

松村未央アナ:
私は母親が専業主婦だったので、家のことをすごくよくやってくれていた母親だったので、私もそうしなきゃみたいなプレッシャーはありました。でも、仕事をしながら家事育児って結構大変だったので、私の中では「まあいいかと思える日があってもいい」というか、ちょっと手を抜いてもいいっていう日を作るようにしています。

設楽:
先生、この子育てや家事に追われていく過程の中で、自分の存在意義を悩んじゃうって人は多いんですか?

精神科医 水島広子氏:
家事育児に追われている間って、やっぱり「べき」っていう考え方ですよね。「母親なんだからこうすべき」とか「子育てはこうすべき」みたいな「べき」に縛られるというのは、自分も苦しめるし、実は相手も苦しめるんですよね。
存在意義ということでいけば、その「べき」の上に立った存在意義みたいなのは実はすごく苦しいし、後々本当に「ミッドライフクライシス」を迎えてみると。実はすごく脆いものだったりするので、やっぱりいろんな意味で「べき」っていうのは要注意で、そこからどれだけ解放されて自由に生きられるか、「べきじゃなくやる」っていうのはすごく大切ですよね。

(『ノンストップ!』2026年6月19日放送より)