世界的に有名なスキーリゾート・北海道ニセコ。
良質なパウダースノーを求めて、毎年、世界中から多くの観光客が訪れますが、その数は年々増え続け、2023年以降はコロナ禍前を上回るにぎわいとなっています。
そんな外国人観光客があふれるニセコに、ウィンタースポーツではない“ある目的”で訪れる日本人の若者が増えているといいます。
それは…、ニセコでリゾートバイトをしながら「英語」を学びたいという若者たち。
今では「ニセコ留学」という言葉まで生まれるほど、国内で“生の英語”に触れる機会がある街として、注目されているのです。
『サン!シャイン』は、そんなニセコにやってきた若者たちの年末年始に密着!外国人観光客に翻弄されながらも、精一杯、“学びながら働く”姿を取材しました。
「ニセコ留学」にやってくる若者たち
リフトチケットの売り場で働いていたのは、宮城県から来たリサさん(24)。
以前は会社勤めをしていたそうですが、今後の挑戦のために英語を学びたいと、ニセコに来たといいます。
宮城県から来た リサさん:
始めて1カ月くらいです。もともとOLをしていたんですけど、自分の好きなこととか挑戦とかしてみたいなと思って、興味があったのが英語だったので。資金面も考えて、まずは国内で挑戦してみようかなと思って。
地元で英会話教室に通っていたものの、海外で生活をした経験はなし。ハードルの高い海外留学にすぐに行くのではなく、国内のニセコなら…と一歩踏み出せたといいます。
始めて1カ月といいますが、英語での落とし物の問い合わせにも、すらすらと英語で対応。徐々に英語での会話も慣れてきました。
東京から11月に来たばかりと話す、リナさん(25)も「ニセコ留学」にやってきた一人。
海外での留学経験もあり、勤め先の寿司店では外国人観光客相手の接客もなれた様子でこなしますが、実は「英語」と一口にいっても、難しいところもあるようで…。
東京から来た リナさん:
英語の単語が使われている国によって違うので。別の使われ方とか、単語がいっぱい出てくるので、そういうときは何回も聞き直して、メモして覚えたり。勉強になります。
世界中から観光客がやってくるニセコでは、同じ英語でも国ごとの“なまり”があり、うまく通じないこともあるそうです。
しかし、その分、様々な英語を実践的に学べるところが、「ニセコ留学」の魅力だといいます。
夢のために…最後の挑戦に挑む人も
様々な目標があって、ニセコにやってくる若者たち。
12月からペンション「ニセコ カシノヤ」で働いているサチコさん(30)は、地元である兵庫県で車関係の仕事をしていましたが、退職してニセコにやってきたといいます。
兵庫県から来た サチコさん:
4月から「ワーキングホリデー」に行く予定をしていまして。その前にちょっとでも英語の環境に身を置きたいなと思いまして、ニセコに来ました。
働いて収入を得ながら、海外の文化や生活にふれあえる制度である「ワーキングホリデー」。対象は18歳から30歳までで、サチコさんは挑戦できる最後の年である今回を逃しては「後悔する」という思いから、決断したといいます。
兵庫県から来た サチコさん:
旅行とかにいくたびに英語がしゃべれないのが悔しくて、今やらないと来年にはいけないですし。絶対に後悔するなっていうのはあったんで、思い切って決めました。
4月から予定している留学先は、オーストラリア。
実は、ニセコを訪れる外国人の約2割がオーストラリア人で、サチコさんにとっては最適な環境なのです。しかし、英語での会話の経験が乏しいため、積極的に話すことができません。
そんなサチコさんを見かねたペンションのオーナーが、オーストラリアから来た観光客を連れてきて、「4月からオーストラリアにワーホリに行くって言いな」とそっと背中を押してくれました。
突然巡ってきた機会に「やばいやばい!」と慌てながらも、たどたどしい英語で話しかけるサチコさん。
サチコさん「私は来年(2026年)の4月にワーキングホリデーでオーストラリアに行きます、1年間」
オーストラリアから来た観光客「そうなんですか、どういった目的で?」
サチコさん「英語を勉強して…仕事も。ワーキングホリデーです」
オーストラリアから来た観光客「どの州、もしくはどの都市にいくのですか?」
サチコさん「ブリスベンです、行ったことはありますか?」
オーストラリアから来た観光客「行ったことありますよ」
会話を終えて戻ってきたサチコさんは「頭の中に台本を作って、その通りに。プチパニックが起きますね」と少し興奮気味。オーナーも、「やばくなったら助けようかと思ったけれど、普通にしゃべれていた」と太鼓判を押しました。
サチコさんと同じペンションで働く、コウスケさん(24)は、自分の夢を叶えるために千葉県からやってきたといいます。
有名私立大学の英文科に通い、卒業後、地元千葉の銀行に就職したコウスケさん。
しかし、自分のピザ店を開きたいという夢を捨てられず、そのために海外での修行も考えているため、脱サラして起業したというペンションのオーナーを参考にしながら、英語力をもっと伸ばしたいと選んだのが、この場所でした。
千葉から来た コウスケさん:
すごく失礼な言い方をすると、もともとその会社で働きたくないといいますか…会社にも申し訳なくなっちゃって。(自分を)変えるために行動しようってことで、(勤めていたのは)半年という短い期間ではあったんですけど、退職をしてニセコに来ました。
英文科を卒業しているコウスケさんは、英語での会話はお手のもの。
趣味のスノーボードもできるということで、仕事と趣味、どちらも充実した日々を過ごしています。
千葉から来た コウスケさん:
ここから人生40年くらいって考えたときに、自分の進みたいように進めるなって考えたら、今は結構ワクワクしています。
年越しカウントダウンで一念発起!訪れた“変化”
大晦日の12月31日。
4月からワーキングホリデーでオーストラリアに行くサチコさんは、朝から慌ただしく働いて、オーナーに指示された英語での朝食の説明にも挑戦しました。
しかし、なれない表現に四苦八苦。失敗も多く、まだまだ積極的に話しかけることはできません。仕事が終わり共同生活を送る寮に帰っても、基礎的な英語の音読を行うなど、努力を続けます。
サチコさん:
英語のレベルがかなり低いので。まず初歩的な中学英語からやっているんですけど…。
その夜、氷点下の雪道を歩き同僚と一緒に向かった先は、年越しカウントダウンを間近に迎え、盛り上がるニセコの中心部でした。
スキー場では花火も打ち上がり、日本の年越しとは思えない華やかな光景が広がります。
そして外国人観光客らと一緒に盛り上がりながら迎えた年明け…サチコさんが動き出しました。
サチコさん「どこから来たの?」
観光客「ニューヨークからです」
サチコさん「ニューヨーク、いいわね!スキーをしに?」
観光客「スキーヤーです。あなたは何かトリック(技)はできますか?」
サチコさん「トリック?いやいや、できません」
なんと、自ら外国人観光客に声をかけ、積極的に会話をし始めたのです。
サチコさん:
楽しめましたね。日本のノリじゃないというか、ここはどこやろみたいな感じです。
こういうラフな方が緊張もとけてしゃべりやすいですね。楽しい2026年になりそうです!
そして迎えた元旦。「ニセコ留学」しているサチコさんとコウスケさんが働く「ニセコ カシノヤ」では、朝から総出で雪かきが始まります。
一段落したところで、コウスケさんが電話をかけたのは、千葉の両親。
コウスケさん「こっちは元気。GWまでの契約だから、それが終わったら一回帰ろうかなという感じです、じゃあ元気でやってください」
一方、年越しカウントダウンで自分から積極的に話しかける一歩を踏み出せたサチコさんは、どこか吹っ切れた表情をしていました。
サチコさん:
決めた目標がちょうどあって、オーストラリア人が来たら必ず「自分が行きます」ということをお話ししようと決めました。
自分から積極的に声をかけていかないと、しゃべる機会も少ないですし、精一杯頑張ります!
それぞれの思いを抱き、ニセコで学ぶ。その成長の日々は、春の雪解けまで続きます。
(『サン!シャイン』 2026年1月8日放送より)
