ナレーション収録を終えた野呂さんにインタビュー。「『ザ・ノンフィクション』のファン」という野呂さんだからこその“語り”への思い、丁稚たちの印象、“年の離れた同期”の思い出などを語ってくれました。
野呂佳代「人と比べてしまうこともたくさんあった」中でも頑張れたわけ
――丁稚たちを見守るような、やさしい“語り”でした。読み終えていかがですか?
私は、もともと『ザ・ノンフィクション』が好きなのですが、このシリーズは特に記憶に残っているので、気持ちが入りました。これまでは視聴者として客観的に見ていましたが、いざナレーションを担当するとなったら、彼らの人生を“語り”でちょっとでも表現できるように、という気持ちになりました。
――声色や細かなニュアンスを確認しながら、収録に臨んでいましたね。
私はただただ、『ザ・ノンフィクション』のファンなので(笑)。みなさんナレーションが素晴らしいので、今日はちょっと緊張しました。
これまで聞いてきた、たくさんの方の“語り”が記憶のなかにあって、そこから今回の物語に合う、伝わりやすい読み方を引っ張り出して、とにかく真似して。プラス、私なりの思いが伝わったら良いな、という気持ちで読みました。

――秋山木工に7人の新入社員が加わります。どんな印象を受けましたか?
みんな、しっかりしているなと思いました。最初は「大丈夫かな?すぐ辞めちゃうんじゃないかな」と心配しましたが、ちゃんとやろうという気持ちがすごく伝わってきて、安心しました。やっぱり、いち視聴者としては、全員に長く続けてほしいですから。
1人ひとりに深く感情移入しましたが、なかでも、お母さんが林業会社を営んでいて、「将来の目標は、兄が切った木で私が家具を作ること」と話していた新入社員の気持ちが素晴らしく、応援したい!と思いました。
――そんな新人たちを指導する、1期先輩の松下さん(16)の奮闘にスポットが当てられました。
松下くんは中学を卒業してすぐ秋山木工に入社しましたが、15歳で働き始めるというのは、本当にすごいことだと思います。
松下くんが入社のために地元を離れるとき、松下くんの伯父さんが「15歳でも、18歳でも、20歳でもみんな一緒」「これ以上貧乏したくないと思ったら、頑張れ」というような言葉をかけていましたが、私はそれがすごく印象に残っています。これって、誰にでも当てはまることじゃないですか。
厳しい言葉の1つひとつを、15歳だった松下くんはどう受け取って、どう考えてきたのか、前後編を通して見ると答えがわかると思います。

――松下さんは、10歳上の友添さんと同期として支え合っていますが、野呂さんも“年の離れた同期”がいたことはありますか?
ありますね。私はAKB48に在籍していた頃、12歳下の子と同じ衣装を着て、同じ歌を歌って、ポジションを争って、みたいなことをしていたので。でもやっぱり、人によって能力も違うし、体形も違う。そのことを自分のなかに落とし込もうと思いながら、頑張っていました。
そういう発想ができたのは、両親のおかげです。父と母から「人はそれぞれ違う。そのなかで自分の目標をどう伸ばしていくか、だけを考えて動こう」と教わってきたので、人と比べてしまうこともたくさんありましたが、「自分ができることを頑張ろう」と思えました。
――松下さんと友添さん、そして歴代の先輩たちも、後輩の指導について試行錯誤してきました。野呂さんも似たような経験はありますか?
私は今41歳で、今の事務所にも約15年いるので、新しい若いマネージャーさんが入ってきて何か困っていたら、いろいろ教えたりしています。親切のつもりが“面倒なおばさん”になったら嫌だな…なんて考えながら(苦笑)。私のマネージャーさんとも、「若い子にどう教えるか」みたいなことを日々一緒に悩んで、話し合っています。
だからこそ、秋山社長がおっしゃることや厳しいルール、「職人心得30箇条」は、とても大事だと思います。30箇条のひとつ「明るい人から仕事に行かせてもらえます」など、その1つひとつが、私自身のこれまでを振り返っても本当に大切だったと感じます。
――前編の見どころをお願いします。
新入社員のみなさんがこれからどう成長していくか、そして実家に帰った松下くんがどうなっていくか…希望と心配が一気に押し寄せてくると思います。ぜひご覧ください。
予告動画
YouTube「フジテレビドキュメンタリー」で、『ザ・ノンフィクション』の予告を配信中。5月18日(日)14時~「ボクらの丁稚物語2025~16歳 夢の行方と迷い道~前編」
配信スケジュール
5月11日放送「これでしか生きられない僕たちは~インディーズ芸人物語~」(語り:佐藤栞里さん)が、5月25日までTVer・FODで無料配信されます。