「今後もふたりの近況が知りたい。そして、お店に食べに行きたい」
――初となった『ザ・ノンフィクション』のナレーションはいかがでしたか?
純粋に番組のファンで、ずっと「いつかはやってみたい」と思っていました。(自身が出演した)木曜劇場『やんごとなき一族』(フジテレビ/2022年4月クール)の企画で、『ザ・ノンフィクション』のテーマ曲「サンサーラ」を歌わせていただいたこともあったので、勝手にご縁を感じていました。
ですので、このたびお話をいただいたときは、「やったー!」でした(笑)。本当にうれしかったです。ブースに入って原稿を読んでいるときも、感慨深かったです。
――ラーメン店を舞台にした母と娘の物語にはどんな感想を持ちましたか?
「こんなに明るくポジティブなお母さんがいるんだ!」と、こちらが笑顔になるくらい元気なお母さんと、愛情をうまく言葉にできない照れ屋の娘さんというのが、ちょっともどかしくて(笑)。でも、だからこそ余計に人間味を感じました。
また年月が経つと、あの関係性も変わってくるんだろうと感じましたし、今後もふたりの近況を知りたくなりました。そして、まず、お店に食べに行きたいです。
――普段、ラーメンは食べますか?
大好きです!つけ麺で、平打ち麺というのもあまり見たことがなくて、でも、平打ち麺だからよりスープがからんでおいしそうでしたし、トッピングの“とろ肉”も本当においしそうでした。
近々、確実に行くと思います。

――サブタイトルにもあるように「ピンチをチャンスに変える」がテーマでした。共感するところはありましたか?
私はどちらかというと、しっかり“地固め”ができないと怖くて前に進めないタイプなので、ピンチに陥ったとして、すぐにプラス思考に切り替えるというのは、なかなか難しいです。
カンラスさんの切り替えの速さと行動力は、並大抵の経験では生まれないんじゃないかって。やはり、娘さん、国の家族、お店と、多すぎるくらいのものを背負っているのも大きいのではないか、と思いました。
――母と娘の関係性についてはどう感じましたか?
愛情深い方だから、娘さんをちょっと過保護にしてしまうのも、わからなくはないなぁ、と感じました。
自宅で料理をしているとき、フライパンを熱していた娘さんがカンラスさんに「火が強い」と注意されて、「んもう!」って言い返すシーンもかわいらしく、自分にもあんな時期があったかもしれないと思いながら見ました。
ほかにも、一人暮らしを巡っての、ちょっとちぐはぐで愛らしいやりとりとか、“一瞬の切り取り”は、ドキュメンタリーでないと映せない、特別なものだと感じました。
見ているほうが背中を押されたり、笑顔になれるような物語
――松本さんにも同じような経験がありますか?
私は、就職したところで、ある程度、独り立ちしたという意識になりました。私は三人姉妹の末っ子なんですが、うちでは就職したらお金を家に入れるというルールがあり、姉たち同様に私もそうしていました。
そこから自然と「自分は大人なんだ」と感じるようになったかもしれませんが、それ以前は違いました。
学生のころは、例えば、学校の行き帰りに母が車で送ってくれても「ありがとう」がなかなか言えなかった。母に「ありがとうは?」と言われても、恥ずかしくて、言わずにドアを閉めていました(笑)。
大人になると、ありがとう、ごめんなさいも自然と言えるようになって。母にも照れくささがあったのかもしれないですが、そんな私を構うでもなく、スッと受け入れてくれたのを思い出しました。

――今年も残すところ1ヵ月半となりましたが、今年はどんな1年でしたか?
毎年、年頭に事務所のスタッフと「少しずつでもいいから前進しよう」と抱負を話すのですが、今年はその一歩がすごく大きかったかもしれません。
(自身の演技が「松本劇場」などと話題となった)『やんごとなき一族』によって、知っていただいた方が増えたという実感がありますし、お仕事の量も変わってきてはいます。
ですが、今までひとつの仕事に対して向けていた熱量を、仕事が増えたからといって分散させるわけにはいきません。今までも一つひとつ、しっかり向き合ってきた自負はありますが、今後もその気持ちを忘れずにやっていきたいと思っています。
デビューして15年なのですが、その15年で培ってきたものは確実にあると思いますし、今後も、それを大事に、真面目にコツコツとやっていくのが私らしいと思っています。
――最後に改めて、今回の番組の見どころを教えてください。
コロナ禍でいろいろうまくいかないこともあるなか、見ているほうが背中を押されたり、笑顔になれるような物語だと思います。
「ピンチをチャンスに変える」というのは、言うのは簡単でも実行するのはなかなか難しいこと。それを体現している人を見るだけでも、「自分ももしかしたらできるかもしれない」という気持ちにさせてくれるかもしれません。
私はナレーションでそのお手伝いが少しでもできたら、と参加させていただきました。どうぞ、楽しみにお待ちください。