2025年、「団塊の世代」約800万人が全員75歳以上になり、国民の2割が後期高齢者という、「超高齢化社会」に突入する日本。
自分に何かあったときに、家族に少しでも何か残してあげたい…と考え始める一方で、気になるのは「相続税」のこと。

4月12日に東京・渋谷区で行われた、相続税についての勉強会では、オンライン含めて約20組が真剣に耳を傾けていました。

参加者(85):
85歳です、もう本当に(相続時期)迫っているんです。

参加者(50代):
親も高齢になって来たので。ポスターを拝見して。「財産がなくてもいろいろ問題はあるよ」というお話で身近に感じたので、参加させていただきました。

勉強会を主催した、株式会社コーズウェイの代表を務める長谷部裕樹氏によると、人々の相続税への関心は、今、非常に高くなっているといいます。

株式会社コーズウェイ 代表取締役 長谷部裕樹氏:
都心の方々の「相続税が高くなっている」という関心度は、非常に高いんだろうなという感じがします。
まさに今になって、より大きな問題として、大きなうねり としてですね、(今年)きている。これが「大相続問題のスタート」と言っても過言ではないかもしれないですね。

世はまさに、「大相続時代」。
『サン!シャイン』は、「税」にまつわるわかりやすい解説がYouTubeでも話題の税理士・菅原由一氏に、知っておきたい「相続税の落とし穴」と「相続税の知識」を聞きました。
――大前提として、贈与と相続の違いは?
税理士 菅原由一氏:
まず、相続税は亡くなった時点で持っていた財産に対して税金がかかると、贈与税というのは、生前に財産を他の方に移すことで税金がかかると。
財産を相続する際にかかる相続税。しかし、3000万円+相続人1人につき600万円分は基礎控除として相続税はかかりません。

例えば、相続人が妻と子どもの2人で相続財産が5000万円の場合、3000万円+相続人2人分の1200万円を引いた金額である800万円に相続税がかかります。
相続税は亡くなったことを知ってから10カ月以内に申請と納税を終わらせる必要があり、これを過ぎてしまうと延滞税が課されます。

税理士 菅原由一氏:
相続税がかかる財産、基本的には価値のある物全てにかかるのですが、土地や不動産、骨董品、有価証券、価値のある物全てだと思ってください。
――未上場の株式など価格の評価が難しいものの申告は難しいのでは?
難しいですね、相続税の申告はおそらく自分ではできないので、税理士に依頼することになると思います。
相続税の“ギモン”徹底解説
相続税の落とし穴として「土地の相続」が上げられます。
農地などを相続する際、固定資産税の算出された評価額は100万円だったのに対して、相続税は1000万円と同じ土地なのに10倍になるケースも。

宅地の場合でも、固定資産税の評価額は時価の7割ですが、相続税になると時価8割ほどの評価額になり、想定外に相続税が高額になる恐れがあるといいます。
税理士 菅原由一氏:
ちょうど4月、5月に各自治体から固定資産税の評価明細が送られてきますが、その評価額が不動産の評価額だと思っている方は多いですが、それはあくまでも固定資産税の評価額であって、相続税の財産を査定するときは、農地の場合はその評価額に10倍とか、多いと20倍とか30倍、地方によって違いますがかけた額を相続税の評価額としなさいとか。
――農地は続けてもらうために普段は安く評価されている?
そういう部分もありますね。

元競泳日本代表 入江陵介氏:
僕自身ひとつ気になることが、実家で例えば両親が亡くなった際に、家をそのまま売るのか、誰かに貸すのか、兄弟の誰かが住むのかによって相続税が抑えられるところはあるのですか?
税理士 菅原由一氏:
亡くなった方が住んでいた不動産、家とかに親族の方が引き続きそこに住むとなれば、いろいろ条件はあるのですが、評価額を8割減額できるとか、そういう特例はあります。

相続税を回避するためではありませんが、“へそくり”として生活費から数万円ずつ妻の口座に貯めていたり、子どもの将来のために「子ども名義」で作った口座に贈与税のかからない範囲で振り込んでいても、財産と判断され相続税がかかったケースがあるため注意が必要です。

税理士 菅原由一氏:
贈与というのは、あげた側もらった側のお互いの認識があって成立するものなんです。ですから子どもが知らずに親が子どもの通帳を作って貯めているだけなら、それは実質親が貯金しているだけになるんです。なので、子ども名義の預金でも、名義預金といって実際は親の財産として見なされると。
贈与契約書というものを交わして、認識を一致させないといけない。

――相続の話しは先延ばしにしがちですが、早めに誰に相談すれば?
税理士 菅原由一氏:
まずは相続税がどれくらいかかるかとか、どういう財産があるかを知るために税理士に試算してもらうのが一番いいと思います。
(『サン!シャイン』 2025年4月14日放送より)