夏の暑さが戻り、体調を崩しやすい気候が続く中、新型コロナウイルスの新たな変異株「ニンバス」が猛威を振るっています。

8月18日、埼玉県熊谷市の「埼玉慈恵病院」に緊急搬送されたのは50代の女性。
38.6℃の熱が出て、体を動かすのが困難なため搬送されたといいますが、新型コロナの検査結果は陽性でした。

埼玉慈恵病院 藤永剛副院長:
本当に増えています。まず数的に増えていてね、夏の疲れによって体力が下がってしまった。あるいはエアコン、冷房つけている時にあまり換気をしない状態でいると、ウイルスが室内で増えてしまうとか。

まるで“カミソリの刃”でも飲み込んだような強い“のどの痛み”が特徴だという「ニンバス」。実際に感染したという人は…。

新型コロナ「ニンバス」に感染した人:
5日間、寝たきりのような状態でしたね。自分の唾液を飲み込むのすら、もうちょっと怖いぐらい(喉が)痛いっていう感じで。

新型コロナの変異株「ニンバス」は、日本だけではなく米国や韓国など広い範囲で感染者数が増加しています。

さらに、東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授によると、猛烈な暑さと、夏休みという条件がそろったことで、新型コロナの他に、「はしか」「リンゴ病」「百日ぜき」なども流行しており、“クワトロ感染症”状態となっているといいます。

「めったにないこと」“クワトロ感染症”の見分け方は?

“クワトロ感染症”の中でも、特に全国的に流行している「新型コロナ」。

厚労省によると、8月4日~10日の感染者数は、前の週から1500人以上増えて2万3126人。8週連続で増加しているといいます。

さらに、激しいせきが続く「百日ぜき」は、2025年の感染者数が6万4467人と過去最多に。

39度以上の高熱と全身に赤い発疹が現れる「はしか」は、2025年の累計報告数が205例と、2024年から約4.5倍に拡大

頬や手足などに赤い発疹ができる「リンゴ病」は、14日に長崎県で初めて「流行警報」が発表。国立健康危機管理研究機構によると、8月4日~10日の定点医療機関当たりの報告数は、前週比6.2%増の2.07人と、3週ぶりに2人を上回りました。

――なぜ4つの感染症が同時に流行しているのですか?
東京歯科大学市川総合病院 寺嶋毅教授:

一つは猛烈な暑さがあります。それによって我々の免疫力が落ちてしまったり、エアコンの効いているところに集まって、どうしても換気がおろそかになったり、喉がやられてしまう。粘膜の抵抗力が落ちると。
もう一つは、夏休みという時期ですから、出かける機会が多かったり、イベントなど人が集まる機会も多いと言うことが挙げられると思います。

――これまで、4つもの感染症が流行したことはありますか?
いや、特にコロナの後は、いつもとは違う時期に色々なものが流行したり、重なってということで、めったにないことではないかなと。

――初期症状はどれも「風邪のような症状」で、見分けるのが難しいと思われますがどうすれば良いのですか?
そうですね、初期は本当に風邪のような症状ですから、実際に難しいとは思うのですが、例えば今年のコロナの特徴としては、喉に激しい痛みがあるとか、百日ぜきでしたら、激しいせきですね。はしかで言いますと、例えば東南アジアなどに行っていて、戻ってきてとか、あるいは発疹が出たり。リンゴ病は5歳未満のお子さんが多いので、年齢というところで、一つ疑うポイントかなと。
ただし、やはりどれも実際は我々(専門家)にとっても区別が難しいことがありますし、適切な治療、ものによっては周囲に広げないという意味で、医療機関を受診して、適切に指導を仰ぐことも大事だと思います。

心がける4つの予防策

“クワトロ感染症”を防ぐにはどのような対策をすればいいのでしょうか。寺嶋教授は、予防策として以下の4つの事柄を心がけることが大切だといいます。

・手洗いうがいをする
・こまめに換気を行う
・人の多いところではマスクを着用する
・適度な睡眠をとり、長時間紫外線に当たらないようにする
(免疫力の維持・強化)

東京歯科大学市川総合病院 寺嶋毅教授:
基本的に、多くは飛沫感染・接触感染ですから、そういう意味ではウイルス、ついたものを取り除くという意味で、手洗いうがいや消毒、体に入れないという意味では人混みでマスクをするだとか、そして、漂った病原体を出してしまう。
特にはしかなんかは空気感染ですから、どうしてもマスクだけではというところはありますので、換気、これはコロナにも大事だと言われています。

視聴者からも、寺嶋教授に聞きたい様々な質問が寄せられました。

Q.最近マスクをしている人が少ないですが、マスクは有効ですか?(60代)
寺嶋毅教授:

有効です。特に、体調が悪いときに人にうつさない、せきエチケット、そういう意味でも有効ですし、自分がもらわないという意味でも有効です。

Q.4つ同時にかかるのか?かかるとどうなるの?(60代)
寺嶋毅教授:

ないことはないですが、(その確率は)すごく低いと思います。確かにこの4つが同じ時期に流行するということは今までありませんでしたが、例えばはしかなんかはきちんと二回予防接種をしていれば、発症する可能性は低いですし。

寺嶋毅教授:
どうしても、自分が気をつけていても、家族や周囲のところでかかってしまうというのはあるのかなと。
新型コロナの場合は、高齢者の方は入院される方もいますし、あとは、はしかですね。今年すごく多いですし、特にコロナは抗ウイルス薬がありますけども、はしかは特効薬がないので、どうしても対症療法になりますから、そういう意味では要注意と。
はしかは感染力が強いので、(罹患者が)一人いると、15~20人くらいに感染します。

(『サン!シャイン』 2025年8月20日放送より)