2024年3月に人気絶頂の中、お笑いコンビ・尼神インターを解散するとともに、所属していた吉本興業を退所した誠子さん(36)。その後はフリー芸人として、ライブだけでなく、ライフスタイルブランドのプロデュースをするなど多方面で活躍しています。そんな誠子さんに めざましmediaがインタビュー。
全3本のインタビュー記事の#3では、所属していた吉本興業を退所後、仕事がゼロになり「まじで焦った」と語るフリーの道について、さらに さらば青春の光さん、令和ロマン・髙比良くるまさんなどがゲスト出演する誠子さん主催の即興お笑い演劇『A塚商事』についても深掘り。舞台への思いに迫るとともに、初めて書いたという貴重な手書きの企画書も大公開します!
インタビュー記事の#1と#2を読む
【インタビュー#1】
号泣したコンビ解散の経緯を赤裸々告白 元尼神インター・誠子「断ったらしばかれる!」“その場しのぎ”のコンビ結成から吉本退所までを語る
【インタビュー#2】
「当時好きだった人が…」料理を始めたきっかけと結婚観を語る 元尼神インター・誠子「海外進出が目標」カナダで落語披露しマダムに「シャラップ!」
元尼神インター・誠子 事務所退所で仕事がゼロに…「今は、より理解して感謝できる」フリーの道

2007年に結成した女性漫才コンビ「尼神インター」。
“いい女”気取りでボケる誠子さんに、ヤンキー風の渚(現・ナ酒渚)さんが容赦なくツッコミを入れるスタイルで、2011年に『第32回ABCお笑い新人グランプリ』新人賞を受賞、さらに『第46回上方漫才大賞』の新人賞候補に。『M-1グランプリ』や『女芸人No.1決定戦 THE W』など賞レースやテレビ番組で活躍し、人気を集めました。
そんな尼神インターは、2024年3月末に突然の解散を発表。誠子さんは、所属していた吉本興業を退所しました。
――お笑いに対する思いというのは、今も変わりませんか?
今 お笑いが一番好きと胸を張って言えるし、それを実感しています。
解散前は、ありがたいことに出番をいただいて出演していたんですが、今は主催もするし、その責任もあります。1つ1つのライブに思いを込めれられるので、楽しさが倍に感じて 好きだなと思いますね。

――所属されていた吉本を退所されて、フリーになった当初、お仕事の状況は…?
ちゃんとゼロになりました!(笑)やばいやばいってなって。予想はしていたんですけど、いざなくなると、まじで焦りました。
何かやらないといけないから、無料でできるSpotifyでラジオを始めたり、お金がなくてもできるコンテンツをやり始めました。あとは、知り合いが「誠子ちゃんの力になれるかも」と紹介してくれた人には全員に会いました。とにかく人に会った1年間でした。
――突然フリーになったことで、苦労されたことがあれば教えてください。
いっぱいあるな…。
ライブをやるときは、自分で劇場に電話して、場所をおさえて、チーム(音響、進行など)をお願いする。収支など お金の計算を含めてチケット代を決めるとか…その仕組みすらも知りませんでした。今は それも自分でやっているのですが、始めた当初はやったことがなかったので、しんどかったです。
あとは、メールでお願いするときのビジネス用語が難しかったです。「お疲れ様です」じゃなくて「お世話になっております」だと教えてもらって。これが やらないといけないチャレンジなんだと思って、ビジネス用語は使うようになりました。

――慣れましたか?
当時よりは慣れましたけど、やっぱりまだ堂々と余裕です!とは言えません。やりがいを感じるくらいの大変さですね。
今まで吉本の人が裏で こんなことをしてくれていたんだと痛感して…。スタッフさんへの感謝がより深いところまでいくようになりました。
尼神インターのときは、感謝はしていたんですけど理解して感謝していなかったなというか。私は あのとき何に感謝してたんだろうって。1個の仕事が決まるのに、マネージャーさんがこんなに色んな方とやり取りをしてくれていたっていうことを想像できていなかったです。今は より理解して感謝できるので、それも経験できて良かったなと思いますね。

――フリー芸人になられた今、ライブの主催だけでなく、料理イベントの開催や自身で立ち上げたライフスタイルブランドで、料理のグッズをプロデュースをしたりと、様々な挑戦をされていますよね!
色々チャレンジしすぎてるんですけど、中でも初めて企画書を書いたんですよ。ゼロから企画書を書くっていうのは やらないけないと思って勉強しました。
本当にすみませんなんですけど、尼神インターを15年もやってきたし、吉本のつてを使えば、ライブはやれると思うんです。でも違うと思って。ちゃんと真っ正面から企画書を書いて応募するのがスジだと思たんです。自分で手作りの企画書を書いて、下北沢駅前劇場に行って提出したんですよね。フリーになってないと、やっていないことだったと思います。
「絶対に通したい!」思い込めて作った120点の企画書

――企画書を書いてみて、どうでしたか?
大変でしたね。何も知らない状況なので書き方から教えてもらいました。
自分なりのテイストも出したかったので、背景のデザインはiPadで作ったんですが、文字は手書きでやったんですよ。本当にやりたいライブだったし、絶対に この企画書を通したいと思ったので、時間をかけて書き上げたという感じですね。

――私も企画書を拝見しまして、全部手書きだ!と驚きました。
えー!嬉しい!見てほしかったんです!

――パソコンではなく“手書き”というところに温かみを感じますよね。
パソコン遅いので手書きのほうが早いっていうのもあるんですけど(笑)
企画書はこれだけ時間をかけて作られてるんだってことを学んだので、より一文字一文字を見るようになりました。今までは見せてもらうだけの立場で、正直このページいいかって読み飛ばすこともあったんですけど、今は全部読みます。
誠子さんが真心込めて書き上げ、自ら下北沢駅前劇場に提出したという企画書。その思いは伝わり、2025年7月に即興お笑い演劇『A塚商事』の公演が決定。
作品の脚本・演出は、コントや演劇などの脚本を300本以上手掛けている、近藤貴嗣(こんどう あつし)さん(39)。
10年前に、近藤さん脚本の演劇『E田新地』に出演した誠子さんは、その時のことが忘れられず、今作品の脚本をオファーしたといいます。

――企画書で一番こだわったページはどこですか?
近藤さんのページと作品ページは言葉と時間をかけて作りましたね。
この企画が本当に面白いと思って欲しかったので、近藤さんが担当した全公演の場所も調べ直して、目で見て面白さが伝わるような写真をチョイスしたり。
近藤さんのことを私は天才だと思っているので、みなさんに知ってもらいたいと思っています。
――完成した企画書は、100点満点中、何点ですか?
120点超えちゃう!見て欲しかったので、嬉しかったです!
「絶対に走馬灯に出てくる」ふと思い出した特別な公演
――なぜ今回の公演を主催しようと思いましたか?
吉本をやめる4ヵ月前から やりたいって言っていたので、フリーになって叶えたい夢が まずこれでした。近藤さんに、私が主催させてくださいとお願いしたら、いいよと言ってくれて。
フリーなので、自分がやりたいライブは自分で主催することになるんです。最初はクラウドファンディングの案も出て、それもいいなと思いました。でも、自分がこの世にいなくなっても後世に、永遠に続いて欲しいライブだったので、主催して、チーム作って、託していくのがいいなと思って。ライブを一生続けていくために。それくらい思いが強いライブだったんです。責任感もさらに増して、グッズも自分で作ったりしました。

――作品にかける思いを教えてください。
尼神インターで毎日テレビに出ている時、365日働いていて、忙しすぎて今どこにいるのか分からなくなった時があったんですよ。
そんな時、和室の楽屋で ぼーっとしながら ふと思ったのが、2年前に出た近藤さんの舞台楽しかったなという事だったんです。こんな時に こんなこと思うんだと思って、よっぽど楽しかったんだなと思って。絶対に走馬灯の1ページに出てくるなって思うくらい(笑)あの時に経験した お客さんの笑顔が忘れられないんですよ。それくらい自分の中で特別な公演だったので、だからやりたいという思いがあります。
誠子さんが企画した公演内容は、すでに出演が決まっている“芝居メンバー”の中に、台本・あらすじを全く知らない“ゲストメンバー” が混ざり、即興で演劇を作り上げていくというもの。
昭和に起きた詐欺事件をモチーフにした物語ですが、出演者、観客、脚本家の近藤さんですら、何が起こるか予想できない 唯一無二のエンターテインメントです。
――公演内容、かなり面白そうですよね!
そうなんですよ!内容を知らない3人(ゲストメンバー)が入って どういう展開になるか分からないまま進んでいく演劇コントなので本当に新しい。芝居組はもう稽古をしてるんですけど、私達ですら どうなるかわからないっていう。
かき乱してくるゲストもいるので、芝居組はそれをどう戻していくのか、芝居組とゲスト組の攻防戦でもありっていう。色んなお笑い要素がありすぎて、新しいお笑いの世界になっています。
あと、舞台でしかできないフォーマットなので、このライブでしか体感できない体感型お笑いライブになっていますし、脚本は全公演一緒なんですけど、ゲストによって展開が変わるので、全公演を観ても面白いと思います。

――ゲストは誠子さんが決めましたか?
近藤さんと私で話し合って決めました。メインで決めるのは近藤さんです。
令和ロマンの髙比良くるま君は、近藤さんは絡みがなかったので、私がくるま君にLINEを送って直接やり取りして、オファーさせてもらいました。即答で、ぜひお願いしますって言ってくれました。
他にもゲストには、しずるさん、バイク川崎バイクさんなど吉本興業所属のお笑い芸人らの名前が並びます。
――吉本興業所属の出演者もいますが、退所されても一緒にお仕事をすることは多いですか?
それもめっちゃ嬉しいです!前よりは減りましたけど、自分の単独ライブでも吉本のみなさんにお願いして、ゲストで出てもらったりしています。
これを主催するってなった時も、吉本のみなさんが応援してくれて、めっちゃ協力的でした。だから、吉本や他の事務所、フリーの人とか、私にしかできない座組かなと思いました。

――お稽古はどうですか?
めっちゃ楽しいです!涙出るくらい笑って稽古しています!
あまり稽古が好きなタイプではないんですけど、稽古場にスキップして行くくらい!遠足行く前日の子どもみたいな感じで めっちゃ楽しみです(笑)
どうなるか分からないところに飛び込むって こんなに楽しいことなんだと思いますね。分からないことって面白いことのエッセンスだなって。お笑いにおいても人生においても。
――最後に、見どころを教えてください。
出演者、スタッフ、お客さん含めて、どうなるか分からない。ただ、今までに体感したことのない新しい面白さを100%お届けできるっていう確信があります。確実に面白いです!これを言い切れるのが、このライブのすごいところかなと思います。
――ありがとうございました!

インタビュー記事の#1と#2を読む
【インタビュー#1】
号泣したコンビ解散の経緯を赤裸々告白 元尼神インター・誠子「断ったらしばかれる!」“その場しのぎ”のコンビ結成から吉本退所までを語る
【インタビュー#2】
「当時好きだった人が…」料理を始めたきっかけと結婚観を語る 元尼神インター・誠子「海外進出が目標」カナダで落語披露しマダムに「シャラップ!」
【公演内容】
劇団アルファベットK画 旗揚げ公演「A塚商事」
会場:下北沢 駅前劇場
日時:2025年7月11日(金)~13日(日)
出演:
辻井亮平(アイロヘッド)/ナターシャ/誠⼦/木尾モデル/浦井のりひろ(男性ブランコ)/近藤輝一(黄色団)/武内日向子(喜劇結社バキュン!ズ)/立塚卓海(喜劇結社バキュン!ズ)/吉田真知子(喜劇結社バキュン!ズ)
ゲスト:
・2025/7/11(金) 19時開演:さらば青春の光/バイク川崎バイク
・2025/7/12(土) 12時開演:ネコニスズ/髙比良くるま(令和ロマン)
・2025/7/12(土) 15時30分開演:おしみんまる、しずる
・2025/7/12(土) 19時30分開演:四千頭身
・2025/7/13(日) 12時開演:ヒロユキMc-II/ジグザグジギー
・2025/7/13(日) 16時開演:平井まさあき(男性ブランコ)/シモリュウ
チケット情報:LivePocket
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