新春恒例、マグロの初競り。今年の“一番マグロ”は、過去最高の5億円超え!そんな金額をたたき出すマグロ漁の様子とは?
『サン!シャイン』は、最高級ブランド「大間のマグロ」をとる漁師に密着!
“海のダイヤ”とも呼ばれるクロマグロ。その輝きを追い求める、マグロ漁の今を取材しました。

“一番マグロ”漁師に密着

本州最北端、青森・大間町。
密着するのは、マグロを追い続けて35年、ベテラン漁師の菊池正義さん(59)。修行中の三男・正幸さん(26)も同乗します。

実は正義さん、年間水揚げ額1位を何度も獲得し、300kgオーバーのマグロを釣り上げたこともあるスゴ腕漁師。2024年1月には、釣り上げたマグロが豊洲市場の初競りで“一番マグロ”に。落札額は…1億1424万円。

町には大間で“一番マグロ”を釣り上げた人の石碑があり、正義さんの名前が刻まれています。

マグロ漁師歴35年 菊池正義さん(59):
やっぱり初競りで“一番マグロ”をとることは、マグロ漁師の欲しいところだよな。“勲章”だべな。

1月18日。波や風の状態を見ながら、この日は午後3時すぎに出港。まずは港から沖合10kg前後のポイントへ。

――どうやってあたりをつけている?
菊池正義さん:

だいたい過去に(マグロが)捕れたところを。あとは潮とか(ポイントに)着いてからいろんなものを見て。

行うのは、縄に針を何十本も仕掛け、マグロがかかるのを待つ「はえ縄漁」。針をくくりつけた全長5kgにも及ぶ縄を約1時間かけて海中に垂らしていきます。

午後8時ごろ、縄の引き上げを開始。常に縄に手を当て、マグロの反応を伺いますが…感触はなし。しかし、どこか余裕な様子の正義さん。縄を回収し、迷わず次のポイントへ。

――どこへ移動?
菊池正義さん:

太平洋から入ってきた魚が日本海へ南下して抜けていく場所。

魚の動きを予測して先回りするポイント選びは、ベテラン漁師ならではのもの。こうした父の姿に三男の正幸さんは…。

三男・正幸さん(26):
常に勉強なので、早く吸収したいみたいな感じは思うんですけどね。

ただ、この日は、どうにもマグロが姿を現さず…。長時間にわたる航海に『サン!シャイン』のスタッフもついにダウン。

18時間に及ぶ漁…「若い人たちにも夢を」

しかし、出港から12時間以上が経過した19日午前4時半すぎ。事態が動きます。

菊池正義さん:
マグロだべな。たぶん食ったと思う、逃げねえかぎりは。

仕掛けている最中に「マグロが食いついた」と話す正義さん。

――どういう感じでわかるんですか?
菊池正義さん:

早くなるのよ。縄を入れていて、そのスピードが速くなるんだ、魚が食いつくと。

縄から伝わってくるわずかな動きでマグロの反応を察知します。しかし…。

菊池正義さん:
あーだめだ…。よっぽど悪いんだな。(番組スタッフを指して)持ってねえ人たちなんだ(笑)。

不穏な空気が漂う船内。と、そのとき、水面には巨大な影が!

菊池正義さん:
撮れ!撮れ!上さいったべ!

顔を出したのはマグロです。

漁開始から約15時間。やっと大物を釣り上げることができ、正義さんもほっとしたような表情。
釣ったマグロは尾ひれを切断し、断面から脂ののりなどを見るといいます。

三男・正幸さん:
最高だね。ここの脂が多い。けっこういいよ。

菊池正義さん:
結構(魚体は)丸かったな。期待しそう、いや~、期待したいけども。

控えめに語りながらも、笑顔がこぼれる正義さん。

その後、鮮度を保つため、すぐさま血抜きをして氷水に漬けるなど、船上でマグロの処理を行います。
漁を終え、港に戻ったのは午前8時半。18時間に及ぶ漁で、160kg台のマグロを2匹釣り上げました。

――手応えは?
菊池正義さん:

魚体がかなりいい。脂ののりもいいし。

正義さんの目に狂いはなく、1匹は豊洲市場で予想を上回る182万円で落札されたといいます。

そんな「大間のマグロ」ブランドが与える影響は…。

菊池正義さん:
大間は若い人が育ってると思うよ。今年も一番マグロが5億とか出たもんだから、若い人たちにも夢を与えるんじゃないのかな。

――父・正義さんが一番マグロをとった時どう思った?
三男・正幸さん:

すごいですよね、やっぱり。あれだけ船数いての初競りで一番マグロじゃないですか。(自分も石碑に)いつかは載りたいですよね。

過酷な遠洋マグロ漁 なぜ若者増加?

マグロで大金を稼ぐ…そんな夢は、1年近くも漁に出ることもある遠洋漁業の世界でも。

第6幸榮丸・一等航海士 渡木桂祐さん(22):
遠洋のマグロ船ってこうやって世界の海に出掛けられるので、それもカッコいいなって魅力感じて。

こう語るのは、現在、遠洋マグロ漁に出ている一等航海士の渡木桂祐さん(22)。

2025年7月に日本を出発。現在、大西洋中部のカーボベルデ共和国周辺で操業中です。
今、こうした遠洋マグロ漁に憧れる若者が増えているといいます。

日本かつお・まぐろ漁業協同組合 船員職業紹介所 佐藤康彦所長:
(今は)仕事は大変だけどやりがいがあって高収入が目指せるというように正しく認知されてるんで、若い船員さんは実際に増えております。
海技資格を取って幹部になれば若いうちから高収入を目指せると。水産高校出てトップクラスだと10カ月で1000万稼いでくる若者もいます。

高収入が見込める一方で、マグロをとるには、長時間の地道な作業が必要です。
3000本もの釣り針がついた、長さ150kmもある縄を6時間から7時間かけて海に入れると、マグロがかかるまで4時間ほど待機。その後、縄の回収作業を10時間から15時間もかけて行い、マグロを釣り上げます。水揚げされたマグロは、内臓など取り除き血抜きを行った後、-60℃の冷凍庫で急速冷凍されます。

時に危険で過酷な現場…。
水が貴重な船内では、洗濯やお風呂にも海水を使用。時間短縮のため、お風呂はみんなで一緒に入ることもあるんだとか。

渡木さんのある1日のスケジュールは、夕方4時に起床し、1時間後に縄入れ。その後はお風呂に入るなど休憩をとった後、13時間もの時間をかけて縄を引き上げます。

渡木桂祐さん:
(休憩中は)YouTube見たりだったり、日本にいる友達だったり彼女とかと(電話で)話したりとか。魚だったり海がずっと好きなのでそういうのずっと見てますね。

今では、全国130隻の遠洋マグロ船のうち、約2割が衛星通信のスターリンクを搭載。収入のほかに、ネット環境が整ってきたことも、遠洋漁業を目指す若者が増えてきた理由の一つだといいます。

さらに、渡木さんによると、こんな楽しみも。
燃料や食料の補給、船のメンテナンスなどのために海外の港に立ち寄ることもあり、今回の航海で渡木さんは大西洋のハワイとも呼ばれるリゾート地、スペイン・カナリア諸島のラス・パルマスに入港。本場のスペイン料理を味わったそうです。

渡木桂祐さん:
きついことには確かに変わりないんですけど、その中でもやっぱやりがい感じたりとかもあったり、自分が経験してみないとわかんないんで、乗ってみたいって思ったら乗ってみるのがいいのかもしれないですね。

(『サン!シャイン』2026年1月21日放送より)