5月31日、多くの人が待ち望んでいた第47回「足立の花火」が、強風のため中止になりました。

会場では、開始2時間半前からレジャーシートが吹き飛ばされるほどの強い風が吹いていましたが、2年連続の中止に訪れた人は深く肩を落とします。

31日の東京の最高気温は17.1℃と肌寒かったのに対して、6月1日は一転して24.8℃と夏日に迫る陽気に。寒暖差が大きくなる中、6月から急増するといわれているのが、「ダウンバースト」と呼ばれる突風です。

ダウンバーストとは、積乱雲から吹き降りた気流が地面にぶつかり、辺り一面に強い風が吹く現象で、瞬間的に風速50m/sに及ぶこともあり、過去には倉庫の屋根が吹き飛ばされるなど、周辺に大きな被害をもたらしたこともありました。

これからの季節に注意が必要だという「ダウンバースト」。しかも、その発生数の約4割が関東で起きているデータがあるといいます。

なぜ関東で多発するのか、そして発生までの前兆といわれる“3つのサイン”を、天達武史気象防災キャスターに詳しく聞きました。

なぜ関東ばかり?ダウンバーストの仕組み

――強風というと竜巻をイメージしますが、ダウンバーストは全く別のもの?
天達武史気象防災キャスター:

全く別のものですが、気象の世界では竜巻とダウンバーストは双子のきょうだいみたいなものです。竜巻は上昇気流で上にのぼるじゃないですか、ダウンバーストは逆で上から下にたたきつけるような暴風が吹く。必ず積乱雲という雷雲から起きますので、ゲリラ豪雨、ひょう、竜巻とセットで発生することがかなり多いです。

実際に、積水ハウス総合住宅研究所の協力により、「ダウンバースト」で起こる強風を体験したことがあるという天達キャスター。

実験映像では、風速50m/sにさしかかると、体が浮きそうになるのを必死にこらえながら、千鳥足で後退している様子が。

天達武史気象防災キャスター:
(実験のように)一定方向から吹いているから予測できるんですが、ダウンバーストの場合は、風向きが急変する可能性があります。台風の暴風域が大体風速25m/sですから、それよりも全然強い場合があるので、ものが飛んでくる場合があります。

――なぜ関東地方でよく発生するのですか?
ひとつは関東地方の地形に影響があります。関東は海から雨雲の元になる水蒸気が平地が広がっているので入りやすい。そして、北側・西側に大きな高い山があります。群馬とか、長野、埼玉、このあたりに湿った空気がぶつかることで、強制的に上昇気流が突き上げてしまうんです。そうすると、ダウンバーストや竜巻をもたらす積乱雲が自動的に発生してしまう。

さらに、関東地方東京都心も含めて都市部がかなり広がっています。アスファルトが広がると気温が高くなる、気温が高くなると水蒸気が増える傾向にあるので、山にぶつからなくても都市部でいきなり発生する積乱雲が増えていくと。夏場は特に注意が必要です。

――ダウンバーストが起こった際はどうすれば?
なるべく早く建物に避難することが大事になります。ダウンバーストだけならいいんですが、竜巻を伴う場合なんかは車も危ないので、なるべく大気が不安定なときにお出かけされる方は、安全な場所がどこにあるのか事前に確認しておくことが大事なのと、上空から強い下降気流が吹いてきますので、気温がものすごく下がります。一気に1時間で10℃とか下がっちゃいます。気圧も急上昇します。なので、気圧に敏感な方、特に急激に上がる方で反応する方は、ゲリラ豪雨が予想されるときは早めに薬などを飲んだ方がいいと思います。

「ダウンバースト」の予兆となる“3つのサイン”

ダウンバーストの発生に気づくことができる、“3つのサイン”

まず、第一段階のサインとして、「遠くに積乱雲」が見えたら注意です。
このタイミングでは、自分のいる場所からまだ積乱雲は遠いところにあるので、積乱雲の速度にも寄りますが一般的に避難まで30分ほど猶予はあります。

次に第二段階として、「稲光が見える」
ここまでくると、自分から10kmほどの距離に積乱雲がある状況。まだまだ距離があるなと思いきや、すでに避難までの猶予は5分~10分と一気に短くなっているのです。

そして最後の第三段階は、「急に暗くなり冷たい風を感じる」
この段階は、積乱雲が目前に迫っている証拠、ダウンバーストが起こる直前ですので、ただちに避難するようにしましょう。

天達武史気象防災キャスター:
結構五感を研ぎ澄ますのが大事で、冷たい風が吹いてきたりするので。このように段階的にくれば分かりますが、いきなり自分の上に発生するということもありますので、そうした場合はいきなり第三段階になっていることもありますので、ちょっとでも風を感じて空には黒い雲という時は、早めに避難した方がいいですね。
降水確率が30%くらいのときが危ないです。30%で天気予報を見て「急変」と「不安定」というワードが見えたら、ゲリラ豪雨の可能性があります。局地的に降るので、降水確率は下がってしまうんです。

(『サン!シャイン』 2025年6月2日放送より)