信州の山間の道を歩く、千明と和平。途中で千明は、こちらで暮らしている“舎弟”に電話をかけ、父の病気がやはり仮病であることを確認。

ジャケットに革靴姿の和平は、その電話に笑いつつも、両親を安心させるための“事実婚”の設定を話し合いながら、千明の実家へと向かう。

やんちゃだった千明(小泉今日子)の小中時代の話を目を細めて聞く和平(中井貴一)

その道中で彼女が卒業した小学校に寄り道。子どもたちが遊ぶ校庭で、千明は自分の歩んできた道を振り返る。

やんちゃな男の子たちと、日が暮れるまで夢中で遊んでいた小学生時代。中学まではみんな一緒だったが、高校からは別れ別れになったという。

「大人になればなるほど、同じような経歴の人たちの集合体になっていくんですよね。なんかそれがつまんないなと思って」

しかし、ドラマの現場にはさまざまな経歴を持つ人たちが集まって、一つの作品を作り上げる。

「ドラマの現場ではやんちゃな吉野に戻れる」と語る千明に、和平は「またなんか、ちょっとこう、吉野千明がわかったような気がします」と、優しい眼差しで返した。

やがて到着した千明の実家は、昔ながらの立派な日本家屋。

玄関を開けて千明が「ただいま」と言うと、ガラス障子の向こうからは元気そうな両親が慌てる声が聞こえてくる。 舎弟の情報通り、やはり千明を呼び戻すための嘘だった。