2025年4月7日、午後9時ごろから約25分間にわたって行われた、石破茂首相とトランプ大統領の電話会談。

石破首相はトランプ大統領に対し、「関税措置は極めて遺憾。日本企業の投資余力が減退することを強く懸念している」と伝え、今後は担当閣僚を指名し、協議継続。日本としては、「措置の見直しを強く求めていく」方針だといいます。

トランプ氏は、電話会談から約1時間後の午後10時半ごろに、自身のSNSで「日本は貿易に関してアメリカをひどく扱っている。アメリカの車を買わないのに私たちは何百万台も買っている。農業やその他の多くのものも同様だ」と改めて発信しました。

左:デービッド・アトキンソン氏 中央:荻原博子氏 右:永濱利廣氏

世界中で株安が進む中、果たして今回の電話会談は「うまくいった」と言えるのか。今後の影響は?専門家に詳しく聞きました。

生活への影響は?気になる「新NISA」

――今回の会談はうまくいったと言えるのでしょうか?
岩田明子氏:

会談直後のトランプさんの発信を見るに、厳しい内容だったのかと思いますけども、電話会談の前に政府高官は、「今後の交渉窓口を決めることが大事」だと語っていましたので、窓口を決めようと合意したことはひとつの成果だとは思いますが、おそらく追加関税の適応除外については、ほぼひかなかったのでないかと。
(交渉を)継続するということだけは決まりましたから、粘り強くやっていくしかないのかなと。

今後私たちの生活にはどのように影響がでてくるのか?もしくはもう影響が出ているのか?

経済に詳しい実業家でアナリストのデービッド・アトキンソン氏は、日本が米国製の製品をそこまで輸入していないことから「ほとんど影響なし」と話す一方で、経済ジャーナリストの荻原博子氏は、「すでに影響が出ている」と主張します。

経済ジャーナリスト 荻原博子氏:
すでに影響が出ているのが、「新NISA」。去年スタートしましたが、3000万近い口座ができているんです。初めて投資したという方が結構いらっしゃって、そういう方が元本割れしているケースが出てきていて、不安になっている高齢者の方はいっぱいいるのではないかと。他にも夏のボーナスなど、庶民生活には結構、「収入」という意味で影響が出てくるのではないかと。

鈴木おさむ氏:
「トランプ」「関税」と調べると、すぐに「NISA」と出てくるので、みんなめちゃくちゃ気にしているかと。

MC谷原章介:
投資は自己判断だとは思うのですが、ちゃんと様子を見て、「わ!?怖いから!」と売ると、そこで後で損になるかも知れないし。

第一生命経済研究所 永濱利廣氏:
一番深刻な影響は、やはり日本の輸出関連産業があるので、来年の春闘への悪影響は避けられないと思います。ボーナスにも(影響が)出ると思いますし、やはり一番影響するのは、来年の春闘だと思います。

「トランプ関税」を“チャンス”に?

国民の生活に大きな影響が出かねない「トランプ関税」問題。きょうも、「サン!シャイン」には多くの質問や疑問が寄せられました。

質問:今後の株価、どこまで下落が続きますか?(60代)
経済ジャーナリスト 荻原博子氏:

株は、関税の要素だけで上がり下がりしているわけではないので、なんとも言えないです。
ただ、ここ3日、4日、1週間~2週間くらいの間に、4000~5000円下がっているので、多少は揺り戻しで上がるかも知れない、ただ上がった際に「利が乗った」と売ってしまう人も出てくるので、これこそ分からないです。

実業家 デービッド・アトキンソン氏:
実際には株式市場というのは、日本の雇用の3割、日本企業の0.1%もないわけだから、あれは日本経済ではないです。70%の雇用を占める企業は輸出も輸入もほとんどしていないし、経済ということを言っても、株式市場は必ずしも経済そのものを示しているのではないと。

さらに、アトキンソン氏は、「トランプ関税」は、日本にとって”チャンス”になると話します。

実業家 デービッド・アトキンソン氏:
元々は日米同盟の影響があって、日本の輸出がかなり米国に偏っている中で、自動車に偏っているという傾向があります。ここで、他の国々はどういう対応をするのかを見ながら、世界の日本の輸出の品目と、地域を多様化していくべきだと。
農産物も素晴らしい物がありますがほとんど輸出していない、(輸出と同じく外貨が獲得できる)インバウンドが今年は4400万人くらい来て10兆円くらい行きますので、車の輸出は20兆を超えていますがマイナス分はインバウンドで全部取り戻せるわけだし、欧州で見ると12兆円くらいしか輸出していないわけです。北米は20兆円。そうすると、100兆円にのぼる日本の輸出の中で、北米が2割、自動車部品が2割なので偏りすぎていると。これを、解決するための他の国々との連携を強化する絶好のチャンスだと。

第一生命経済研究所 永濱利廣氏:
世界中から米国に輸出しにくくなるわけだから、それだけ貿易が減ると言うことは、原油価格が下がる。さらに日本から米国に輸出がしにくくなると、(今まで米国に輸出していた)農林水産品などが国内でだぶつくので、国内で価格が下がると。それが世界で起きるので、自国のものだけでなく、海外の輸入品もこれまでより少し安く買えるので、「インフレ」が緩和すると。
これは、生産者にはマイナスだけど、消費者にはプラスなので、石破政権はこういったところで悪影響が出るとことは景気対策で支える必要があるかと。
 

(『サン!シャイン』 2025年4月8日放送より)