取材スタッフ:
すごい数!

不気味に空を駆け回る、無数の黒い影…、甲高い鳴き声がいくつも重なり、大合唱となっている、人々が行き交う上空でやりたい放題の生き物。その正体は…

もはや秋の風物詩ともなっているムクドリの大群です。
実は近年、このムクドリに“ある異変”が起きているというのです。

猛暑でムクドリ被害が長期化か?

9月23日、『サン!シャイン』が向かったのは、神奈川県のJR鎌倉駅前。

(神奈川・JR鎌倉駅前のムクドリ大群)

取材スタッフ:
現在午後5時15分くらいですが、こちらの木に鳥が集まり出しました。
うわ、また来た。すごい数の鳥が集まってきています。

多くの通勤・通学客が通る駅前の木には、数え切れないほどのムクドリが。

通行人:
危ない、怖い!

取材スタッフ:
こちらの女性、鳥の鳴き声に驚いて走って横断歩道を渡っています。

歩道には、たくさんのふんが落ちていて、通りで営業する飲食店にも影響が出ています。

飲食店店員:
(困っていることは)やっぱり鳥のふんと羽根ですね。ムクドリが木に止まって 一晩を過ごすので、その間にふんと毛がすごいことになっているので…。
翌朝には全部掃除して今のこの状態にもっていく。

さらに今年は例年にはない“ある変化”を感じているといいます。

飲食店店員:
夏の初めくらいからずっといるかなっていう感じですね。やっぱり数は増えていると思います。(例年より今年は)ひどいですね。

例年、秋口になってから姿を見せるムクドリの群れが、今年は夏の初めから姿を見せていたというのです。

ムクドリの群れは、千葉県のJR市川駅でも大群を成していました。

取材スタッフ:
ムクドリが一斉にやって来ましたね。かなり大きな声で鳴いていますね。

うるさい…ムクドリの騒音被害 なぜ駅前に集まる?

ムクドリの群れがもたらす、周囲への騒音被害。鳴き声の大きさを測ってみると…

取材スタッフ:
70デシベル以上ありますね。

約77デシベル。近くで救急車のサイレンが鳴っているのとほぼ同じ大きさです。

取材に同行したムクドリの生態に詳しい千葉県野鳥の会の田久保晴孝副会長は。

千葉県野鳥の会 田久保晴孝副会長:
やっぱり今は駅前が多いんですよね。(ムクドリが)怖いのは猛禽類なんです。
ハヤブサとかオオタカとか。人がいっぱいいた方がそいつらに狙われない。

田久保さんによるとムクドリの行動範囲は、ねぐらに決めた場所から、半径約5km圏内。
市川駅をねぐらにしているムクドリは、日中近くにある江戸川の河川敷や周辺の畑などでエサを食べ、日が暮れると人の多い駅周辺に戻ってくるといいます。

取材中、最も多くのムクドリがいたのが、同じ市川市の行徳駅。

取材スタッフ:
黒い塊になって自分の上空を飛んでいます。

飛びながら形を変え、徐々に駅前の木へと降りてくるムクドリの群れ。ここでも…。

地元住民:
ふん害、ふんですね。雨降った日はちょっと臭いがすごいし滑るし危ない。

この日調査に来ていた、市の職員に話を聞きました。

市川市職員:
(ムクドリが)例年以上に早くここに来ました。年々早くなっている
被害が大きいところができてしまっていますし、期間も長くなっています。

ここでも、例年に比べて今年はムクドリの群れが早く訪れ、その数も多いという現象が起きていました。

千葉県野鳥の会・田久保晴孝氏:
温暖化が影響しているかもしれない。虫の活動も早くなるから。毛虫が出るときと鳥の繁殖と合わせているんですよね。

例年、ひな鳥が育った9月ごろに大きな群れを形成し集団行動をするムクドリ。
しかし今年は、猛暑の影響でエサとなる虫などの発生が早かったため、繁殖時期が早まり、集団で街に来る時期も早まった可能性があるといいます。
その影響で、街にいる期間が長くなる可能性もあるのです。

「秘密兵器」登場! その効果は?

そんな中、驚きの“秘密兵器”が登場しました。

先程の千葉県の行徳駅。

市川市職員:
Q.どれくらいムクドリがいる?

そうですね、4000から5000羽ぐらいかなと思うんですけど。追い払いをしても、ムクドリに好まれているというか、どうしても戻ってきてしまう。

ムクドリは20年ほど前からこの場所に飛来。これまで電線などに器具を付けるなど様々な対策を行ってきましたが、大きな効果は得られなかったといいます。

しかし近年、市が新たに導入した“秘密兵器”が一定の効果をあげているというのです。

その名も「ホロライト・チェッカーズ」

銃のような形をしたこの機械。25個のLED照明がついていて、人の目には見えない早さで点滅させることで目の良いムクドリを追い払うことができるといいます。
はたして、その効果の程は?

市川市職員:
じゃあ、あそこ照らします

ライトで照らされた場所のムクドリが一斉に飛び立ち、辺りが静かになりました。

(「ホロライト・チェッカーズ」で照らすとムクドリが一斉に飛び立つ)

その後も、駅周辺をくまなく照らしていく職員たち。

通行人:
一瞬でいなくなった。すごいな!

市川市職員:
まだ何回も何回も降りてくる

その言葉の通り約10分後には再びムクドリが集結。

市川市職員:
せーの!
1週間に1度は行っている。1回やると減るんです。

駅周辺に群れを近寄らせないため継続的に続けていくといいます。

猛暑が続くことで、騒音などの被害が早い時期から長期間続く可能性があるムクドリの問題。解決策はあるのでしょうか?

(『サン!シャイン』 2025年9月24日放送より)