“京の奥座敷”と呼ばれ、静かな自然に囲まれた京都市左京区の「貴船」。
清らかな川にしつらえた床の上で、食事と夏の涼を味わえる「川床」や、水の神をまつる貴船神社など、例年多くの観光客でにぎわいますが…。

もともと道幅が狭いことで車が渋滞。進まぬ車と道にあふれる観光客で、危険な状態が続いているといいます。

お客さんの送迎を行っている、老舗旅館「京・貴船ひろや」では、最寄りの駅から旅館までは約2km、空いていれば5~6分で送迎できるところ、混雑時は1時間もかかることがあるといいます。

「京・貴船ひろや」 小原 陽 代表取締役:
(対策として)時間を決めて送迎すると。30分おきとか1時間おきとかいう形でできるだけ送迎の回数を減らす。

人と車がぶつかりそうなほどの狭い道

以前から観光渋滞の問題はあったものの、貴船観光会によると、近年外国人観光客が増えたことが、渋滞に拍車をかけているといいます。

貴船神社にタクシーでやってきた外国人観光客も、驚きを隠せません。

アメリカから来た観光客:
京都に友達がいるから連れてきてもらいました。車は道幅が狭くて怖い思いをしました。

車と人が今にもぶつかりそうなほどの距離で往来する道。危なさからか、いら立ちからか観光客に向けて頻繁にクラクションが鳴らされます。

取材中には、スマートフォンを見ながら歩いていた女性が、バイクに気が付かずぶつかりそうになる場面も…。

中には、車が安全に通過できるよう誘導している観光客もいました。

岐阜県からの観光客:
道が狭いですよね、危ないですよね。こういうのは歩行者が譲らないと車が動けないんじゃないかなと思って…。

地元関係者も対策に乗り出す

地元の飲食関係者によると、他にも道が細くて緊急車両が通ることができず、道路が渋滞しているため急病人を車で送ろうとしても時間がかかってしまうことが問題だといいます。

さらに豊かな自然が観光資源の貴船だからこそ、渋滞する車から出る排ガス問題なども懸念されているとのことです。

深刻な観光渋滞の解消のために、地元の人々も立ち上がりました。積極的に声を出し、車や観光客を誘導します。

地元の飲食店関係者:
皆さん協力して、その場所、すれ違いできる場所は提供していますし、交通整理を各店協力してやっているという形です。誰かがしないと。多分、(渋滞は)一日たっても解決しないと思います。

貴船地域の観光協会も、2024年から大幅に警備員を増員し対策に取り組んでおり、京都府警も、10月1日から土日祝日には一部区間で路線バスを除く大型の車両などを通行止めにするなど、対策を実施する予定です。

通行止めや警備員の増加などで、売上げが落ちた店舗もあったといいますが…。

貴船観光会 藤谷幸士さん:
近隣地域の皆さんの安心安全、万一の緊急車両の通行を確保すると。貴船地域、一致団結して実施したところであります。

地域一丸で対策をとる京都の観光地。観光渋滞との向き合いはまだまだ続きそうです。

(『サン!シャイン』 2025年9月24日放送より)