倉庫に置かれた、無数の段ボール箱。これは…受取人が不在だったため持ち帰り、後日、再配達しなければならない荷物です。

今、この「再配達業務」が大きな社会問題となっています。

国交省によると、ネット通販などの普及により、年々、宅配便の取り扱い個数が増加。
その一方で、再配達による宅配ドライバーへの負担増加が課題となっています。
政府は、今年3月までに再配達率を6%に減少させることを目指していましたが…。

中野洋昌国交相:
本年4月の宅配便の再配達率は約8.4%。再配達率6%の実現に向け、再配達の削減に向けたさらなる取り組みが必要になってくる。

こうした状況の中、国交省が検討を始めるのが「置き配」の標準化。
在宅・不在にかかわらず、配達する荷物を手渡ししない「置き配」を標準とし、手渡しに関しては追加料金がかかる仕組みを検討しているといいます。

配達現場の現状は?

では、配達現場の現状はどうなのでしょうか?
『サン!シャイン』は都内の配達会社を取材しました。

冷蔵庫をトラックから下ろす配達員

この日、配達員が2人がかりでトラックから下ろしている大きな箱には「冷蔵庫」の文字が…。
指定された時間帯に配達先のマンションへと向かいますが、約3分後…冷蔵庫を乗せたまま戻ってきました。

取材スタッフ:
これは?

デリバリーサービス 配達員:
不在でした…。
持って帰って後日また配送する形になります。

指定された時間帯に訪問するも、不在のため、再配達となってしまいました。

配達員:
やっぱりもう1回同じところに行かないといけないっていうのは、ちょっと気持ち的にはつらいところは出てくるかなと。

後日、再びこの重い荷物の積み下ろしを行い、台車で運ばなければなりません。

デリバリーサービス 志村直純代表:
配送にかかる仕事っていうのが、1軒に1分とか2分が(積み重なると)非常に命取りになりますんで。それが置いておけるという話になれば、ざっと3割から4割ぐらいは効率が上がると思います。

「置き配」が標準になるかもしれない宅配の未来。
そのために解決しなくてはならないこととは?
スタジオでは、戦略物流専門家の角井亮一氏に話を聞きました。

「置き配」標準化

宮澤智アナウンサー:
置き配が標準で手渡しを追加料金とすることが検討されていることはどう思われますか?

戦略物流専門家 角井亮一氏:
例えば、アメリカだったら標準で対面でというのはないんですよ。置き配が標準なんですよね。対面だったら追加料金を取るという形ですので。
結構自分のアメリカ友達とかも盗まれるのが心配だということはよく言っています。

「置き配」に関するアンケート調査によると、1回でも「置き配サービスを利用したことがある」という人は72.4%で、調査開始の2019年から約2.7倍に拡大しています。
角井氏によると、置き配のメリットは「配送コスト・人件費などの削減、不在時でも荷物を受け取れる」ということです。

谷原章介キャスター:
進んできたとはいえ、まだ20数%は置き配を利用したことがない人もいるんですね。

戦略物流専門家 角井亮一氏:
過去でいうと置き配って基本的になかったんですよ。
コロナ禍もあったりとか、Amazonさんが置き配スタートしたりしてだんだん普及していったという形ですよね。

武内陶子氏:
運送会社によっては置き配しちゃいけないっていうところもありましたよね。

戦略物流専門家 角井亮一氏:
それがコロナ禍で標準約款とかそういうのも変わってきて、特例ができたりとかして、昔はハンコを押さないと完了にならなかったんですよ。
これがコロナ禍で少しずつルールが変わってきたというのが現状ですよね。

置き配トラブルに不安の声も

置き配に関して、様々なトラブルが起きています。

・荷物で扉を開けられない
・荷物が盗まれた
・荷物がぬれた
・他人の家に置き配された
・荷物が壊れていた

宮澤アナウンサー:
伝票などが貼り付けられていたりとかもあるので、置いたままだと個人情報が見られてしまったりという不安もありますよね。

戦略物流専門家 角井亮一氏:
基本的に自己責任になると思います。
今の制度はというと、ネットショッピングの送り先の方が「置き配していいか」というのをまず聞きます。次に、アプリを持っている受け取る側の人が「置き配でいいですよ」ということで成立するという形で責任を回避するというのが今の標準です。

『サン!シャイン』視聴者の方からもたくさんの意見が寄せられました。

「息子が置き配で盗まれ、警察に届けたが出てくるわけもなく…」(40代)

「大賛成!宅配業者さんも助かると思うし、再配達が減ることが大事」(60代)

「田舎なので、置き配が必須になると中身が食品だと野生動物の被害が懸念」(30代)

「置き配は仕方ないと思いますが、我が家では何度かお隣との誤配がありました。お隣とは仲がいいので笑って済みますが問題になってもおかしくない事案ですよね」(70代)

(「サン!シャイン」2025年6月25日放送より)