2021年に母・ひで子さんを看取るまでの6年半で体験した在宅介護。大学教授となり、新田さんが今、若者へ伝えたい“思い”が講義の中で丁寧に語られていきます。
親子間の“信頼関係”を築くことが大事
2月14日に行われた特別講義「実体験から語る介護の魅力・素晴らしさ」。開始前、蛍光ペンで線を引いた箇所など、あちこちに印がついたメモを見る新田さんの姿が。
新田:
話の骨の部分だけは毎回これを見て復習して何を足そうとか、こっちを省いてこっちを話そうとか、そういうのを考えますね。
中には赤いペンで「信用と信頼」と書き込みされた箇所も。
新田:
信頼関係が築けてる親子は認知症になっても親が言うことを聞いてくれるという。よく「信用と信頼」という言葉を自分で言ってたはずなのに、飛ばすんですよ。するとマネージャーさん(夫)が、「恵利ちゃんが言っている中ですごいすてきなワードなのになんでそれを飛ばして話すの?」っていうのを(授業の)帰りに絞られるので笑
入念に学生に伝えたい内容を確認し、いよいよ1時間の講義がスタート。
新田:
「いいふらし介護」って名付けて推奨しています。内に込めていたら誰も助けてくれないし、苦しい思いはただただ苦しくなるだけなんですね。それを打ち明けてストレスを誰かに聞いてもらったり、共感してもらったりというのはとっても大事なことなんだと体験しました。
新田さんは自身の経験を交えながら、介護について語ります。
新田:
いつからっていうのは認知症はないんですよね。わかりやすくいうとみなさんいつの間にか太っちゃうでしょ?いつから太ったってないじゃないですか?
認知症について例え話を交えて説明したり…
新田:
いよいよ最期の日 右にいる私を見て確認して左にいる兄を見て確認して「あ」「あ」「あ」って。その「あ」っていうのはありがとうの「あ」だと思います。母は元気なころから「死ぬときには必ずありがとうって言ってから死ぬからね」って言ってたんですね。
当時の状況を思い返しながら、母親の最期の瞬間について語ったりと、1つ1つ丁寧に自身の体験を伝えていきました。
6年半の介護経験から一番伝えたいこと―
講義を聞いた学生たちは…
3年生男子:
教科書だけではわかりにくい精神の面、心の感じる部分について生の言葉で教えていただけるのですごく参考になる。
3年生女子:
新田先生のお話を伺ったときに、「自分もこうなるのかもしれない」という「かもしれない」っていう予測をたてられるということが一番勉強になる。
3年生女子:
介護職はいいイメージないんですけど、やってみると楽しいので、新田先生のお母さんのように最後に「ありがとう」と言ってもらえる介護が将来できたらいいなって思っています。
当事者からのリアルなエピソードに聞き入った生徒や、改めて介護への思いを実感していました。
新田:
介護のお仕事の前は「おにゃん子クラブを振り返ってお話聞かせてください」っていうことも、すごく多かったんですよ。振り返ってみるのも楽しいんですけれども、でもやっぱり今の介護のように、現在進行形で、皆さんの役に立っているなって思うとタレント業は楽しい。介護の仕事はやりがいと満足感がすごくあるので、介護の仕事をしていてお話しさせていただくのは、いろんな人にも出会うしすごく楽しくて。
6年半の介護の経験から新田さんが一番伝えたいこと、それは…
新田:
親子間のコミュニケーションがどれだけ密なのか?一人暮らしをしている間、それこそ“おにゃん子”で忙しい時間とかもあったんですけど、離れている時間でも、毎日電話していた毎日お話ししてるから、会うのはたまにでも、その時には普通に(電話の)延長で話ができるのでテレビ見てて、お葬式のコマーシャルあったとしたら「そういえばお葬式どうする?」って普通に聞けるんですよね。
なのでそれもコミュニケーションの多さ。私は多かったからそれがスムーズだったんだなって。生徒さんたちには、今からやれば、最後が楽だよっていう風に伝えてますね。
終始笑顔で“介護”について語った新田さん。その活動は、“介護”という重要な社会課題に対する理解を深める一助となっているのかもしれません。
(『ノンストップ!』2025年2月18日放送より)