海面すれすれに住宅が立ち並び、1階部分には船が収納され、どこか懐かしさを感じさせる、京都府・伊根町の「伊根の舟屋」。

年間48万人が訪れる人気の観光スポットとなっていますが、近年この地区で問題となっているのが、観光客による迷惑行為です。

立ち入り禁止の文字が書かれていますが、住宅など私有地への無断侵入が後を絶ちません。

地元住民:
なんか音するなぁって思って戸開けたらここに女の人が立っててびっくりして。
私が下りようとしたらスリッパがないんですよ!
私スリッパどこにやったんやろうと思ったら、その人がスリッパ履いてたんですよ。女の人が。

特に観光客の多い週末や祝日には、勝手にトイレを使う人もいるといいます。

全国の観光地が抱える、静かな暮らしの確保。
同様にオーバーツーリズムが課題の鎌倉では、この3連休、新たな試みも始まりました。

『スラムダンク』の聖地 “撮影エリア”確保 効果は?

アニメ『スラムダンク』の聖地として、海外からも多くの観光客が訪れている神奈川・鎌倉市の海岸沿いの踏切。

アニメに登場する海と踏切を写真に収めるため、車道に足を踏み入れ、車の走行を妨げたり…、車道に飛び出してポーズをとる人たちも後を絶ちません。

取材スタッフ:
多くの人たちが踏切の近くの方まで下りてきてしまっています。

警備員「止まらないで進んでください」
警備員「Don’t stop」

こうした状況を改善するため、鎌倉市ではきょう9月16日までの4日間、ある「実証実験」を行っています。

踏切近くの公園の植え込みを撤去し、撮影エリアを確保。
午前9時から午後4時まで、周辺に12人ほどの市の職員らを配置し、観光客を撮影エリアに誘導しました。
この実験を提案し、自身も実験に参加していた鎌倉市議会の上野議員に効果を聞くと…。

上野学市議:
完全に人が通路からいなくなりますし、踏切前も今の状況でも人ほとんどいないし、ちゃんとここ(撮影エリア)に滞留してもらってる。

しかし、実証実験終了後の午後5時過ぎ。警備員の数が減ると、歩道には多くの人が…。

実証実験終了後

観光客によると、それにはワケがあるといいます。

アニメに登場するシーンは、手前から奥に向かって、踏切と電車と海が同じ目線で重なっていますが、撮影エリアは踏切より高い位置にあるため、“同じ風景”を撮ることができないといいます。

上野議員によると、実証実験の効果はあったものの、「この人数を毎日配置するのは難しい。防犯カメラの活用や注意喚起の音声を流すなど、今後対策していきたい」と話しています。

上野学市議:
やらなくなったら元に戻っちゃうっていうのは、まあそうかなっていうことですよね。
続けなきゃいけないですよね、そう思います。

実証実験はきょう16日までですが、撮影エリアについては、今後も設置を継続するということです。

城西国際大学・観光学部の佐滝剛弘教授によると、鎌倉は世界でもまれなスポットだといいます。
その理由は…

①映画効果とスマホ時代でSNS流行
②近隣には地元住民が多く、生活圏にある
③通りが狭く、場所が限定されている

ではどのような対策が有効なのか?
佐滝教授によると、1カ月以上朝から夕方まで日中の監視を続け、入ってはいけない場所だということをSNSで世界に発信することが大事だということです。

(『サン!シャイン』2025年9月16日放送より)