現行のままだと「基礎年金」が約30年後には今よりも3割下がる、と言われている「年金制度」。現在の年金の給付水準を維持するためには、基礎年金の底上げを行う必要があるといいます。

基礎年金の底上げのためには、厚生年金を活用する必要があるといいますが、16日に提出された「年金制度改革法案」には、厚生年金の積立金を活用した基礎年金の底上げ策が削除されていました。

2025年5月21日に行われた党首討論では、立憲民主党の野田佳彦代表が底上げ策のない改革法案は、「あんこが入っていないあんパン」だと批判。
自民党は年金制度改革案について、「基礎年金の底上げ」を盛り込む、立憲民主党の修正案を受け入れる方向で調整に入ったということです。

MC谷原章介(52):
年金だけは今までも何回もお伝えしているのですが、今回底上げされるのはうれしいような…ただ厚生年金から減るというということは、厚生年金の方の資金は目減りするのか?とか、分からないことだらけですね。

スペシャルキャスター カズレーザー(40):
年金の制度って本当に理解してる人ってどれくらいいるんですか?本当に分かんないです。
毎回…新しいものが始まるたびに説明を受けて、なるほどって調べるんですけど、また分かんなくなるんですよね。
MC谷原章介:
前の制度と今の制度と、数字の比率のパーセンテージを出されると、どこと対比してのパーセンテージか分からなくなるんですよ。

渡辺正行氏(69):
分からなくなります。僕ねえ、65歳の時に1回もらいにいこうと思ったんですよ。話聞いたら「あなたは今もらわない方が得です」って言われて、「70まで我慢した方がいいです」って言われて。まだ今もらってないんだけど、今これ見たら、あれ、またダメなんじゃないのって思って。よく分かんないっすよ…。

スペシャルキャスター カズレーザー:
瞬間、瞬間の計算と、長期的にもらうという計算がずれるじゃないですか、じゃあ今の問題を、今スパーンと解決できないのが、年金の難しいところですよね。
専門家「損・得ではなく“ありがたい制度”」
基礎年金の底上げはどのように行うのか。
現在二つの案があり、一つは会社員や公務員などが払っている厚生年金の一部を基礎年金に活用するもの、もう一つは国庫、つまり税金を使って行うというものです。

ここで出てくる、「厚生年金の一部を基礎年金に活用したら、厚生年金をもらう人が損をするのではないか?」という疑問に対し、中央大学商学部客員講師でマネーコンサルタントの頼藤太希氏はこう答えます。

マネーコンサルタント 頼藤太希氏:
厚生年金をもらっている人も、基礎年金はもらっているので、自分たちのためでもあるんですよ。会社員、公務員、は基礎年金、厚生年金両方もらって。
不公平感に思ってしまうこともあるかも知れませんが、国民全員にとってプラスになるような体制なんです。

渡辺正行氏:
でも、厚生年金って結構な額を払っていますよ、結構な額を払っていて、それが他の人に使われるの?というのは腑に落ちない。
スペシャルキャスター カズレーザー:
国民の理解として、厚生年金として払った分は自分に返って来るという、自分たちだけに返ってくるという理解になっているから、この議論が起きるんだと思います。でもそうじゃないってことですよね?

マネーコンサルタント 頼藤太希氏:
年金というのは、自分が積み立てた分がもらえるというわけではなくて。
まず、年金というのは10年以上もらえれば元が取れる仕組みになっているんです。じゃあ元が取れるのはなぜかというと、その年金を現役世代が支えているからですよね。だから、支えてもらうということを考えると、そんなに「得」「損」というより、ありがたい制度のほうが強いのかなと。
渡辺正行氏:
でも、基礎年金の方はそりゃうれしいかもしれないけど、厚生年金の方は「え~」って。

基礎年金の底上げを行った場合、どの程度金額に差が出るのか。
立憲民主党の試算によると、現在40歳の人であれば、65歳から受給期間20年とした場合、厚生年金と基礎年金の合計で、男性はプラス246万円と受け取れる年金額が増えます。逆に65歳以上の一部の高齢者の年金は、減ってしまうといいます。
この減った額について、立憲民主党は「緩和措置」を検討していますが、具体的な内容はこれからということです。

――この改革法案は「いいこと」なんですか?
マネーコンサルタント 頼藤太希氏:
いいことです。だってこれがなければ、65歳や70歳の人はもっと年金が減りますから。
(年金制度を)持続的にするための抜本的改革が、今回の「改革法案」です。こうすることで、基礎年金がみんな上がりますので。これがないと、皆さん年金が減っちゃうので。
(『サン!シャイン』 2025年5月26日放送より)