――『ザ・ノンフィクション』のナレーション初挑戦ですが、番組の印象はいかがですか?
母がすごく好きで、私もよく見ていました。すごくミクロな話も登場しますが、それを通して、世界の大きさを学ぶきっかけになる番組だなと感じていました。
――どんな気持ちでナレーションを入れましたか?
事前にディレクターさんとお話しして、やさしく寄り添いすぎるナレーションだと、オカさんのやさしさが伝わりにくくなってしまうので、できるだけフラットな立場で読むように心がけました。
――シェアハウスには、さまざまな事情を抱えた人が住んでいます。
私と同世代くらいの方もいましたし、実際、私の身近にも似たような境遇の方がいるので、全然遠い話ではないと感じました。私自身も、たまたま子どもの頃にこの仕事に出会って今も続けていますが、紙一重なところもあるなと思います。
――印象に残っているシーンを教えてください。
ハマちゃんはアルバイトが続かず、日雇いの仕事でお給料がその日のうちに入金されるシステムを使っていましたが、そのお金でその日暮らしをして…というのは不安定ですし、「大丈夫なのかな?」と思ってしまう自分もいました。
――ハマちゃん本人は、不安定な生活でも幸せそうでしたね。
面倒くさくてやる気が起きないとか、頼れる人がいるから甘えてしまうとか、そういう部分は“良くないところ”として、切り離して考えなければいけないと思います。
複数の人と一緒に働いたり、同じ場所に通ったりするのが苦手な人を、「イコール怠惰」と解釈するのは、ちょっと違うのかなと感じました。
どうしてもそこをつなげがちになりますけど、ハマちゃんのように、その日その日で変わる働き方であれば、真面目に頑張れる人もいますし。
私も毎日違う場所に行って、違う人と仕事をしているので、もし「明日から、毎日同じ場所へ定時に行って、決まった人たちと仕事をしてください」と言われたら、正直難しく感じるんじゃないかなと思います。
――オカさんは、たとえ家賃が足りなくても、ハマちゃんを受け止めていましたが、オカさんの印象はいかがですか?
オカさんの行動は、簡単なことではないと思います。ただ、正直なところ、そうやって優しくしてくれる人がいるから、ハマちゃんは甘え続けてしまうんじゃないかとも、少し感じました。
でも、もし皆がハマちゃんをネガティブに見ていたら、きっと彼はどうにもならなくなってしまう。だからこそ、オカさんのように寄り添ってくれる人が、この社会には必要なんだと思います。
――三浦さんにとって、オカさんのように支えてくれて転機となった人はいますか?
日々、行く現場、行く現場でいろいろな方に支えていただいて、まっとうできているというのが正直なところですが、このシチュエーションに一番近いのは学生時代かもしれません。
私は、毎日学校へ通うのがあまり得意ではなくて。高校生の頃は、毎朝、満員電車に乗るのがすごく苦しかったんです。みんな、できているのに。それが本当につらくて、学校へ行かなくなってしまった時期もありました。
そんな中でも、当時の先生にはすごく助けてもらいました。助けてもらうと言っても、“説得された”という感じではなくて、「とりあえず学校へ来たら、保健室でも行っておけばいいじゃん」みたいに、明るく接してくれたのがすごく印象に残っていて。
毎日学校へ行けないこと自体を、どうにかしようとされなかったというか。「別に変わらなくてもいいか」と思えたのは、ありがたかったですね。
――三浦さんは現実逃避をしたくなったとき、何か気分転換はしますか?
好きなものを食べる、ですね(笑)。
――ハマちゃんもよく食べて、気持ちを紛らわせているように見えました。
ハマちゃんは、見ていて少し「おいしく食べられているのかな?」と思いました。私も経験があるんですが、食べるのをやめられない時って、実はおいしく食べられていないことが多くて。ご飯を一番おいしく感じるのって、やっぱりお腹が減ったときだと思うんです。
<ナレーションの一部を先取り公開>
<予告動画>
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