6月4日、東京・練馬で最高気温29.4℃を観測するなど、全国445地点で夏日となる暑さとなりました。

夕方からは、関東地方でゲリラ豪雨が発生。一時埼玉県や栃木県などで大雨警報が発表されるなど、めまぐるしい天気の変化に、体調を崩す人も…。

天達武史 気象防災キャスター:
(今の時期は)暑いことを人が感じづらくなっているので、意識して休憩とか水分をとらないと、気づかないうちにうっかり熱中症になっている、そういう危険があります。

天達武史気象防災キャスターも「熱中症」への警鐘を鳴らす中、2025年6月から「職場での熱中症対策の義務化」が始まりました。
企業が対策を怠った場合、6カ月以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金が科されます。

国が罰則を設け、注意を促すほど危険な「熱中症」
暑い環境の中で働かざるを得ない現場では、どのような対策がとられているのか、『サン!シャイン』は“灼熱の仕事現場”を取材しました。

熱中症対策進む「声かけが一番」

『サン!シャイン』取材班が訪れたのは、学校給食や病院などへ向けたパン等の製造を行っている、東京・江東区「三好屋食品工業」。

東京都心が28.4℃を記録した4日は、工房内の温度も28℃に…。パンを焼くための巨大なオーブンを開けたときの表面温度は50℃以上でした。

スタッフが熱中症になるのを防ぐため、2024年に新たなクーラーを設置。さらに、スタッフ間でまめに声をかけあうなどの対策も行っているといいます。

三好屋食品工業 専務取締役:
とにかく毎年毎年、異常に(気温が)上がってきているので、少しずつ様子を見ながら、(働く)皆さん年齢層が高くなってきているので、自分では大丈夫と思っていてもそうではないこともあるので、声かけが一番かなと思うんですけど。

「熱中症対策義務化」の紙を壁に貼り、スタッフ同士で共有するよう努めているということです。

「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」

6月から始まった職場での熱中症対策義務化。具体的には以下の項目が義務化されました。

▼報告体制の整備
熱中症の自覚症状や、そのおそれがある人を見つけた場合などの連絡体制を整備する

▼重篤化防ぐ措置の手順作成
体を冷やして医療機関に搬送するといった重篤化を防ぐための手順を決める

▼関係者への周知
それらを働く人に周知する

対象となるのは、気温31℃またはWBGT値(暑さ指数)28℃を超える職場で、労働者が連続1時間以上または1日4時間超の作業を行う場合とされており、違反すると6カ月以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金が科されます。

佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士によると、今回義務化されたのは、あくまで熱中症が疑われる症状が出た際の「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」の義務化であり、熱中症にならないための対策を導入することは、今回の義務化の範囲ではないといいます。取り締まり強化というよりは、義務付けにより対策を促すものだということです。

罰則が適用されるケースとして、内部通報や熱中症が実際に出たような場合に調査が入り、義務付けされた対策が取られていなかった場合、罰則が適用されます。

企業に義務化された「熱中症対策」。これから迎える夏本番に向け、具体的な対応が求められています。

(『サン!シャイン』 2025年6月5日放送より)