今それやる!?今その設定ぶっこむ!?な終わらなさ具合が…
とにかく初っ端から戦慄のウェディングシーンから入ったと思ったら、そんなことしてる場合か!!というクリスマスノンキモードで油断させ、かと思えば、今回のお客さまってのが、顔や名前を変えて逃げ続ける“指名手配犯”(しかも殺人犯)という、ドッキドキの、この回で終わらせるつもりがないとすら思えるトンデモラストエピソード投下。
そんなんがおっぱじまっちゃったら、今回が最終回ということも忘れてしまうほどの濃密な物語が紡がれるわけで、中盤まではそんな物語に没入しまくって時間忘れてる…とかなってたその直後、もう最終回の残り時間も折り返し地点に入って、いやむしろ、もう半分以上は過ぎちゃってんのに、これまでの振り返りとか、キャラクターたちの最後の見せ場を作る尺はあるのか?大丈夫なのか?いや何より、闇バイトにかかわってしまった大輝(杢代和人)の顛末くらいはせめて最後まで描かなきゃいけないのに、残り時間もうあと数十分!!っていう、もうギリギリもギリギリのなか、こっちがひやひやするほどの残り時間だっていうのに、まさかまさか、そっから新要素がぶっこまれる!!という超衝撃の時間配分!!
それというのも、飲んだら会いたい人に出会える「赤ワイン」、その「ノンアル」(効果ほぼなし)、飲んだら真実に出会える「白ワイン」に続く、第4の魔法のワイン「ロゼワイン」登場!!
さて、その、ロゼワインの効能とは!?という、今それやる!?今その設定ぶっこむ!?うん、マジでなぜ今!?な混乱に陥ってしまうほどの終わらなさ具合。だけどだけど、そこからあれよあれよと『介護スナックベルサイユ』という物語が、大輝のエピソードとともに、見事に収束していくビューティフル!!
とくに、ママ(宮崎美子)がしつこいほど意味深に言い放っていた「あなたはここにいる必要がある」というセリフと、どこまで遠くへ行っても介護スナック「ベルサイユ」にたどり着いてしまう、あの“からくり”にまでちゃんとオチをつけてくれる美しさ!!
とはいえそのオチってのも、一見するだけだとすごくわかりにくくて、「答え」が明確に出されたわけではない…んだけれども、その「ここにいる必要がある」と、介護スナック「ベルサイユ」という場所の、その本当の意味を想像して、咀嚼(そしゃく)して、わかったような気がしたとき、このドラマに込められた、とてつもなく深いメッセージを受け止めることができて“涙”します。
僕はなんなら、今作の作者である清水有生先生の『さくらの親子丼』までさかのぼってしまって、清水先生のやさしさを噛みしめすぎて、ラスト間際、別に泣けるシーンでもないのに、「先生、やさしすぎるうぅぅぅーーー!!!」と、号泣してしまいました(もう変態の域)。
そんなこんなの見事な、美しい最終回。介護スナック「ベルサイユ」とは一体何だったのか!?最後の最後まで見届けて、噛みしめてください!!
で、最後に、これまで、介護スナック「ベルサイユ」の従業員たちの“背景”が丁寧過ぎるほどに描かれて、そのトドメが前回の、英さん(高山広)が冤罪なのに死刑判決受けて服役してた…というとてつもなさ、だったわけですが、そんな英さんをもってしても、最後の最後、やっぱり結局、なんにもわからないんだけど、とんでもない怖ろしさと美しさと包容力を持ったママが、すべてをかっさらっていく計り知れなさですよ!!
もうだってナレーションの時点で、「これはこう!」と言ってしまえば「すべてそう!」だったように、最後の最後、介護スナック「ベルサイユ」の秘密が明らかになっていくその過程におけるママが、ほんの少し喋っただけで、わからないようでわかる!いや、わかるようでわからない!いやだけど、間違いないのは、ママが言ってんだから、間違いない!!という、そういうこと!!!
このドラマはそんなママの支配力によって、さまざまな要素、設定、背景、ジャンル分けできないトンデモさがあったとしても、成立してたんですね…。
今後は、東海テレビが制作する『世にも奇妙な物語』的位置づけで、ひとまず、春の特別編を手始めに、来年以降、作っていきましょう(勝手)!
