コメ価格の高騰が続く中、早くも“青田買い”が始まっています。

日本一早い新米の収穫時期を迎えた、沖縄県の離島・石垣島。
石垣島でコメ農家を初めて4年目の「なかもと農園」仲本大希さんは、今年初めて、JA以外の県外の業者から問い合わせがあったと話します。

「なかもと農園」 仲本大希さん:
この金額でお願いしますと言われた金額が、農協さんと比べて「え!これでいいの!?」と驚くような金額でした。
初めて直接、内地…本土の業者さんが、「収穫前の田んぼを見せてくれないか」っていう。実際にこの田んぼに来ていただいて、「これだけきれいに揃っているんですね」ということは、言っていただいて。

収穫前の田んぼに来て、 “驚くような値段”で売却を持ちかけてきたという県外の業者。
今年は、JAも2024年と比べて3倍近い金額で買い取ってくれるということで、JAと県外の業者の両方に売る予定だといいます。

「なかもと農園」 仲本大希さん:
ようやく農業だけでも、ご飯食べられるなぁっていうのが、今の感覚ですね。今年はようやく笑って過ごせそうです。
今これだけお米(の値段が)上がっていて。私自身も子ども4人いて、お米の金額が上がってしまうとどれだけ家計に負担がくるかっていうのを、もう重々承知なので。どうしてもお米の金額は上げたくない…、ただ、上げなければ自分らの生活も苦しいっていうところが…。
収穫量に“不安” 新米が被害に
収穫前に買い手が決まっていく、今年の新米。しかし、その収穫量には様々な“不安”がつきまとっているといいます。

JA以外の独自の販路を持ち、学校給食や施設などにコメをおろしている、埼玉県の「あらい農産」。できるだけ多くのコメを出荷するために、収量を上げているといいますが…今年は、“ある不安”が…。

あらい農産 新井健一会長:
カメムシ、穂が出始めたところに…吸うんだね。早い時期に吸われちゃうと、実がもう全く入らなくなっちゃう。(2024年は)猛暑とカメムシで3割、4割…多いので4割、品種によってね。ならして3割ぐらい減収。

2024年は、イネカメムシの被害で3割ほど減収したと話す新井さん。
さらに、今年はカメムシの「越冬密度」が2024年の約43倍だったというデータがあり、さらなる被害が懸念されているのです。
収穫への不安は別の県でも…。
静岡県浜松市のコメ農家では、5月に今年収穫する新米の田植え作業を行いましたが、約3~4割の稲が成長を止めてしまい、収量はかなり減収されるといいます。

その原因は、特定外来生物「ヌートリア」による食害です。
今、浜松市では、ヌートリアの生息域が広がり、植えたばかりの苗を、ヌートリアが食べてしまう被害も増加傾向にあるといいます。

実際に、市の依頼を受けて駆除を行っているNPO法人「Roots Japan」の岡本浩明理事長に同行させてもらうと、駆除用のわなの中に大きなネズミのような姿のヌートリアがかかっていました。

16日に発表された、全国のスーパーで販売されたコメ5kgあたりの平均価格は、前の週より48円安い「4176円」。3週連続の値下げは、実に90週ぶりのことです。

小泉進次郎農水相(44):
3週間連続で下がったのが90週ぶりですから、それ自体は前向きに受け止めていますが、国民の皆さんが求めている安心して買える水準になっていない、そこについては、私はまったく、まだスピードをゆるめる段階にはないと思っています。

今後コメ価格はどうなっていくのでしょうか。
(『サン!シャイン』 2025年6月17日放送より)