全国各地で、相次いで目撃されている「クマ」。ついに都内でも目撃される事態となりました。

8月20日午前8時すぎ、東京の西に位置する青梅市で、防犯カメラの前を猛スピードで駆け抜けていくクマの姿が捉えられていました。

別のカメラには、駐車場に止められた車の横を走り抜ける様子も。
映像を見る限りクマは小柄で、車のタイヤほどの大きさにも見えます。子グマでしょうか。
実際に目撃した人は…。

クマを目撃した人:
もう、はっきりクマでした。ゴールデンレトリバーが丸々したっていう、それくらいの大きさでした。スピード感と重量感がとにかくありました。
子グマといえど、ものすごく力強い走り方だったんで、あれが向かってきたとしたら、怖いですね。子グマがいるってことは、大人のクマもいる可能性が高いんで…。

『サン!シャイン』の取材班が、クマが目撃された現場に行ってみると、周辺は山に囲まれているものの、住宅が立ち並び、学校などもある“人の生活圏”。
駅前には繁華街があり、少し歩けば市民の憩いの場である公園もあります。
警察車両が警戒に当たっていますが、生活圏でのクマの目撃情報に、周辺住民は恐怖を隠せません。

青梅市民:
家からも近いんで…子供だけで通学路にいたりするので、その辺が怖いですね。最近クマに襲われたというニュースもありますし。

青梅市民:
学校からメールが来て、(目撃情報があった)上の方には行かないようにしないと。怖いですよね…。
「日頃から対策を」クマとの付き合い方…新たに「音」による対策も
クマが人の生活圏に侵入する原因として、山中のエサ不足や、人による餌付けなどが指摘されています。ヒグマの生態に詳しい酪農学園大学の佐藤喜和教授は…。

ヒグマの生態に詳しい 佐藤喜和教授:
まずひとつは、森から街の中につながる河畔林のような緑地をたどって迷い込んでしまう可能性と、あとは夏の季節になってくると森の中にエサが少ないですから、エサを求めて人里の方に入ってきてしまうと言うことがあると。

――よりしっかりとクマと住み分けをしていくためには、何が必要でしょうか?
やはり入ってきた個体をしっかりと駆除する体制を整えることももちろん必要なのですが、そもそも街に入れないための対策を日頃から行っていく、そういった人材を配置する、クマが出たときだけ働くのではなく、出る前から予防対策をしっかりする体制が必要だと思います。
――対策しようにも、クマスプレーなどは高価で、そのようなものに対する補助金などはないのでしょうか?
補助などはあまりないかなとは思うのですが、国内で生産されるような製品も販売されるようになってきていますので、よく判断して重要性を考えながらご購入頂ければと思います。
人里にクマが現れないよう、新たな対策の実験も行われています。
富山県南砺市は、今年(2025年)6月に、半径200mに動物が嫌う高周波を出す音波装置を設置。

南砺市では、今年の春からクマの出没が数十件確認されていましたが、装置を設置して以降、8月20日までの約2ヵ月間は、クマの目撃がゼロになりました。
周辺には自動でクマを識別するAIカメラも設置されていますが、そのカメラにも反応はないため、クマが音を不快に感じ、聴こえない場所まで逃げたとみられるそうです。
実験の検証を担当している、岡山理科大学の辻特担教授は、「クマが音に慣れないよう周波数を工夫した、全国各地のクマ対策にも活かしたい」と話しています。
――今後クマとどう向き合っていくのがいいのでしょうか?
佐藤喜和教授:
クマが身近にいて、いつでも出没しうるということを地域の方がよく知って、自分事として対策をしていくということをこつこつやっていくことだと思います。
後を絶たない、クマによる被害…。共存の在り方が、改めて問われています。
(『サン!シャイン』 2025年8月21日放送より)