朝、子供がなかなか起きてくれない…。起きた後も、なんだか調子が悪そう…。
皆さんも子供の頃、こうした経験ありませんか?
実はこれ、ただ「寝起きが悪い」ということだけではない可能性があるのです。

昭和医科大学 田中大介教授:
小学生の約5%、中学生の約10%ぐらいのお子さんが「起立性調節障害」にかかっていると言われています。

「起立性調節障害」とは?

「起立性調節障害」とは、成長期の急激な身体の変化に子供の自律神経の発達が追いつかず、体調不良になったりする病気。
通常は起き上がったとき、自律神経の働きで血流が全身に行き渡りますが、起立性調節障害の人の場合、血液が脳などにうまく行き渡らず、ひどい場合だと頭痛やめまい、立った後の気持ち悪さなどの症状があるといいます。

起立性調節障害の専門医 昭和医科大学 田中大介教授:
「起立性調節障害」は低気圧や夏の暑さに非常に影響を受けやすい。それがきっかけで起立性調節障害を発症するお子さんもいるので注意が必要になります。

さらに、子供たちが苦しめられるというのが、主に朝方に症状が出やすいことから起こる「サボりじゃないか?」という周囲からの誤解。

具体的なサインや、受診の目安は?
親世代も知っておきたい「起立性調節障害」について『ノンストップ!』で徹底解説しました。

起立性調節障害のサイン

起立性調節障害は主に、頭痛・吐き気・めまいのほかに、朝起きられない・午前中に調子が悪い・入浴時に気分が悪くなるなどの症状があります。

ゲスト出演したみりちゃむさんも起立性調節障害の症状に悩まされた経験があるといいます。

MC 設楽統:
みりちゃむさんはいつごろ経験されたんですか?

みりちゃむ:
中学1年生の3学期くらいに発症しまして、そこから頭痛が増えて徐々に朝起きられないというのが増えていきました。

MC 設楽統:
普通に朝弱いという人はいっぱいいると思うんだけど、それとは明らかに違う?

みりちゃむ:
最初は朝苦手かなというくらいから始まってあんまり自分でもわからなかったです。
徐々にめまいが出始めたり、私の場合はプラスで貧血もあったので倒れそうになるときもありました。
私は特に吐き気がよく出たので、朝起きるとだいたい吐き気と頭痛というのと、起き上がった時とか立ち上がった時にめまいがしたり立ちくらみがしたりという症状がありました。

MC 設楽統:
午前中に症状が出ることが多いんですか?

昭和医科大学 田中大介教授:
午前中に起きる時に交感神経という血圧を上げる神経が普通は働き始めるんですけど、それがなかなか働きにくいというのがこの疾患なんです。
今みりちゃむさんがおっしゃった吐き気とかは、自律神経の機能が落ちていると、消化器、腸の動きとかそういうところも妨げになってしまうので、寝ててもちょっと気持ち悪いとかめまいにつながることはあります。

MC 設楽統:
これは若い時の病気なんですかね、大人になったら治るんですか?

昭和医科大学 田中大介教授:
起立性調節障害は、大体中学生に多くて自律神経の成長過程で関係していて、自律神経がある程度育っていくと良くなっていくことが多いです。
中学の時は全然起きられなくて学校行けなかったという子が大学は朝から通っているという子もたくさんいます。

完全に起きるまでに4時間…当事者語るつらさ

具体的にどういう症状なのか、番組では小学6年生の時に起立性調節障害を発症し、5年以上にわたって症状に悩まされていて、「NPO法人子どもの輪-起立性調節障害を当事者から広める会」の代表も務め病気について広める活動をしている、現在高校2年生の中山知佳穂さんを取材しました。

起立性調節障害を小6で発症 中山知佳穂さん(高校2年):
小学6年生の頃にまず朝、腹痛や頭痛に悩まされるようになって、元々寝れないとか朝起きられないってことが全くなかったんですけど、そこから朝起きられなくなっていきました。

「朝起きる」ということがどれだけつらいことなのか、実際に朝起きるまでどれくらいかかるのか、母・知映さんが知佳穂さんを起こしている様子を記録した映像を見ると…。

朝7時。鳴り続けるアラームに無反応。部屋も明るい時間帯ですが、知佳穂さんは反応しません。

母・知映さん「目覚まし鳴ってるよ。ゆっくり起きられる?」

母・知映さん:
(起こし始めてから)ベッドを降りるまでに4時間ぐらいはかかります。 
太陽光にあたるようなモノを顔に当てたり、食べ物・飲み物を口に含ませたり、好きな音楽を聴かせたり。もう色んなことを毎日毎日試している感じですね、起こすために。

実際、知佳穂さんが、まず体勢を起こすだけで2時間もかかっていました。

母・知映さん「大丈夫?気持ち悪い?」

その後もなかなか起き上がれず、めざましが鳴ってから4時間後の午前11時ごろ、ようやくベッドから出ることができました。

中山知佳穂さん:
頭痛はガンガンとするような片頭痛っぽい症状で、吐き気は、とにかくもう胃腸炎じゃないかっていうくらい吐いてしまうような日もあって。
中学1年生の後半から中学2年生にかけてはずっと学校にも行けないような状態が続いていて。

小学6年生の時に発症するまで、知佳穂さんは活発な小学生で学校も皆勤賞。そろばん大会で賞を取るなど、不自由なく過ごしていたそうですが、発症後、特に中学2年生の時は、症状がひどく1日も登校することができなかったといいます。

母・知映さん:
無理に起きて学校で体調が悪くなってしまうこともあるので、無理に起こさない方がいいかなっていうすごく心配なところもある半面で、やっぱりどうしても本人は高校の授業の単位とか非常にそこを心配していて…。

現在は、2時間目から登校し授業を受けるなど、周囲のサポートを受けながら、学校に行けるようになったという知佳穂さん。
ただ起立性調節障害は特効薬がなく、対症療法のみ。知佳穂さんの場合、血圧を上げる薬や漢方などが処方されていますが即効性はなく、日によって体調に波があるといいます。

MC 設楽統:
アラームは聞こえてないんですかね?

昭和医科大学 田中大介教授:
睡眠リズムが非常に狂ってしまうというのがこの疾患のもう一つの特徴で、朝起きられないと寝れなくなる。朝の時間帯が非常に睡眠の深い時間に入っていて、4回深い眠りと浅い眠りを繰り返して最後に浅いと起きるんですが、深い眠りがおそらく朝の9時とか10時ぐらいでおそらく聞こえてないですし、全く覚えてないですね。

MC 設楽統:
特効薬はないということですが、病院はどういう処置をするんですか?

昭和医科大学 田中大介教授:
パッと効く薬はないんですけども、血圧が低ければ血圧を上げる薬を使ったりとか、脈が早ければ脈を抑える薬を使うんですけどそれだけだとなかなか効かなくて、まず大事なのは水分をしっかりとるということです。あと血圧が低い場合は塩分もしっかりとるということが大事になって、オーバーワークしないっていうのも大事なんです。やりすぎちゃうと次の日の活動に影響してしまうとかあるので。なかなかリズムをつかむのが非常に難しいというのがあります。

カンニング竹山:
起こさないとか夕方まで寝ちゃうとかそういう生活じゃなくて、朝は一応起きて夜は寝るというリズムは守った方がいいんですか?

昭和医科大学 田中大介教授:
起きようと思っても起きられないというのが現実なので、起きられる時間は何時なのかというのを見つけていくことが大切です。子供たちも、「もういいや何時でも」ってなってしまうとやっぱりかわいそうなので、「何時に起きられる」って話をして、その時間に起きられるんだったらじゃあそこからやってみよう、と。そうすると少しずつ15分30分早く起きられたらいいよね、みたいな感じですね。

千秋:
何か原因とかはあるんですか?

昭和医科大学 田中大介教授:
原因はあまりはっきりしたことは分かっていないのですが、発熱ですね。感染症でも熱は出ますが、例えば熱中症とかそういう暑さの体温上昇がきっかけになっているということはあります。また、自律神経と同時にちょうど思春期って二次性徴とかで今まで出てなかったホルモンが出始めたりして、そことうまくマッチしなくて自律神経の動きが乱れて、本来朝働くべき交感神経がお昼ぐらいにやってきて朝が昼にやってきたみたいなそんなような感じになっています。

田中教授によると、登校できたとしても、気分の悪さが続く・頭が回らず授業についていけないなどの症状に悩んでしまう人も多いといいます。

昭和医科大学 田中大介教授:
気分の悪さが続くのは自律神経が十分働いてこないと腸の動きに影響が出るのと、気持ち悪いというのは三半規管がうまく働かないといわゆるバスで酔ってしまうとかそういうようなことが起こるので、そういう状態がある程度整うまでは気分が悪いのが続くということがあります。自律神経はすべて体の動きに関係してくるので。

MC 設楽統:
みりちゃむさんは、起きて学校に行った後の体調はどうでしたか?

みりちゃむ:
基本的に号令の着席とか立たないようにさせてもらって。クラッと来ちゃうので。
あとは基本机につっぷして寝てたりとか、朝早く行けたとしても途中で早退するとかになったりしてましたね。

起立性調節障害はどのように診断される?

起立性調節障害の診断に用いるのが「新起立試験」。
横になって10分間安静にした後、立ち上がって血圧・心拍の変動を計測します。

昭和医科大学 田中大介教授:
血圧は人それぞれ違うんですけども、例えば最初に測ったのが110だとしたらそれから20下がった90以下になってしまう、100だったら80とか、そういうような血圧の低下を見たり、あともう一つは心拍数ですね。脈拍が立ち上がった時にあお向けの時に比べると35以上早いとそれで診断が頻脈という診断がつきます。あともう一つは、立っただけで115以上だったらそれで即診断という。

「サボりじゃないの?」誤解されてしまうケース

・朝はつらいけど…夕方には元気になる
・体育祭や修学旅行などイベントには出席できる

MC 設楽統:
修学旅行の朝は起きられるようになっちゃうんですか?

昭和医科大学 田中大介教授:
行ける子は行けちゃうんです。そこがまた大きな誤解を招くところで。イベントとか修学旅行もそうですけど、楽しいというかやりたいという気持ちが出てくると交感神経がグーッと背中をしてくれるんですね。だけどそれは本当の姿ではなくて、その時だけ背中を押してくれるので、明日明後日の分のエネルギーも全部総動員して修学旅行に行くみたいな。

MC 設楽統:
周りから見たら「普通に起きれるじゃん」「夕方元気に来れるじゃん」「イベントだけ参加して…」ということですよね。
みりちゃむさんはこういう経験とかなかったですか?

みりちゃむ:
私は病気の途中でこの芸能活動を始めて、当時はまだ朝早い仕事がなかったので、夕方から起きて仕事の方に行って学校には行かないみたいな日があったんですよ。逆にそれで反感を受けてしまって「朝来ないくせに夕方仕事は行くんだ」みたいな。

では実際、教育現場はどのように向き合っているのか?生徒そして先生たちを取材しました。

教育現場の課題

話を伺ったのは、現在高校2年生のつむぎさん。中学2年生のときに起立性調節障害を発症。朝起きられず、午前中も動けないため、中学生のときは体調の回復した夕方から、吹奏楽の部活にだけ通っていたといいますが…。

つむぎさん(高校2年):
(クラスの子に)「部活は来てるのに、何で朝から来れないの」とか「サボってるだけじゃないの?」とか、たくさん言われました。これはなかなか理解してもらえないんだなっていうのをすごく感じました。

クラスメートからかけられた厳しい言葉…。
一方で、つむぎさんは、部活の友達や顧問からの理解は得られていたので、中学卒業まで吹奏楽部を続けられたそうです。

起立性調節障害のある生徒への対応や、周りの生徒・親への理解の促し方などに悩む先生たちは多いといいます。
田中教授が行っている学校関係者に向けた起立性調節障害についてのセミナーで、生徒たちの症状に実際に向き合っている養護教諭、保健室の先生に話を伺うと…。

秦野市内の小学校養護教諭 甲斐さん:
朝は不安定で泣きながら保健室にお母さんと来たりとか。一応毎日学校には遅刻でも来られているので頑張っているんだなあと思います。おうちの人にも目に見えて分かるように
記録は取っているので「この季節体調崩しやすいですか?」とか、ふんわりした言い方で(診察を)促すときはあります。

秦野市内の中学校養護教諭 二宮さん:
骨折している子は、ゆっくり歩いていても「あ、足が痛いんだな」(と分かる)。
起立性調節障害の子は症状がそれぞれ、その子がどうしたいのか(が難しい)。

秦野市内の中学校養護教諭 関口さん:
「僕は治るんだろうか?」と言って悩んで卒業していった子もいました。「だんだん治っていった子がいたよ」と経験を話して、希望を伝えたことはありました。
「大丈夫」という言葉が出れば出るほど「大丈夫」じゃないことも多いので。日頃の関係性で推察しながらお互いが納得する対処、帰らされちゃった、無理させられちゃった、にならないよう納得をして対応したいなあって思ってます。

昭和医科大学 田中大介教授:
起立性調節障害という疾患名は分かっていてもその子が本当にそうなのかどうかというのはなかなか分からない先生はたくさんいらっしゃいます。
実際に学校に来られるか来られないかということに対して今「学びの多様化学校」という文科省がやっている学校でいろいろ対応していこうという取り組みが少しずつなんですけど始まっています。
養護の先生は以前から積極的に取り組んでいらっしゃる先生多いんですけど、担任の先生とか校長先生とかそういう先生たちが一丸となって理解して味方になっていくということが非常に大事かなと思います。

(『ノンストップ!』2026年6月5日放送より)