2人以上の世帯の貯蓄で約6割を占めるのが「預金」。そんな預金に今、ある現象が起きています。
3月からメガバンクが相次いで普通預金の金利を2倍に引き上げ。
さらに地方銀行の北陸銀行では、いくつかの条件を満たし口座を開設すると、最大1万5000円相当がもらえるキャンペーンを開催しています。
なぜ銀行はこうした動きに出ているのでしょうか?
2025年1月、日本銀行が政策金利を0.25%から約17年ぶりの水準となる0.5%に引き上げてから1カ月あまり。
日銀の内田眞一副総裁は、3月5日、経済や物価の動きが予測通りならさらに金利を引き上げる方針を示しました。
日銀が政策金利を引き上げると、民間銀行が企業や個人に貸し出す金利の引き上げにもつながっていきます。
民間銀行は貸し出して運用することで収益が拡大するので、貸し出す資金源のひとつである預金を増やそうとします。
そのため、預金金利の引き上げを行い、少しでも多くのお金を口座に入れてもらうべく動き出しているといいます。
しかし、熾烈な預金争奪戦に街の人は…。
20代男性:
どれが良いっていうのは、一見わからないですよね。
30代女性:
迷いますね。条件がいいところに(口座を)開設しようかなという考えにはなりますね。
“金利のある世界”で賢い口座の選び方とは?
金利の引き上げは、生活にどのような影響を与えていくのでしょうか。
『めざまし8』では、野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏に解説していただきました。
■民間銀行で普通預金の金利引き上げ相次ぐ
メガバンクは、みずほ銀行・三菱UFJ銀行が3月3日から、三井住友銀行が3月17日から、普通預金の金利を0.1%から0.2%に引き上げ。
さらに、ターゲットを絞ったプランを出しているところもあります。
SBI新生銀行では、3月3日から通常の金利を0.11%から0.21%に引き上げ。さらに、28歳以下は0.4%に。
4月1日からは60歳以上の普通預金の金利も0.4%に引き上げられます。
■定期預金の金利も引き上げ相次ぐ
UI銀行は3 月末までの新規口座開設者限定で、金利が0.65%から1.1%に。auじぶん銀行やオリックス銀行、横浜銀行なども条件付きで1.0%に引き上げられています。
MC 谷原章介:
こういうネット銀行系はやっぱりどんどん顧客が欲しいということですか?
木内登英氏:
ネット銀行は人件費とかかからないので、その分高い金利も出せるっていう強みを生かして、今がチャンスということで高い金利で預金者を引き付けるという戦略に出てるということですね。
――日銀の政策金利、銀行の預金金利、どのようになっていくと予想していますか?
木内登英氏:
まだ上がっていく方向じゃないかなというふうに思っていまして、預金金利はやはり政策金利に連動して動くので、今政策金利が0.5%なんですが、今年中早ければ6月という見通しがありますが、私は夏から秋にかけて0.75%まで上がり、来年に1%ぐらいまで上がってそのぐらいで打ち止めかなというふうに思っています
なので、マイナスから始まってますので道半ばぐらいまでは来ているという感じだと思います。
■賢くお金を増やすポイントは?
木内登英氏:
少し前までは金利がほぼゼロだったんですね。そうすると預金していても金利がつかないので、「じゃあ投資をしましょう」ということで昨年新NISAができて、かなりお金が新NISA投資の方に向かっていったということなんですが、今年に入って株価はちょっと下がっていると。一方で金利はどんどん上がってきているので、投資よりもリスクが小さいこういった銀行預金がまた注目されてきていると。
ただ普通預金ですと普通の銀行は0.2%なので、定期預金金利で1%つくところというのは、つまりリスクを問わずに年間1%ぐらいでもあるのは十分いいんじゃないかというような見通しになってきています。
投資から定期預金の金利にかなりお金が今動いてきてるんじゃないかなと思います。
MC 谷原章介:
現金をいっぱい持っている人は金利が上がっていくと助かるかもしれませんけども、ちゃんとローンを組んで家を買ったりしている人にとっては金利が上がっていくということはすごくつらい局面もあるんでしょうか?
木内登英氏:
金利の上昇というのは運用の面でいうとプラスなんですけどもお金を借りている人にとってはコストが上がると。
特に住宅の金利がどう動いていくかというのは非常に注目されるところだと思います。
金利が上がると住宅ローンの総返済額が上がってしまうというところがあるので、善しあしというのはありますね。
(『めざまし8』 2025年3月7日放送より)