長く続く寒波により、交通網など様々な影響を受けている北海道。“最強最長寒波”とも称される今季の寒波に、必死に立ち向かう人々がいます。
函館市にある「函館空港」で除雪作業を行う、函館空港除雪隊「ホワイトノア」。
北海道内7空港の滑走路の管理・運用などを行う「北海道エアポート」の東島良勲さんによると、ホワイトノアの「ノア」はフランス語で木の実を意味し、「エゾモモンガが木の実を食べるように、雪を食べてきれいにする」という思いが込められた部隊名だといいます。
1月22日午前2時半、手元の温度計が氷点下13℃を指す中、集まった隊員たちはミーティングを開始します。
今回行うのは、乗客が機内に乗りこむ際などに航空機が停まっている「駐機場エリア」の除雪作業。
前日の大雪の影響で、滑走路などに積もった雪を回収し、一時的に「駐機場エリア」にためた雪山を、誘導路と滑走路の間にある緑地帯と呼ばれる場所に移動させます。
この作業を行わないと、搭乗する際に利用する「搭乗橋」が自由に動かなくなるなど、航空機の出発に遅れが生じる可能性があるといいます。
午前3時、作業を開始。タイムリミットは空港が稼働し始める午前7時半です。
早速、除雪作業員の貝森さんが乗り込んだのは、トラクターの前方に大きなショベルのついた「トラクターショベル」という特殊な重機。
他の重機が作業できるように、高さ約2mほどの雪山を重機で崩し、滑走路の方面へ素早く寄せていきます。
積もった雪を押し出すだけでなく、バックするときもショベルの裏側を利用して器用に雪かきをしていきます。さらに、周辺に転がった小さな雪玉も、巧みなハンドルさばきでかき集めていきます。
――特殊な重機の扱いに慣れているのはなぜですか?
除雪作業員「大林道路」 貝森貴行さん:
(勤め先が)建設会社なんで、除雪を今(の季節は)専門にやっていますけど、夏場も同じような機械に乗ることもあるんですよ。そういうので慣れというか。
隣で作業している人は農家さんなんですけど、冬だけ空港に来てもらって除雪作業をやってもらっている。
総勢約30人いるという「ホワイトノア」の隊員は、貝森さんのような建設会社勤務のほか、普段、漁業に従事している人や、農業を営む人もいるといいます。
もちろん誰でも重機を使った作業ができるわけではなく、大型特殊免許と重機ごとに安全に作業をするための資格を持っている人のみが作業を行います。
函館空港除雪隊“三種の神器” 少しの雪も滑走路に残さない
雪をかき出す作業が一段落すると、次に登場したのはさらなる大型重機!
「高性能スイーパ除雪車」「ロータリ除雪車」「高速プラウ除雪車」、この役割の違う3つの車両を組み合わせた除雪は、函館空港除雪隊の“最大の武器”です。
まず、ロータリ除雪車で集めた雪を切り崩し、回転する羽根を使って管から雪を飛ばしていきます。
こうすることで固まった雪を細かく砕いて遠くに飛ばすと共に、雪が降ったときのさらさら状態にして、移動させることができるようになります。
さらさらにした雪は、トラックの前面にスノープラウと呼ばれる鉄板が装着された、高速プラウ除雪車が拾いまとめ、滑走路方面へ運んでいきます。
全長13m、総重量23t の巨大な重機。大きなボディーに似合わず、繊細な操作が要求されるといいます。
最後に、スノープラウと巨大なブラシがついた高性能スイーパ除雪車で、道路表面に残った細やかな雪を除雪していきます。
最大の特徴は、8mという圧倒的な除雪幅!車両の正面、両脇に備えられたブラシで、少しの雪も逃しません。
この作業により、飛行機が駐機する際のガイドとなる、オレンジのラインもくっきり見えるようになりました。走行前と比べてみるとその差は一目瞭然です。
「誇れる仕事で、重要な仕事」
天候に、大きく左右される除雪隊の仕事。除雪作業を行う貝森さんは、大忙しなこの時期だからこその“悩み”も話してくれました。
除雪作業員「大林道路」 貝森貴行さん:
私、娘が居るんですけど。あまり子どもと接することのできない時期。冬はいつもそんな感じが多いかなと。
「遊びに行こう」となればすごく喜んでくれるから、本当は遊びたいんじゃないかなと思うところもあるので、ちょっと心苦しい部分はあるのですが。
“娘との時間”を大切にしたいという思いもありながら、現場に立ち続ける貝森さん。そこには、「航空機を安全に飛ばしたい」という思いがありました。
除雪作業員「大林道路」 貝森貴行さん:
責任者というような立場でこの作業をやっているので。職務をできるだけ全うしたいと純粋に思う。「飛行機を飛ばすんだぞ」みたいな、みんなそういう気概でやってくれていると思うんで、それに応えたい。
午前7時過ぎ、滑走路上では点検車両が落とし物や、除雪の最終チェックを行います。タイムリミットの7時半までに、なんとか除雪作業を無事終えることができました。
しかし、これで作業終了ではありません。
始発便が函館空港から無事に飛び立つのを確認するまでが、貝森さんの仕事。滑走路近くの“特等席”へ移動し、出発の時を待ちます。
そして迎えた午前8時半。無事、始発の飛行機が飛び立っていきました。
除雪作業員「大林道路」 貝森貴行さん:
よかった、よかった。無事飛びましたね、大丈夫ですね。
想像以上に雪の量が、計画していた段階よりもちょっと多かったかな?っていう印象があったんですけど、まあ、無事に終了できたので、よかったかなと思います。
すごく誇れる仕事だし、すごく“重要な仕事”なんだろうなっていう、 私はそういうふうに認識を持っています。
大雪でも安心安全の運航を。
列島を最強、最長の寒波が襲う中、日本中の空港で、きょうも雪と闘う除雪隊が汗を流して立ち向かっています。
(『サン!シャイン』 2026年1月27日放送より)
