多くの外国人観光客が訪れる、“夏の北海道”。
札幌の大通公園や、小樽の運河など多くの人気観光スポットがある中で、『サン!シャイン』が取材をすると、“意外な場所”に外国人観光客が殺到していることが分かりました。

まず訪れたのは、札幌駅から車で40分ほど走ったところにある、北海道で最大級の霊園「真駒内滝野霊園」です。

なぜ「霊園」に外国人観光客が訪れているのか。
話を聞いてみると、訪れている人の中にはこの場所に「お墓」があるということを知らないという人もいました。

ルクセンブルクから来た観光客:
安らかな気持ちになりました。平和で、美しくて、とても感動しました。

さらに、ドイツから来たという観光客について行ってみると、スマホのカメラを向けた先にあったのは、ラベンダーの丘の上から頭が半分だけ出た大仏。

そう、彼らのお目当ては、ドーム型の拝殿から頭だけがはみ出している「頭大仏」だったのです。

約40mのトンネルを通り抜けることで、ようやく大仏全体を拝めるようになっている「頭大仏」。

ドイツから来た観光客:
上から光が差す大仏の姿に、圧倒されました。
SNSで有名な建築家が建てたものだと紹介されていたんです。

2006年に建てられて以降、真駒内滝野霊園のシンボルとして親しまれてきた石仏大仏。

もとは屋外にあったものの、2016年に世界的建築家・安藤忠雄さんが設計した大仏殿が建てられ、そのユニークな形状が海外でも話題となり、いまでは来園者の約8割が外国人観光客だといいます。

観光地でもない町の“小さな食堂”が人気

続いて向かったのは、札幌から車で約2時間。上富良野町という小さな町の小さな食堂です。

67年前に創業した「第一食堂」。3代目女将・西永理佳さんが切り盛りしています。
メニューはラーメンやカレー、豚丼などいたって普通の街の食堂ですが、なぜか外国人観光客がひっきりなしに訪れるといいます。

大盛況の理由を、女将さんに尋ねてみますが…。

「第一食堂」女将・西永理佳さん:
珍しい食べ物あるわけじゃなく、本当に、本当に普通の食堂なのさ。味だってね特別なんか使ってるもんじゃないしさ。なんでなんだろうね?
この上富良野だよ。のどかすぎてそれこそ観光地じゃないから…上富良野って言ったら何があります?

美瑛町や富良野市といった人気観光地に挟まれ普通なら「通り過ぎる場所」だという上富良野町。
ガイドブックに掲載されているわけでもなく、女将さん自身もなぜこんなに人が来るのかと首をかしげます。

秘密を探るべく取材を続けていると、やってきたのはアメリカから来たという8人組の観光客。本店はすでに満席だったので、隣の系列店へ案内します。

8人分の料理を素早く作り、もちろんその味は絶品!食後には富良野のシンボルラベンダーをプレゼントします。

さらにお土産にと人数分の「もなか」もプレゼント。そんな女将さんの“おもてなし”に観光客も大喜びです。
最後は、お店の前で記念写真を撮り、その車が見えなくなるまで見送りました。

どうしてこの店にやってきたのか、訪れた外国人観光客に話を聞くと、“あるもの”を見てやってきたといいます。

フランスから来た観光客:
クチコミの評価が高かったので、ここに決めました。

韓国から来た観光客:
全員が、オーナーがとても優しいと言っています。私はその点が大事だと思う。

多くの人が「クチコミ」を参考に訪れたといいます。実際に見せてもらうと、「オーナーがとても愉快で親切です」「広い駐車場があり、本当に親切で、味はまさに日本の家庭料理を食べているよう」と高評価が続きます。

クチコミで外国人観光客が訪れるきっかけとなったのは、8年ほど前。韓国から訪れた2人の観光客だったといいます。

「第一食堂」女将・西永理佳さん:
「僕たちはきょう韓国に帰るから、この3万ウォンで食べさせてくれ」と。それで「いいよ、いいよ、食べてきな」って。日本に来て、嫌な思いをして帰ってほしくないから、せめてうちに来た時ぐらいは楽しい気持ちで帰ってほしいと思って。

日本円ではなく、韓国の通貨であるウォンしか持っていないという観光客に、おなかいっぱいで楽しい気持ちで帰ってほしい。そう思った女将さんがおいしい料理でもてなしたところ、大喜び。

そのときもらった3万ウォンは、地元で両替できる場所がなかったため、思い出として壁に飾っていたといいます。

そんな思い出の壁も、今では観光客から「記念に」と渡された多くのお札や硬貨、そして感謝のメッセージで埋められています。

「第一食堂」女将・西永理佳さん:
皆さんがお友達に「行ってきたよ」とか、こうやってお手紙とかもね、書いてくれているんだ。ドイツの人が来たらこれを見せなさいとか。

そんな女将の「おもてなし」がクチコミなどで話題になり、多くの外国人観光客が訪れるようになったのです。

「第一食堂」女将・西永理佳さん:
自分が海外に行った時にこうしてくれたら、うれしいなっていうのを私は考えていて。あいさつとかも、多分私が海外行った時、日本語で「こんにちは」とか言われたらうれしいなあ。この人、日本のこと知ってくれているんだなって思うので、うちも韓国とか香港とか台湾とかも、それぞれのお国のお言葉をちゃんと勉強して、楽しい気持ちで帰ってほしいと思って。

(『サン!シャイン』 2025年8月20日放送より)